2015/12/11

リョウブの花蜜を吸うスジグロシロチョウの仲間



2015年7月下旬

雨上がりの峠道でリョウブの花蜜を吸いにスジグロシロチョウPieris melete)、またはエゾスジグロシロチョウPieris napi)が来ていました。



2015/12/10

アカオニグモ♀(蜘蛛)の網から獲物を盗むコガタスズメバチ♀



2015年9月中旬


アカオニグモ♀の定点観察#1


農道と用水路の間に挟まれた草むらでアカオニグモ♀(Araneus pinguis)が垂直円網を張っていました。
腹部の色が黄色で赤くないので未だ亜成体と思われます。(外雌器の状態を見ていません。)
枠糸の左端を固定したタニウツギの葉裏が隠れ家となっています。
逆に枠糸の右側はヨモギの花穂の先端部に固定されていました。

円網にかかった獲物(食べ残し?)を盗みにコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が来ていました。
獲物の正体は、なんとなくシオヤアブかな?
こうした労働寄生(盗み寄生)は餌不足になりがちな秋のスズメバチによく見られる行動です。
コガタスズメバチ♀は獲物に噛み付き、その場で肉団子にしています。
しばらくすると、網の主であるアカオニグモ♀が引き糸を伝ってスルスルとこしきへ登り返しました。(@0:33)
アカオニグモ♀はおそらく網の中央で食事していたときにスズメバチが飛来した羽音に驚いて網から緊急落下し、避難していたのでしょう。
円網の糸を歩脚で引き締めて揺すり、状況を探りました。
コガタスズメバチは気にせずに肉団子作りを続けています。
招かざれざる客が危険な敵と察したのか、アカオニグモはスズメバチを追い払ったり獲物を奪い返そうと対決したりせずに、左上の隠れ家に慌てて退散。(@0:44)
一方、スズメバチの方はようやく獲物を網から引き剥がし、戦利品を咥えて巣へ飛び去りました。(@1:14)




『スパイダーウォーズ:クモのおもしろ生態学』p160-161によると、

ハチ、トンボ、ハチドリなど、クモの網から餌を奪う動物たちには共通の特長があります。それはヘリコプターのように飛びながら空中で停止する能力で、彼らはクモの網にくっつくようなへまをせずにその餌を奪うのです。


初めにコガタスズメバチが飛来してからアカオニグモが逃げ出すまでの顛末を見逃したのがつくづく残念です。

アカオニグモは天敵のクモバチ(キスジベッコウ、キスジクモバチ)が相手だと網に踏みとどまり積極的に反撃すると本で読んだのですが※、スズメバチが相手だとあっさり網から逃げ出すようです。
(※『月刊たくさんのふしぎ:まちぼうけの生態学:アカオニグモと草むらの虫たち』p31より。『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p162には「アカオニグモの防衛姿勢」と題した見事な生態写真が掲載されています。)


盗人スズメバチが去ってから、アカオニグモの円網と隠れ家を動画に記録しました。
円網のあちこちに穴が開いているものの、未だ全体の形状は保っています。
タニウツギ灌木の葉を軽く丸めて隠れ家にして、その奥にクモは避難していました。
隠れ家から伸びる糸を辿ってみると、水平の枠糸の他に、信号糸も甑に向かって伸びています。


スズメバチのおかげで見つけられたこのアカオニグモを定点観察することにしました。

つづく→#2:明け方に垂直円網を張るアカオニグモ♀(蜘蛛)【15倍速・暗視映像】


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カシノシマメイガ♀(蛾)の海老反り姿勢



2015年9月中旬

飼育を始めたカシノシマメイガ♀(Pyralis farinalis)が容器内で海老反り姿勢で静止しています。
以前飼育したノシメマダラメイガでは♀が性フェロモンを放出するコーリング姿勢なのですが、カシノシマメイガではどうなのでしょう?
同じメイガ科だし、てっきり行動も同じかと思いこみ、この動画もカシノシマメイガ♀のコーリングを撮ったつもりでいました。
ところが、どうも違うようです。

DMOTHサイトを参照するとカシノシマメイガ性別の見分け方が解説されていました。

触角♂は微毛状, ♀は糸状. 一般に♂は小さく, ♀は大きいが, 大きさの変異は著しい. 成虫は家屋内で見られ, 壁などに静止しているときは,腹部を強く曲げて特異な姿勢をとる.

♂♀ともにしゃちほこのような海老反り姿勢になる、という解釈で良いのかな?
英語版wikipediaにも次の記述がありました。

At rest, adult moths (imagines) typically hold the tip of their abdomen at 90° to their body.

顔を接写してみると、複眼が緑褐色で美しいですね。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



車庫で連日捕獲したカシノシマメイガを片端から容器に投入して、計17匹もなりました。
しかし容器内での求愛・交尾行動はなぜか見られないまま次々に死んでいきます。
待てど暮らせど幼虫が孵化してこないのは何故だろうと不思議でした。(採集した成虫の性比が偏っているのか?)
成虫の死骸を調べると、ノシメマダラメイガとは異なりカシノシマメイガ成虫には口吻があることにようやく気づきました。
ノシメマダラメイガは口吻が退化しており成虫の餌は不要でした。
それに対してカシノシマメイガの場合は成虫にも餌(花蜜、砂糖水?)を与えないと飼えないのだと分かりました。


【追記1】

桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、
(シマメイガ亜科カシノシマメイガの)性フェロモンの存在が生物試験で確認できており、マダラメイガ亜科とは性フェロモンの構造が違うだろうと予想していた(中略)。この虫は飼育ができないためか、現在もまだフェロモンの化学構造はわかっていない。 (p122より引用)



【追記2】
2015年12月上旬

飼育を諦めて容器を放置していたら、容器の蓋の裏に3匹の老熟幼虫が糸を綴った巣を作り、中で越冬していました。
片手間に飼育していたので、幼虫の成長を見逃してしまったのが残念です。


DMOTHサイトでカシノシマメイガの解説を参照すると

幼虫は貯穀, 菓子, 干果, 乾燥した動物の糞などを食べ, 幼虫態で越冬する.

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