2015/11/26

夜に繭を紡ぐキアシナガバチ老熟幼虫【暗視映像】



2015年8月上旬・深夜1:15および同じ日の夜21:20

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#9


キアシナガバチ♀(Polistes rothneyi

赤外線の暗視カメラで撮ると、いつものように多数の蜂が折り重なって寝ています。
巣に産卵しようと夜近づいて来ると言われる寄生蛾に対しても防御力が高そうです。

二股の幹の隙間から狙うと、育房内で老熟幼虫が盛んに動いています。
おそらく繭を紡いで育房に蓋をしているのでしょう。
近くで静止している成虫は触角と脚先で常に幼虫の動く頭部に触れているのに、栄養交換などのアクションを起こさず寝ているようです。
成虫は昼行性ですが、幼虫は昼夜を問わず営繭するのでしょう。

約20時間後に再び様子を見に行くと、老熟幼虫の動きは無くなっていました。
白色LEをD点灯すると、白くて薄い繭キャップが作られていました。
昼間に途中経過を見れなかったのが残念です。
できれば微速度撮影してみたかったのですが、この場所は三脚を設置できないのです。

つづく→#10:夜キアシナガバチの巣に侵入するワラジムシ【暗視映像】



2015/11/25

ジョロウグモ(蜘蛛)♂同士が争う合間に♀の網を破壊工作?



2015年9月上旬

ジョロウグモ♀♂の定点観察#5


ジョロウグモNephila clavata)亜成体♀の傍で下向きに静止していた♂αがピクピク動き始めました。
網の糸を歩脚の先で何度か弾きました。

やがて♂αは警戒して上を向きました。
どうやら、ときどき体を揺らして網に振動を送っているようです。
風で揺れているのではありません。
ライバル♂に対する威嚇の誇示行動でしょうか?

♂αは常に♀と♂βの間に位置して♀を奪われないように守っています。(交接前ガード)
♂αが♀の近くで上を向いているときは、網の上部に居る♂βの動きに反応しているのだとようやく分かりました。
(♀の機嫌を損ねて襲われてもすぐ網の外に逃げ出せるように用心しているのかと初めは想像していました。)

意を決したように、♂αが網を上に登り始めました。
引きの絵にすると網の上部で♂βが下向きに静止しつつ網を弾いて挑発しています。
また喧嘩になるかと思いきや、今度は興味深い展開になりました。
♂αは直接対決を避け、右に移動しながら網の上部を取り壊し始めたのです。
ついでに糸屑も摂取しています。
(逆光で網や糸がよく見えないのが残念。)
その間に♂βは手をこまねいて見ているだけなのが不思議です。
♂αの隙をついて♀の元へ行けば良いのに…と思うのですが、侵入経路を取り壊されたのかもしれません。
長引く神経戦に嫌気が差した♂αが、♂βとの間にある部分の網を壊して、互いに存在を認識できなくしたのでしょうか(振動による威嚇が届かなくなる)。

ただ空腹のため食事をしたという可能性もあります。(腹が減っては戦はできぬ)
破壊工作だとする私の解釈がもし正しければ、直接的な衝突・闘争するだけとは違って、そこに知性を感じます。
一方♀にしてみれば、居候の♂に自分の網を勝手に壊されるのではたまったものではないでしょう。
♀がなぜ怒らないのか不思議でしたけど、脱皮の直前で動くのが億劫だったのかもしれません。

作業を終えた♂αは♀の元へ戻りました。
♀に触れて確認すると、無反応の♀から少し上に離れて占座しました。
♀と歩脚の先で互いに触れ合っています。

一連の争いを1台のカメラで記録するのは限界を感じました。
引きの絵と、2匹の♂それぞれに注目した寄りの絵が欲しいところです。

いつまで経っても交接を始めないので、この日の観察は打ち切りました。(未だ♀が成体だと思い込んでいます。)

※ 窓ガラス越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して自動色調補正を施しています。


『スパイダー・ウォーズ:クモのおもしろ生態学』p119-120によると、

クモは一般に同じ種の他の個体に対してかなり排他的です。網を張るクモは、ほかのクモの侵入を許さず、タテ糸をつよく引いて追い払います。侵入者がそれでも引き下がらないと、網の主は侵入者に向かって突進します。ほとんどの場合、これで侵入者は退散しますが、それでも退散しない場合はつかみ合いとなり、噛まれてどちらかが殺されることもあります。



つづく→#6:脱皮直後のジョロウグモ♀(蜘蛛)と交接を繰り返す♂



2015/11/24

ニラの花蜜を吸うオオフタオビドロバチ



2015年9月中旬

郊外住宅地の道端に咲いたニラの群落でオオフタオビドロバチAnterhynchium flavomarginatum)が忙しなく訪花していました。




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