2014/08/12

イエユウレイグモ(蜘蛛)幼体の孵化

2014年6月中旬
▼前回の記事
卵嚢を守り♂を牽制するイエユウレイグモ♀(蜘蛛:微速度撮影)
室内の天井隅に張られた不規則網に居るイエユウレイグモ♀(Pholcus phalangioides)が依然として卵嚢ガードを続けています。
この日の朝の定点観察では、個体標識した♂水色が♀の網から姿を消していました。
次はいつ現れるかな?





虫の知らせでこの日は珍しく午後にも再チェックしました。
すると、遂に卵嚢から幼体が孵化していました。
20〜30匹の幼体は未だ密集していて動きません(団居)。

母親の口元をよく見ると、卵嚢の白い皮だけ咥えています。
その直下に幼体の団居が球状に垂れ下がっています。
幼体が自力で卵嚢の中から一斉に脱出するのか、それとも母親が袋を食い破って幼体の脱出を助けてやるのか、とても興味があります。
幼体の孵化が近いと知った上で、居候の♂に幼体を捕食されるのを恐れて網から追い出したのでしょうか?

撮影の合間に息を吹きかけると成体♀が動きました。
定点観察中に母親が捕食している姿を見たことがなかったので、てっきり飲まず食わずの卵嚢ガードで死んでいるのかと焦りました。
母クモが健在と分かり一安心。
私は観察できてませんが、卵嚢ガード中のイエユウレイグモ♀も網にかかった獲物を捕食する際は一時的に卵嚢を手放すのだそうです。
そんな興味深い習性があると知っていれば、給餌してでも観察したかったです。

初めの産卵シーン(卵嚢作り)も見ていないので、卵嚢ガードの期間も不明です。

つづく




ウツギヒメハナバチ♂の探雌飛翔と♀の交尾拒否【ハイスピード動画】



2014年6月中旬

堤防に咲いたウツギの花で採餌するウツギヒメハナバチ♀(Andrena prostomias)を撮っていると、突然♂が飛び付いてきて交尾を試みることがあります。
多数のペアを撮れたので、そのようなシーンをまとめてみました。
冒頭だけ通常のHD動画(リアルタイム)で、残りは240-fpsのハイスピード動画(1/8倍速のスローモーション)です。(@0:29〜)

引きの絵で撮ると分かりやすいのですが、交尾相手の♀を探す♂は空中を蛇行するようにジグザグに飛んできます。
訪花中の♀を見つけるとホバリング(停空飛翔)で狙いを定め、飛び付きます。
儀式的な(ロマンチックな)求愛行動のようなものは見られず、♂が捕獲した♀にしがみつき急いでマウントしようとするだけの何とも無粋な配偶行動です。

一方、採餌に忙しい♀は♂に迫られる度に、交尾拒否しています。

既に交尾を済ませており、産卵に必要な精子は充分に蓄えているのでしょう。
本種の交尾は一瞬で終わるらしいのですが、毎回スローモーションで見ても交尾器は繋がってないと思います。
残念ながら♂の求愛(アタック)が実って交尾に至った例は未見です。
6月の花嫁(ジューンブライド)を見ようと思ったら、営巣地を探さないといけないようです。
吸蜜中の♀は頭隠して尻隠さずの無防備な状態です。
突然♂に背後から挑みかかられて驚いた♀が必死に暴れて格闘になることもあります。
飛来した♂が♀に近づいただけで、♀が嫌って花から落ちるように飛んで逃げることがあります。
♀は花から花へ歩いて逃げ、花の陰に隠れてやり過ごすこともあります。

ガールハントに失敗し独り残された♂はバツが悪そうにしばらく身繕いしてから飛び去りました。

♂は幼虫のために花粉を集めたりしないので、後脚の花粉籠は当然、空荷です。
もう一つ雄蜂の特徴として気づいたのは、♂だけ顔色(頭楯?)が白いようです。
体長は♀>♂。

『但馬・楽音寺のウツギヒメハナバチ:その生態と保護』によると、

ウツギヒメハナバチは典型的な♂先熟で、♀は旧巣から脱出後にすぐ交尾する。p91より
ヒメハナバチ属では大半の種では単雄交尾(♂と1回しか交わらない)であると考えられるが、確認は容易ではない。p91
(♂の営巣場所で♀を探す)パトロール飛翔は、地上3〜5cmの低い空間で、ジグザグに行われた。p92
・ウツギヒメハナバチの処女♀は、越冬巣から出現直後の交尾は1回だけらしい。p93
交尾器の挿入は数秒間で瞬時に終わった。p93
・♀の数は♂の数の1/3しかいない。しかも、1回しか♂を受け付けない。p94


餌場での交尾行動はあのバイブル『但馬・楽音寺のウツギヒメハナバチ』にも書いてなかったことなので、とても興奮しました。

※ 動画に登場する個体が全てウツギヒメハナバチなのか私には見分けられません。
コガタウツギヒメハナバチが混じっている可能性もあります。


2014/08/11

ヤエウツギの花蜜を吸うホシミスジ



2014年6月下旬

街中の道端に植えられたヤエウツギ(=サラサウツギ)の花が満開に咲き、ホシミスジNeptis pryeri)が翅を開閉しながら吸蜜していました。
初めはコミスジかと思いましたが、ホシミスジは後翅裏面の基部に黒点が散りばめられているのが特徴です。
私はこれが初めての出会いになります♪
『標準原色図鑑全集1:蝶・蛾』でホシミスジを調べると、「東北地方ではその産地は局部的で少ない」とのこと。
2頭以上の複数個体を撮影。



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