2014/06/05

スミレの花で吸蜜ホバリングするビロウドツリアブ



2014年5月中旬

雑木林の林床に響く羽音を頼りに探すと、ビロウドツリアブBombylius major)がスミレの花から花へ低く飛び回り、ホバリング(停空飛翔)しながら花蜜を吸っていました。

ノジスミレですかね?(スミレの仲間を見分けるのは勉強不足で難しいです。)


【追記】
田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』によると、ビロウドツリアブによる吸蜜は盗蜜行動の一種になるらしい。

ビロウドツリアブは春先にあらわれる褐色のビロードのような毛におおわれたアブで、フキの花の上やカタクリの花のまえでは羽ばたきしながら空中に停止して、8mmもある長い口をのばして蜜を吸っている。そのため、多くの花では雄しべや雌しべにはめったに触れない昆虫で、ツリフネソウの蜜を盗るスズメガ類のミニチュア版だ。 (p146より引用)



2014/06/04

カワラヒワ(野鳥)の求愛給餌?/巣立ち雛への給餌?



2014年5月中旬

住宅地の電線にカワラヒワCarduelis sinica)が2羽並んで止まっていました。
カワラヒワにしては聞き慣れない鳴き声で騒いでいたので、何事だろう?と望遠で撮影開始。

第一印象では、巣立った雛に親鳥が給餌しているのだろうと思いました。
雛は羽をばたつかせながらヒヨヒヨヒヨ♪と鳴いて餌を催促しています。
餌は何を与えているのか遠くて見えません。
カワラヒワ成鳥は種子食ですけど、種子を吐き戻して与えているのでしょうか?
それとも雛には虫を与えるのかな?(下記参照)
やがて親鳥が飛び去り、雛は電線に残りました。
待機していれば給餌行動を繰り返し観察できたかもしれませんが、先を急いでいたので泣く泣くその場を離れました。

『エソロジカル・エッセイ:無名のものたちの世界IV』という古本の「カワラヒワの繁殖生活」と題した章を読み直してみると、求愛給餌の可能性もあることが分かりました。

私の疑問について全て答えが書いてありました。

抱卵中、♂はほぼ一時間おきに戻って来て♀に給餌する。この♂から♀への給餌は、♀が「チチチ…」と激しく鳴き、翼を小刻みに振るわせ、♂が素嚢という食道の一部が変形した袋の中に蓄えて運んできた餌を吐きもどし、多い時では30〜40回の口移しによって行う。なお、この時に♀がとる行動は、巣立ちして間もない雛が親より餌をねだる行動と同様である。給餌は巣の中で行われることもある。しかし多くは、なわばりの境界付近の木の枝、電線、屋根の上などで行われる。(中略)♂にとっては単に求愛のための給餌にとどまらず、実質的に抱卵中の♀を養う行動となっている。この給餌行動はきわめて目立つ行動であることから、巣から離れた場所で行われることは、捕食者から巣を発見されにくくすることと関係すると考えられる。(中略)雛に与える餌は、ハコベ、タンポポ、ノボロギクなどの草本の種子であり、皮はすべてむかれている。(p50-51より)

給餌を受けていた個体が巣立ち雛なのか成鳥♀なのか、どなたか見分けられる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。

遠いが声紋解析してみる?



【追記】
Birdlover.jp氏による見事な動画↓「カワラヒワの求愛給餌行動」を見つけたので、貼っておきます。



羽化したエントツドロバチ♀の帰郷性【飛翔のハイスピード動画】



2014年5月中旬

エントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)が室内を飛び回っています。
走光性があり明るい窓に向かって飛ぶとレースカーテンにしがみついてウロウロしたり身繕いしたりしています。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮影してみました

実は昨年、野外に仕掛けた竹筒トラップを秋に回収していました。
竹を割って中の観察もできないまま窓際に放置していたのですが、室内越冬してから成虫が羽化したようです。

竹筒トラップを包んだビニール袋内でここ数日ガサゴソ音を立てていたのが気になっていました。
そのビニール袋に蜂が繰り返し訪れていました。
袋を噛んで穴を開け、中に侵入することもありました。
エントツドロバチは♀のみの単為生殖を行うので、「先に羽化した♂が交尾のため竹筒に戻って♀の羽化を待ち構えている」というありがちなストーリーは成り立ちません。
本種は帰郷性(自分が羽化した巣または隣接した巣に引き続き営巣する習性)があることを思い出して腑に落ちました。

とても人懐こい蜂で、繰り返し私の腕や肩に止まって汗を舐めました。
カーテンレールの隙間に頭を突っ込んで調べていました。
借坑性のエントツドロバチがいかにも営巣地を探索していそうな行動です。
室内で巣作りを始めてくれれば観察に好都合です。
慌てて窓際に新しい竹筒トラップを置いてみたのですけど、なぜかあまり興味を示してくれません。

開け放した窓から同一個体と思われる蜂が繰り返し侵入して室内を飛び回ります。
個体識別のためマーキングを施そうと考えました。

ところが捕獲に失敗し、逃げられてしまいました。
捕虫網を振る手元が狂い、飛んでいる蜂をうっかり手で打ってしまったのです。
これで蜂はすっかり怖がってしまったようで、その後は全く寄り付かなくなりました。
あーあ…。(落胆)

窓を閉めてから落ち着いて捕獲するべきでした。


ランダムに記事を読む