2014年3月上旬・室温20℃
マダラスジハエトリの飼育記録11
マダラスジハエトリ(Plexippoides annulipedis)の幼体を見つけてきたので、飼育してきた同種の成体♂と同居させてみました。
幼体の飼育容器に成体♂を投入しました。
容器内には幼体のしおり糸が張り巡らされています。
体長は明らかに、成体♂>幼体です。
体格差があるのに互いに警戒しているようで、なるべく遠くに位置したがります。
容器内で最大限に距離をとるために対角線の位置になります。
成体♂は相手を見つめながら長い第1歩脚を同時に振り上げて威嚇の誇示行動を行います。
振り上げた第1歩脚の先がヒクヒク動いています。
このとき大顎は動いていません。
クモは「目で追う」(眼球だけを動かす)ことが出来ませんので、幼体が目の前を横切ると成体♂は体ごと方向転換します。
動画のピントが合っているのは成体♂だけですが、幼体の方は誇示行動を行いませんでした。
つづく→シリーズ#12
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幼体の写真です。 |
2014年3月下旬
平地の住宅地でカワラヒワ(Carduelis sinica)の群れが樹上で鳴き交わしていました。
冬芽を採食しているのかと思い、そのうちの一羽を撮り始めたものの、こちらを警戒しているようです。
枝に付いていた白い羽毛になぜか興味を示して啄みました。
嘴に付着した羽毛を枝に擦りつけてすぐに取り除きました。
巣材集め(産座として柔らかい羽毛を集める?)の時期には早過ぎる気もしますし、何か餌だとうっかり間違えたのでしょう。
スズメも近くに居たので、カワラヒワの羽毛とは限りません。
2014年3月下旬
軒先や庭木の枝先で蚊柱が発生しています。
群飛する様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
個々のユスリカ?は飛びながら上下動していることが分かります。
1/8倍速のスローモーションにすると羽ばたきも視認できます。
背景を白い雪原にすると撮りやすいです。
HD動画でも撮ってみました。
やがて雨が降り始めました。
採集していないので当然、種名は不明です。
(たとえ採集しても素人が名前を調べるのは難しいでしょうけど。)
私の知識ではユスリカの仲間の♂が群飛しているのかと思ったのですが、百科事典で「蚊柱」を調べてみるとユスリカ科とは言い切れずかなり複雑(多種多様)で奥が深いようです。
- 蚊柱をつくるカ科以外の双翅類にはユスリカ科,ガガンボダマシ科,ヒメガガンボ科などが知られる。
- 早春から林間や軒下などに群飛が見られる種類はガガンボダマシ科に多く,いろいろの種類が知られる。
- 一般に朝と夕方に見られるが曇天のときは日中でも蚊柱をつくることがある。
- これらの群飛は雨の兆しといわれる。
平凡社『世界大百科事典』より引用。
- 構成は普通、雄だけで、雌がこれに飛び入り雄と交尾することが観察されているので、生殖のための行動といわれているが、雌だけの群飛や1種類だけでない場合もある。
- 蚊柱ができるのは夕暮れ、夜明けが多いが、種類と天候により日中にもできる。
- 双翅類以外でも蚊柱と同じ現象が、カゲロウ、トビケラ、カワゲラ、クビナガカメムシなどでみられる。
小学館『日本大百科』より引用。
関連記事(9年後の撮影)▶ 蚊柱が立つ夕暮れの小川【トレイルカメラ:暗視映像】ユスリカの群飛
【追記】
『日本動物大百科9昆虫II』p108によると、
♂集団の群飛音または群飛形に♀が誘引され、近寄ってきた♀の飛翔音で♂は同種の♀を識別し、競って交尾を試みる。
上村佳孝『昆虫の交尾は、味わい深い…。 (岩波科学ライブラリー)』によれば、
春から夏、河原の土手などでよく見かける「蚊柱」も、たいていユスリカの仲間などのレックだ。 レックとは、集団お見合い場。♀はそこに順次やってきては♂の品定めをする。(p90より引用)