2014/02/19

アカヤマアリ♀の群れ



2013年8月下旬

アカヤマアリFormica sanguinea)の巣の定点観察。

奴隷狩りの様子を是非とも観察したかったのですけど、既に時期を過ぎてしまったのでしょうか。
気軽に通える場所ではないので、夏は他のことが忙しくなると足が遠のいてしまいました。
久しぶりに見ると、このコロニーの奴隷アリ(クロヤマアリFormica japonica
)は激減してほとんど姿を見なくなりました。

アカヤマアリのワーカー♀が巣口の付近をうろうろと右往左往しています。
巣口は路肩の影となり、撮りにくい…。



オニベニシタバ(蛾)の威嚇と飛翔【ハイスピード動画】



2013年10月下旬

ミズナラの幹に止まって樹液を吸っているオニベニシタバCatocala dula dula)は翅を閉じていると周囲の樹皮に完璧に紛れ込んでいます。
後翅の赤い模様を広げた瞬間を見たくて、240-fpsのハイスピード動画で長撮りしてみました。



シーン1:
近づいてきたハエに対して翅を広げて威嚇しました。

シーン2:
先客のアカタテハに対して翅を激しく広げて追い払いました。(占有行動)
この瞬間の後翅の黒紋からオニベニシタバと判明。
力関係の序列はオニベニシタバがアカタテハよりも上になるようです。
(オオスズメバチ>オニベニシタバ>アカタテハ>ハエ)

シーン3:
飛び立ちの瞬間を撮りたかったのですが、何度も小石を投げ付けたくらいでは逃げませんでした。
自分の保護色に絶対の自信があるようです。
蛾の横から幹を棒で叩いたら漸く飛んでくれました。
驚かせたら翅を広げて派手な後翅を見せてくれるかな?と思ったりもしたのですけど、飛んで逃げました。

シーン4:
シータテハを撮っていたら、目の前を偶然オニベニシタバが飛んで横切りました。


(オニベニシタバの)あざやかな後翅には、捕食者である鳥への視覚撹乱効果があるとされており、飛んで逃げる際に消失する色、この視覚情報の切り替えに鳥は惑わされるといわれる。
『樹液に集まる昆虫ハンドブック』p27より引用




【追記】
福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』によると、
 ヤガ科のシタバガ類は樹幹にとまっているときは、鮮やかな色彩をもつ後翅が樹皮状模様の前翅によって隠されているので、鳥などには保護色となってわかりにくい(1次防衛)。しかし、たまたま鳥に発見されると、後翅をパッと開いて飛び立ち鳥は鮮やかな色に幻惑されて攻撃をひかえる(2次防衛)という。シタバガ類の後翅が、種によって黄色・紫色・白色などと変化するのは、鳥の攻撃をさけるための適応と考えることもできる。 (p107より引用)
二段構えの防衛戦略を解説するための1次防衛、2次防衛という用語は初めて知りました。


2014/02/18

樹液酒場で口付けを交わすオオスズメバチ♀(栄養交換)



2013年10月下旬

樹液が滲むミズナラの幹を歩き回ったり、立ち止まって身繕いしているオオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)がいます。
樹液酒場で吸汁している蝶を見つけると、駆け寄って追い払っています。(餌場の占有行動)

幹を徘徊パトロール中にもう1匹のオオスズメバチ♀と遭遇し、出会い頭に長い口付けを交わしました。(@2:05)
これは社会性ハチ類で見られる栄養交換と呼ばれる行動で、同じコロニーから来た仲間に口移しで樹液を分け与えているのだろうと初めは思いました。
2匹の体長にやや差があります。
ただの個体差なのか、それとも新女王とワーカーの組み合わせなのか、不明です。
近くでシータテハが鬼の居ぬ間に樹液を吸汁しています。

しばらくすると、ミズナラの木の周囲でオオスズメバチ♀同士が激しい空中戦をしていました。(映像なし)
慌てて録画を始めると(@3:00)、2匹が幹に止まってからまたもや口付けを交わしました。
喧嘩の続きで大顎で噛みつき合っているようには見えません。
挨拶の結果、同じ巣由来の仲間であると認識し、和解できたようです。
相次いで平和に飛び去りました。
ただし巣がどこにあるのか突き止めないことには、上の解釈も想像に過ぎません。

スズメバチ関連書を読むと、オオスズメバチは同じ巣の仲間と協同で餌場を防衛・占有し、異なるコロニー間では餌場を奪い合う争いがあるのだそうです。

とりあえずこの樹液酒場に何匹のオオスズメバチが通ってきているのか知りたいところです。
そのためには、蜂を片端から生け捕りにして個体標識する必要があります。
相手がオオスズメバチでは特にしっかり準備して挑まないと危険が伴いますので、今後の課題です。
せめてその場で体長を測れれば、ワーカー/新女王の区別が付いたかもしれません。

以前、コナラの樹液酒場でも同様の栄養交換を観察しています。

関連記事→「樹液酒場のオオスズメバチ

【参考】
「都市のスズメバチ」サイトによると、

栄養交換は成虫同士でも頻繁に行われ,甘露や樹液などの液状の食物を口移しでやりとりします.行う場所は巣盤,巣口,外皮などですが,オオスズメバチでは樹液の採集場所でも頻繁に行われます.



【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
 成虫間の食物交換は、社会性ハチ類の場合には、巣の中でおこなわれるのが原則である。(中略)ところが、オオスズメバチだけは、巣を離れていても、同じ巣の働きバチ同士が、頻繁に口移しによる食物のやりとりをおこなう。このスズメバチは、集団で他の社会性ハチ類の巣を襲い、幼虫や蛹を掠奪するという特殊なえさ集めをおこなっているが、その際に、成虫間の食物交換が、エネルギーの補給路として重要な意義をもっている。(p184-185より引用)



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