2013/09/03

イヌエンジュを訪花するスミゾメハキリバチ♀



2013年7月中旬

民家の庭木として植えられたイヌエンジュをスミゾメハキリバチ♀(別名ムナカタハキリバチ、Megachile sumizome)が訪花していました。
背面は真っ黒の蜂ですが、腹面に生えた赤褐色のスコパに白い花粉を少し付けています。






この白い花の樹種を知らなかったので、「このきなんのき掲示板」にて写真鑑定してもらったところ、総状花序なのでエンジュではなくイヌエンジュだろうとご教示頂きました。





ニホンミツバチ♀の巣を冷やす扇風行動【ハイスピード動画】



2013年7月中旬・気温31℃@日陰

コンクリート製電柱の穴に自然営巣しているニホンミツバチApis cerana japonica)の定点観察。
気温は日陰での測定値で、直射日光に晒された電柱の温度はもっと熱いはずです。

巣口のネジ穴内部に2匹のワーカー♀(門衛)が頭を外に向けて居座り、その場で激しく羽ばたいています。※
これは巣内を冷却するための扇風行動です。

冷房以外の可能性として、巣内のCO2濃度の上昇を感知したミツバチが換気しているのかもしれません。
240-fpsのハイスピード動画でその羽ばたきを撮ってみました。

帰巣する蜂の花粉籠はいずれも空っぽでした。
夏は花が少なくなり、ハナバチにとって苦しい時期です。
帰巣する蜂が巣口に近づきすぎると、扇風行動による乱気流に巻き込まれて体勢を崩していました。
扇風行動に専念する門衛は、出入りする蜂にぶつかった時だけしか羽ばたきを止めません。

もしかすると、扇風行動しながら花蜜を吐き戻して濃縮していたかもしれません。
近づいて接写するには服装や装備が不十分で断念。

『ミツバチ学』の著者が扇風行動を解説したホームページによると、

ニホンミツバチが頭を外に向けて羽を震わせるのに比べ(入口から風が巣の中に入る)、セイヨウミツバチは頭を巣の入り口に向けて羽を震わせるのです(入口から巣内の暑い空気が引き出される)。
この違いは巣の匂いを天敵であるスズメバチに悟られないためニホンミツバチが編み出した扇風法なのだそうです。



【追記】
『ニホンミツバチ:北限のApis cerana』p34によると、
(ニホンミツバチは)セイヨウミツバチと扇風の向きが逆で、新鮮な冷気を外から中へ入れるように、頭を巣門の外に向けて気流を巣内に導くように翅を羽ばたく。1秒間に150回前後と飛翔時より少しビート数が少ない。

2013/09/02

ヒメクモバチ♀d♂eの交尾と交尾拒否



2013年7月上旬

ヒメクモバチ羽化の飼育記録5

泥巣から羽化脱出するヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)を観察するための撮影機材と飼育容器の全体をメッシュネットで覆い、手製の網室のようにしていました。
こうすることで、放置していても羽化した成虫を確実に生け捕りすることができます。
ペアリング(交尾)する相手が羽化してくるまで、捕まえた蜂に水と蜂蜜を与えておきました。
(少なくとも飲み水を与えないと僅か1日でヒメクモバチは死んでしまいます。)

この日に羽化脱出したばかりの♂eと前日に羽化した♀dとの交尾行動を観察してみました。
プラスチックの容器に同居させたら撮影の準備が整う前にあっという間に♂が♀に飛びついてマウントし、さっさと交尾してしまいました。
2009年に飼育観察した時のように蜂を炭酸ガスで麻酔してから同居させればよかったですね。
♀は全身真っ黒で地味な蜂ですけど、それに対して小柄な♂は顔が白く腹端背面に白点があるのが特徴です。
また今回初めて気づいたのですが、足の色に性差があるような気がします(♂の前脚および中脚が褐色、♀は黒色)。
♀に背後からマウントしたまま♂はときどき羽ばたいています。
交尾はすぐに終了し、ペアを解消した♂は触角を掃除しています。

しばらくすると再度♂が交尾を仕掛けるも、♀が暴れて逃げました。
♀の交尾拒否は何度も見られ、その場で激しく旋回して♂にマウントされないようにする行動も見られました。
ヒメクモバチの♀は生涯に一度しか交尾しないのでしょうか?
同じ♂とは一度しか交尾しないのでしょうか?
2009年の飼育観察では、近親交配ですけど同一ペアが続けて何度も交尾を行ないました。
今回はたまたま相性があまり良くないペアだったのかもしれません。




甲虫飼育用に市販されている昆虫ゼリーを与えて飼育すると、この♀dは羽化してから20日間、生存しました。
容器内の掃除を徹底してカビの発生を抑えられたらもっと長生きしたはずです。

以下の写真は♀dの標本です。
♂eの標本写真は前の記事で掲載済み。

▼つづく

「ヒメクモバチの泥巣は雨に弱い」は本当か?












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