2013/08/31

ヒメクモバチ♂gが泥巣から羽化脱出する瞬間



2013年7月中旬・室温24℃

ヒメクモバチ羽化の飼育記録4

前回のヒメクモバチ♂e(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)が羽化して4日後。
この日も早朝から泥巣を動画で監視記録していると、7匹目の新成虫♂gが羽化してきました。

映像をよく見ると、今回の♂gは脱出直前に育房の内部から水を吐き戻して土壁を柔らかくする行動は見られませんでした。
同じ母蜂から生まれたヒメクモバチ♂でもこの行動をする個体(♂e)としない個体(♂g)がいるという結論になりました。

泥巣の端に作られた育房から順に脱出口が開いています。
育房はあと一つ残っているように見えますけど、その後はもう新成虫の羽化はありませんでした。
計7匹で打ち止め。
今回タニウツギの葉裏から採集したヒメクモバチ泥巣の被寄生率は零でした。

参考記事→「ヒメベッコウの巣から羽化したホシツリアブとヤドリクモバチ
ちなみに、6匹目♂fの羽化脱出は3日前の夜に行われたものの、残念ながら見逃してしまいました。
それでも網室内で無事に蜂を捕獲。

▼つづく

交尾と交尾拒否



ヒメシジミ♂♀の交尾(結合部のアップ)



2013年6月中旬

道端のイネ科の葉に止まって交尾中のヒメシジミPlebejus argus)♀♂ペアが居ました。
左が♂、右が♀。
よく見ると、後翅裏の斑紋に微妙な性差がありますね。

翅を閉じたまま逆向きに静止し、腹端の交尾器を結合しています。
あぶれ♂(またの名をお邪魔虫)が数匹飛来するも、早い者勝ちなのか強引に割り込んだりせずにあっさり諦めて飛び去りました。
風揺れに悩まされながらも、マクロレンズで交尾器結合部を接写してみました。

交尾中にペアの片方が歩いて少し前進すると、それに引っ張られて他方も結合したまま後退します。
♀は脚で顔を拭ったりしています(身繕い)。

よく似たミヤマシジミの分布は東北地方南部〜中部地方南部らしいのですが、レッドデータによれば山形県でミヤマシジミは絶滅(EX)したとされているので除外しました。


全景




あぶれ♂の飛来

2013/08/30

ヒメクモバチ♂eが泥巣から羽化脱出する瞬間(水の吐き戻し)



2013年7月上旬・室温24〜25℃

ヒメクモバチ羽化の飼育記録3

前回のヒメクモバチ♀c(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)が羽化して2日後。
この日も早朝から泥巣を動画で監視記録していると、5匹目の新成虫eが羽化してきました。
今回の脱出口はやや小さ目で、成虫の顔色が白いので案の定♂でした。
本種の♂は腹端の背面に白点を有します。
脱出口の並びを見ると、育房の作られた順番が推測できます。
泥巣の端の育房から順に羽化しているようです。

ヒメベッコウの成虫が壺から出てくる際、口から水を吐き出して、泥を柔らかくし、壁を破る。(『ファーブル写真昆虫記2:つぼをつくるかりうど』p40より)


映像をよく見てみると、今回の♂eは確かに口から水または唾液を吐き戻して泥巣を軟化させてから脱出しているようです。
脱出の直前に泥巣のじわっと濡れた部分が黒く見えます。
決定的な瞬間を初めて映像に記録することができました。(感無量…♪)
実は本の記述を内心疑っていたので、まさか蜂が本当にこんな芸当をするなんて驚きました。
私の観察からは、「ヒメクモバチは羽化脱出の際に育房内から水を吐いて土壁を軟化する個体と、これを行わずに大顎で土壁を齧るだけで脱出する個体がいる」という玉虫色の結論になりました。
脱出戦略に性差があるのか、単なる個体差なのでしょうか?
幼虫に与えられた獲物(麻酔されたクモ)の大きさや水分含有量に依存するのかもしれません。
育房の土壁がたまたま厚ければ、中から湿らせても(水分が足りずに)外側からは見えない可能性もあります。
もしサーモグラフィーで録画すれば、脱出の直前に泥巣を水で濡らした部分の温度が気化熱で下がるはずなので、可視光下で見るよりも明瞭に分かるかもしれません。
サーモグラフィーにそこまでシビアな時間的・空間的な解像度を期待するのは無理かな?

ちなみに4匹目♀dの羽化はこの前夜に行われ、残念ながら撮り損ねました。
必ずしも朝に泥巣から脱出するとは限らないようです。

つづく→「ヒメクモバチ♂gが泥巣から羽化脱出する瞬間


ヒメクモバチ♂eの羽化脱出直後の泥巣










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