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2018/05/17

コガタスズメバチ♀が巣の内壁を削る音♪



枯木に営巣したコガタスズメバチの定点観察#14



前回の記事→#13

2016年8月中旬・午後12:37

8日ぶりの昼下がりに巣の様子を見に行くと、コガタスズメバチVespa analis insularis)の外役ワーカー♀が巣口で渋滞していました。
中の門衛と口づけを交わしています。(栄養交換)

依然として外皮の増築作業が盛んに続いています。
この日に特筆すべきは、耳を澄ますとどこからか外皮をガリガリ、ゴシゴシ♪と齧る音が響いていました。
とてもかすかな音なので、音量を最大にして聞いて下さい。(ヘッドフォン推奨)
マイクを巣の外被に密着させるように取り付ければ、もっと明瞭に録音できるはずです。
おそらく内役ワーカー♀が巣の内部から外被を大顎で齧っているのでしょう。
スズメバチ関連の本で読んだ知識ですが、外被を外側から何層にも付け足していくと同時に、内部からも削って巣盤を拡張するスペースを確保するのです。
内部から齧り取った巣材は唾液と混ぜ合わせ、巣盤を作るためのパルプとして再利用されるのだそうです。
素晴らしく合理的な建築法ですね。
スズメバチの巣にファイバースコープを挿し込んだりして、内役の様子をいつか観察・撮影してみたいものです。

つづく→#15



【追記】
巣内の様子を直接観察した訳ではないので、この物音は成虫ではなく幼虫が発した可能性も考えられます。
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
スズメバチの巣を、生けどりにしたり飼育していると、カリカリカリ…という、かなり大きな連続音が、一定の間隔をおいて聞こえてくる。これは、終齢幼虫が育房の壁をいっせいに大腮でかむことによって生じる音で、巣の中に運びこまれるえさが少なくなったときや、また、空腹の幼虫によっても、ひんぱんに発せられる。働きバチは、この音を発する幼虫にひきつけられ、肉団子を口もとへ給餌するので、つまりは、幼虫が空腹を知らせる合図となっている。 
 (中略)壁こすりによるえさねだりの行動は、スズメバチ亜科に属する4属のすべてで知られている。とくに、大型種のスズメバチ属の各種で顕著にみられる、成虫と幼虫間のコミュニケーションである。(p222-223より引用)


2018/05/16

川の魚道で採食するセグロセキレイ♂♀(野鳥)



2017年11月中旬・16:17〜16:25(日の入り時刻は午後16:28)

川に堰を作っても魚が遡上できるようにと、コンクリート堰の端っこ(川岸近く)に傾斜の緩やかな魚道が造られていました。
その魚道で日没間際にセグロセキレイ♀♂(Motacilla grandis)が走り回って採食していました。
岩の隙間などで水生昆虫を探して捕食しているのでしょう。
歩くだけでなく、ときどき飛んで岩から岩へ移動します。

冒頭で背中の黒い♂を撮っていたら、途中から背中が灰色の♀も合流しました。
つがいなのでしょうか。

ときどき鳴いていますが♪、川の流れる激しい水音にかき消されてしまいそうです。
チチュン、チチュン♪と♂が岩の上で鳴いたのは♀に呼びかけたのかな?
嘴の動きと鳴き声が一致したので、この個体の鳴き声で間違いありません。(リップシンクロ)


私の見ているフィールドではハクセキレイが優占種でセグロセキレイは滅多に見れないので、とても嬉しい出会いでした。


※ 激しい川の流れを背景に撮った映像に対していつものように手ブレ補正のデジタル処理を施すと、副作用でかえっておかしな映像になってしまいました。

変にグニャグニャと動いて酔いそうになります。
こんなことなら手ブレ補正しない方がましでしたね。(反省)
時間があれば、動画を作り直して差し替えるかもしれません。

セグロセキレイ♀左♂右(野鳥)@川:魚道+採食
セグロセキレイ♂(野鳥)@川:魚道+採食
セグロセキレイ♀(野鳥)@川:魚道+採食


2018/05/13

田んぼの稲穂を食害するスズメの群れ(野鳥)



2017年10月上旬

稲作農家にとってスズメPasser montanus)は収穫前に米を食い荒らす害鳥であり、田舎の田んぼ周辺にはスズメ追いの爆音機とか、風が吹くとキラキラ光るテープとか、案山子などが設置されていたりします。
スズメがイネの実(米)を実際に採食しているシーンをしっかり撮りたいと私は常々思っていました。
スズメはとにかく警戒心が強くて、肝心の食害シーンを動画で記録するのにひどく難儀します。

田んぼに実った稲穂にスズメの群れが集まっていました。
スズメの動向を見ていると、田んぼの中央部には行かず周縁部に留まっています。
どうやら、田んぼのすぐ近くにある木の茂みにいつでも避難できるように用心しているようです。
横の道に車が通りかかると警戒心の強いスズメは田んぼから一斉に飛び立ち、一時避難します。
しばらくすると再び樹上から田んぼに次々と飛び降りて来ます。
稲穂すれすれの上空でホバリングし、着陸すると稲穂に隠れて見えにくくなりました。

より良い撮影アングルを求めて私が少し移動しただけで、今度は私を警戒して田んぼに近寄らなくなってしまいました。
田んぼの端に無人カメラを設置すれば、もっと上手く撮れるかな?

大田真也『スズメ百態面白帳』という本を読むと、まさに私が今回観察した通りのことが書いてありました。

スズメがイネを食い荒らすのは、決まって田の周縁部で、広い田の中央部などということはけっしてない。しかも、すぐ近くにいざというときの隠れ場となる生け垣や木立、竹やぶなどの茂みがあるという条件がそろっている場所である。 (p13より引用)



川内博『大都会を生きる野鳥たち』によると、
 スズメは少なくとも稲作がはじまった数千年前から人間の近くにすみ、寄生ともいえる生活をしている鳥である。農作物やそれにつく虫などとともに、人のおこぼれを重要な食料源とし、巣のほとんどを人家や人工建造物に依存している。」(p93より引用)

「スズメはヒトに寄生」とは身も蓋もない表現ですが、言われてみれば確かにそうだなぁと納得します。

実るほど頭を垂れる稲穂かな

2018/05/12

休耕地で採食しながら喧嘩するハシボソガラスの群れ(野鳥)



2017年10月中旬・午後16:02〜16:05

山麓の農村部の原っぱ(休耕地)でハシボソガラスCorvus corone)の群れが採食していました。
枯れ草を嘴でかき分けたり地面をつついたりして、食べ物を探しています。
横の道を私が通ったせいで一時避難していたカラスが少しずつ戻って来たのです。

先客が採食している近くにわざと舞い降りて攻撃する意地悪な(?)個体が居て、小競り合いが頻発していました。
餌場でのパーソナルスペースを侵害されると怒るようで、ガーガー♪鳴き騒いでいます。
未だ着陸飛行のコントロールが下手糞な若鳥なのでしょうか?
遊びのようにふざけて挑発し合っているだけのか、群れ内での順位(序列)を決める争いがあるのか、漠然と見ているだけではよく分かりません。(カラスに足輪を付けて個体識別した上で群れを観察する必要があるでしょう)
喧嘩が次にどこで勃発するかも予測できないので、どの個体を撮るべきか目移りしてしまいました。

もう少し引きの絵で群れ全体の動向を撮ればよかったですね。
仲間とのトラブルを避けるために少し飛んで採餌場所を移動する個体もいます。

ちなみに、少し離れた(民家の裏手)刈田ではハシボソガラスの別の群れが平和に落ち穂拾いしていました。(→映像
つまり、この地域でカラスの深刻な餌不足が起きている訳ではありません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/05/11

イチジク熟果を占有するオオスズメバチ♀の威嚇行動



2017年10月上旬

▼前回の記事
熟したイチジクの果実を食害するオオスズメバチ♀


民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹でオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀が熟果に居座っています。
イチジク果頂部のいわゆる「目」と呼ばれる穴に頭を突っ込んで果肉を吸汁しています。
日本の昆虫界では最強のオオスズメバチは満腹になってもこの餌場を独り占めしているようです。(占有行動)

【シーン1】
甘い匂いに誘われたニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が後から飛来すると、オオスズメバチはその場で扇風行動のように翅を軽く震わせました。(@0:23)
威嚇されたニホンミツバチはすぐに逃げ去りました。
オオスズメバチの重低音の羽音を聞かせるだけで、他の昆虫は恐怖で逃げていくのでしょう。

【シーン2】
微小なショウジョウバエ(種名不詳)が飛来した時も熟果上のオオスズメバチ♀は急に向き直って再び軽く扇風行動で威嚇しました。(@2:12)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


余談ですが、日が落ちると夜行性の吸蛾類がイチジク熟果を吸汁しに来るのではないかと予想して、何度か夜回りしてみました。
しかし残念ながら空振りに終わりました。(観察する時間帯の問題かもしれません。)
夜行性のモンスズメバチも来ていませんでした。
昼間は様々なハチ類やハエで賑わっていたイチジク熟果も夜は静まり返っていました。



2018/05/08

リンゴ落果を食害するシダクロスズメバチ♀



2017年10月下旬・午後16:47〜16:49(日の入り時刻は16:47)

山麓のリンゴ園に沿った道端に赤く熟した果実が落ちていました。
その落果には大きくえぐれた食痕があり、中で2匹のシダクロスズメバチ♀(Vespula shidai)が食害していました。
餌資源を独り占めにしようと互いに喧嘩したりしないので、同じコロニー出身なのでしょう。
時期的に新女王かもしれませんが、私はワーカー♀との見分け方を知りません。(未採寸)
大顎で果肉を噛み、夢中になって甘い果汁を舐めています。

撮影中に右側の個体が飛び去りました。
ちょうど日没時刻でかなり薄暗いため、途中から補助照明を点灯しました。
眩しい光に照らされても、シダクロスズメバチ♀は逃げませんでした。
採集しようか思いと私がありあわせのビニール袋を用意していたら、私の殺気を感じたのか飛び去ってしまいました。


▼関連記事(3年前の撮影)
剥いたリンゴの皮や芯を吸汁するシダクロスズメバチ♀
剥いたリンゴの皮や芯を吸汁するクロスズメバチ♀

果樹の枝になっている状態のリンゴ果実を直接食害するクロスズメバチ類は未だ見たことがありません。
▼関連記事
リンゴの果実を食害するモンスズメバチ♀と待ち伏せるニホンアマガエル

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/05/07

農道で籾米を拾い食いするハシボソガラス(野鳥)



2017年10月上旬

田園地帯を貫く農道の傍らでハシボソガラスCorvus corone)が地面の一箇所を熱心に啄んでいました。
草の実でも食べているのでしょうか?
採食メニューが気になったので、撮りながら歩いて近づいてみます。
カラスは食事に夢中でなかなか逃げませんが、結局は飛び去りました。

ようやく現場に到着すると、稲刈りした後の籾米が砂利道の脇になぜか大量に散乱していました。
稲刈りしたコンバインが脱穀前の籾米をうっかりこぼしてしまったのですかね?
田んぼ内に自然に落ちている状態ではないので、このカラスの行為は「落ち穂拾い」とは呼べません。
▼関連記事(3年前に撮影)
ハシボソガラス(野鳥)の落ち穂拾い

左手で触ってみると、イネの実を指でひと粒ずつ拾い上げるのは困難でした。
ハシボソガラスはこれを丹念につついて食べていたのです。



2018/05/01

熟したイチジクの果実を食害するオオスズメバチ♀



2017年10月上旬

民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹で収穫されずに放置された熟果を様々なハチが食害しているので、定点観察に通って撮影しています。
さあ、いよいよ真打ちの登場です。

この日はオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀も数匹来ていました。

口器の動きをよく見ると、大顎で果肉をかじり取るのではなく甘い果汁を舐めているだけのようです。
2匹のオオスズメバチ♀が同じ果実で並んでいても喧嘩にはならないので、同じ巣からやって来たのでしょう。

ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が来て一緒に吸汁してもオオスズメバチは甘い汁に夢中で、ミツバチを襲ったり(狩ったり)追い払ったりしませんでした。
微小なショウジョウバエの仲間(種名不詳)も多数、熟したイチジクの果実にたかっていましたが、オオスズメバチは全く気にしていません。

複数個体を撮影。
この日はイチジクの熟果に来るコガタスズメバチの数が少ない印象を受けました。
おそらくスズメバチ界最強のオオスズメバチが餌場を占有しているせいでしょう。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




2018/04/29

熟したイチジクの果実を食害するエントツドロバチ♀とニホンミツバチ♀



2017年10月上旬

民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹でエントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)も熟した果実を食べに訪れていました。
イチジクの果実の上をぐるぐると歩き回り、熟した(食害)部分を探り当てると吸汁を開始。

手前に茂った枝葉が邪魔で撮影に苦労しましたが、なんとかぎりぎり撮れるのアングルを見つけました。
後からニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が飛来。
エントツドロバチ♀はミツバチに向き直ったものの、追い払ったりせず非干渉でした。(金持ち喧嘩せず)

よく見ると微小なショウジョウバエの仲間(種名不詳)も数匹、イチジクの熟果に集まっていました。
(ショウジョウバエは果物が好きなので納得)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/04/26

リンゴの果実を食害するモンスズメバチ♀と待ち伏せるニホンアマガエル



2017年10月上旬

山麓のリンゴ園の樹上で赤く熟した果実に大きな食痕があり、そこに一匹のモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が止まっていました。
大顎で果肉を噛んでいます。
白い果肉の塊をかじり取っても、獲物の肉団子のように巣へ持ち帰るのではなく、しばらくするとその場に吐き捨てました。
果肉を咀嚼してリンゴの果汁を絞りとるように飲んでいるだけと判明。
食事の合間に身繕いしています。

モンスズメバチ♀が食べたリンゴの切り口が茶色く変色していないので(白いまま)、新鮮な食痕なのでしょう。

リンゴ果実中心付近の糖度の高い部分(俗に言う蜜が入った部分)には到達していませんでした。(蜜が入らない品種なのかな?)
モンスズメバチ♀は赤い果皮も齧って、丸い食痕をどんどん大きくしています。
果樹園にとっては、もしかすると野鳥による食害よりもスズメバチの方が深刻かもしれません。
しかしスズメバチ類はリンゴの葉を食害する害虫(イモムシ、毛虫に限らず甲虫も)を大量に捕食してくれる益虫でもあります。
特にモンスズメバチは、リンゴの幹から吸汁するセミもよく狩るはずです。
したがって、果樹園でスズメバチを安易に駆除すると必ずや酷いしっぺ返しに会うでしょう。
枝に生ったリンゴ果実を直接食害するスズメバチは今回初めて見ましたし、近くのリンゴの木を見て回っても他にはいませんでした。
果樹園の中には入らず周囲の道から見て回っただけですが、リンゴ園の地面に散乱する落果には意外にも昆虫は来ていませんでした。



▼関連記事
飼育チャイロスズメバチ♀にリンゴを与えてみる
剥いたリンゴの皮や芯を吸汁するシダクロスズメバチ♀ 
剥いたリンゴの皮や芯を吸汁するクロスズメバチ♀ 

撮影していると、上の枝からニホンアマガエルHyla japonica)がのっそりと降りて来ました。(@2:20)
喉をヒクヒクさせながら蜂を見下ろしています。
リンゴ熟果に誘引された昆虫を待ち伏せして捕食するのでしょう。
モンスズメバチを捕食する狩りの瞬間が見れるか?と期待しつつ固唾を飲んで見守りました。
しかし、ニホンアマガエルの舌が届く射程距離まで獲物が近づきませんでした。
強力な毒針を持つスズメバチは手出しするべきではない危険な獲物だとアマガエルは認識しているのでしょうか?
だとすればモンスズメバチの黄色と黒の縞模様は、捕食者に対する警告色(警戒色)として見事に機能したことになります。(ミューラー型擬態)
やがて諦めたカエルが枝を登って居なくなってしまいました。
普段このニホンアマガエルはリンゴ熟果で待ち伏せしてハエなどを捕食しているのでしょう。
単に今回のアマガエルは空腹ではなかったのか、獲物としてモンスズメバチは大き過ぎたのかもしれません。



【追記】
松浦誠、山根正気『スズメバチ類の比較行動学』という専門書の第12-3章で、「果樹害虫としてのスズメバチ」についてまとめてありました。
 (リンゴ果樹の)被害の発生は年によって差がある。渡辺(1949)は北海道におけるリンゴの被害について、200品種以上の植栽された園で'シキシマ’が9月中旬頃からV. crabroV. mandariniaの(モンスズメバチとオオスズメバチ:しぐま註)集中加害を受け、30%の果実が表皮と果芯を残しことごとく食害されたと報告している。この品種は表皮は比較的薄く、果実は軟質で酸味がやや強く9月下旬頃成熟する。しかし、表皮が厚く、果肉の硬い晩生品種にはまったく被害がみられなかったという。(p325より引用)



モンスズメバチ♀@リンゴ果実+食害吸汁+ニホンアマガエル@待ち伏せ

2018/04/24

熟したイチジクの果実を食害するコガタスズメバチ♀とニホンミツバチ♀



2017年10月上旬

民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹にコガタスズメバチVespa analis insularis)とニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が来ていました。

熟した果実や腐りかけの果実を大顎で齧り美味しそうに食べています。
(果肉を噛みしめて果汁を飲んでいるのかも)
熟したイチジクの実がスズメバチにかじられて穴が開き、食痕では腐敗も進行します。
樹液酒場で見られるように、発酵した果実を食べた蜂がアルコールで酔っ払うのかどうか、興味があります。
イチジクの実からよく滑落するのは酩酊の現れですかね?

ニホンミツバチやハエはコガタスズメバチが来ると追い払われてしまいます。
餌場を独り占めにしようとする占有行動なのでしょう。
コガタスズメバチ♀同士は喧嘩しなかったので、おそらく同じコロニー出身ですね。

食痕からボロボロ落ちた赤い果肉片が下に茂ったイチジクの葉に散乱しています。
これはスズメバチの食べかすでしょうか?

むしろ最初は野鳥がつついたような気がします。
もしかすると、果実内に産卵されて育ったハエの幼虫が蛹になるために果皮を食い破って脱出したときに果肉が落ちたのかもしれません。

▼関連記事 
イチジクの未熟果を舐める謎の黒い蝿はクロツヤバエの一種か? 【名前を教えて】


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


コガタスズメバチ♀@イチジク熟果+食害・吸汁
コガタスズメバチ♀@イチジク腐果+食害・吸汁

2018/04/22

熟したイチジクの果実を食害するキイロスズメバチ♀とニホンミツバチ♀



2017年10月上旬

民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹で熟して腐りかけの果実にキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)とニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が吸汁に来ていました。
収穫期を過ぎても放置されているため、食害を受けています。

キイロスズメバチは果肉を大顎で齧っているものの、団子にして巣に持ち帰ることはなく、その場で貪るように食べています。
同じ果実でニホンミツバチが果頂部の目からこっそり吸汁しても、キイロスズメバチからは見えない死角のようで、追い払ったり狩ったりしませんでした。

※ 逆光対策のため、動画編集時に自動色調補正を施しています。

かぶもとてるひさ『イチジクの絵本』によれば、

・イチジクは寒さに弱く、成木で-8〜12℃が限界とされ、幼木はさらに弱い。(中略)北陸地方以北や寒冷地では、寒さに強い蓬莱柿、ブラウン・ターキー、セレストなどや、寒さにやや強いホワイト・ゼノア、ブルンスウィック、カドタなどの品種を選んで植えるといいね。  (p12より引用)
・イチジクは亜熱帯性の果樹で乾燥した半砂漠地帯の原産だから、栽培地は夏の高温より冬の低温によってきまるんだ。日本では北海道をのぞき、どこでも栽培できる。でも、経済栽培の北限は、東北地方南部(新潟、福島、宮城をむすぶ線)にあるとみなされている。  (p13より)
・果頂部の目も、幼果や未熟果では上を向いているけれど、熟度が進むにつれて下向きになり、適熟果〜完熟果ではななめからほとんど下向きになる。 (p34より)

ここ山形県は雪国なので、特に耐寒性の強い品種が植えられているのでしょう。


ニホンミツバチ♀+キイロスズメバチ♀@イチジク熟果吸汁
キイロスズメバチ♀@イチジク熟果吸汁
ニホンミツバチ♀@イチジク腐果吸汁

2018/04/19

チャコウラナメクジの好物は?【10倍速映像】



2016年10月下旬・午後23:04〜23:11

これまで野外でナメクジがキノコを食べる様子を観察したことがありました。


▼関連記事
倒木でキノコを食す黄色いナメクジ【名前を教えて】
キノコを食べるナメクジ【名前を教えて】

てっきりナメクジはキノコが好きなのかと思い、飼育中のチャコウラナメクジAmbigolimax valentianus)にキノコを給餌してみました。
スーパーで買ってきた普通のシメジは気に入らなかったようで、口を付けないまま干からびたので捨てました。

(映像はここから。)

栽培されたキノコではなく山で採れたブナシメジ(ホンシメジ?)を給餌してみたら、どうでしょうか?
他には煮干しと、気紛れで乾パンも与えてみました。

10倍の早回し映像をご覧下さい。
結果は、煮干しを少し齧っただけでした。

▼関連記事 
煮干しを食べるチャコウラナメクジ 【10倍速映像】

キノコは今回も口にせず、方向転換して立ち去りました。
ナメクジが好きなキノコは特定の種類に限られるのかもしれません。(それを突き止めたいものです)

動画を撮り始めるとナメクジはいつもすぐに居なくなってしまい、私としては物足りないです。
長撮り中の眩しい照明が嫌なのかな?
赤外線の暗視カメラで行動を監視すれば、より自然な振る舞いをしてくれるでしょうか。


2018/04/13

キジバトの首振り歩行と脱糞 【HD動画&ハイスピード動画:野鳥】



2017年9月中旬

路上を歩きながらキジバトStreptopelia orientalis)がときどき地面を啄んで採食しています。
ハトの仲間は両足を交互に出してトコトコ歩きます。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』というベストセラー本で以前読んだ通り、キジバトも確かに一歩ずつ首を前後に振りながら歩行していました。

後半はキジバトの首振り歩行運動を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:06〜)
スローモーションで見るとよく分かるように、一歩踏み出す度に頭を前後に動かしています。
側面からのアングルだと一目瞭然。
しかしキジバトはカワラバト(ドバト)よりも警戒心が強く、基本的にカメラからどんどん遠ざかってしまいます。
この首振り運動の謎を知りたい方は、ぜひ名著『ハトはなぜ首を振って歩くのか』の一読をおすすめします。


▼関連記事
ドバトの首振り歩行 【ハイスピード動画:野鳥】

さて、狙って撮った訳ではありませんが、スローモーションの映像にキジバトが排便する後ろ姿がたまたま写っていました。(@1:56)
立ち止まって地面をついばみ、再び歩き出す際にポトリと脱糞しています。
鳥の糞と言えば白っぽい尿酸混じりの軟便をビシャーっと排泄するのが普通ですが、キジバトの糞は黒っぽくて丸い塊でした。

キジバトの糞はいつもこのような固形便なのでしょうか?

実はこの後、同一個体のキジバトが道端でツユクサの実を大量に採食(丸呑み)しました。

▼関連記事
ツユクサの実を食べるキジバト(野鳥)
キジバトが路上に残した糞にツユクサなど植物の種子が含まれているか調べるべきでしたね。
しかし実際の脱糞は一瞬の出来事で、撮影中は見過ごしてしまいました(気づかず)。
植物の実をよく食べるキジバトは種子散布に関与するのか、それとも種子捕食者なのか、それが問題です。
本で得た知識では、種子食性のハト類は砂嚢が発達していて、植物の実を飲み込むと種子も一緒に砂嚢で砕いて消化してしまうらしい。



2018/04/09

イチジクの未熟果を舐める謎の黒い蝿 【名前を教えて】



2017年9月上旬

平地の民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の木に未熟な果実がなっていて、そこから早くも甘い匂いが辺りに漂っていました。

このイチジクの匂いに誘われたのか、黒くて小さな見慣れないハエが1匹、イチジクの青い実の表面を頻りに舐めていました。
その合間に、手足を擦り合わせて身繕い。

最後は少し飛んでイチジクの葉に止まり直しました。

同定のため接写よりも採集を優先したら失敗し、残念ながら飛んで逃げられてしまいました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




イチジクと共生して授粉を助けるイチジクコバチの話は蜂好きの教養として知っていました。
しかし日本ではイチジクコバチは生息しておらず、

日本で栽培されているイチジクはほとんどが果実肥大に日本に分布しないイチジクコバチによる受粉を必要としない単為結果性品種である。(wikipediaより引用)



コバチ以外でイチジクの授粉に関与する微小のハエはいなかったっけかな?とうろ覚えの私は気になり、念の為に動画で記録してみたのでした。


私にはこのハエが所属する科も見分けられないので、邪道ですがとりあえず周辺情報からインターネット検索に頼ります。
大森直樹『一年中楽しめるコンテナ果樹の育て方』という栽培マニュアル本の内容がヒットしました。

ヨーロッパではドライフルーツに向く、大玉のスミルナ種といわれる系統の品種が主に栽培されています。この系統の品種はすべて、雄花の授粉がされないと結実しません。雄花の咲く品種群をカプリ系といいますが、この花粉をもったイチジクの受粉のために生きているといっても過言ではないのが、ブラストファーガという極小のハエ。ミルナ種のお尻の小さな穴から侵入し、受粉が行われます。ハエは、一度中に入ったら外には飛び立てず、すぐに死んでしまいます。
このハエはほとんど人の目には見えない大きさなので、食べてもわかりません。また、ドライにする過程で自然殺虫殺菌されているので、体への害はありません。
残念ながら日本国内にこのハエは存在せず、果実を実らせることは不可能です。(p92より引用)

ところが更に調べてみると呆れたことに、ブラストファーガなる昆虫はハエではなく、イチジクコバチ類Blastophaga spp.)の属名でした。
つまり、この書籍の記述は昆虫学的に不正確であることが分かりました。


「イチジク 黒いハエ」のキーワードで検索し直してみると、「イチジク属植物とイチジクコバチの共生関係を脅かすハエ類」と題した生物学者による興味深い読み物がヒットしました。
沖縄で野生のイヌビワ(イチジク属の植物)の実を調べた結果、

タマバエに寄生される花嚢は種子も作れなければコバチも育ちません。クロツヤバエに寄生される花嚢はコバチが食べられてしまいます。

同じ研究グループによって「イチジクコバチを専食するクロツヤバエがイチジクに与える影響」という研究成果も学会で報告されているようです。

日本生態学会大会講演要旨集 巻:58th ページ:457 発行年:2011年03月08日
残念ながらこの要旨の内容は一般に公開されておらず、未読です。


タマバエは明らかに動画の個体と形態が異なるので除外しました。

クロツヤバエに注目して、もう少し深堀りしてみます。
素人目にはクロツヤバエ類のずんぐりむっくりした体型は、私の動画に登場する個体と似ているような気がします。
しかし私が見た個体は体色が黒いものの、黒光りしているという印象はありませんでした。
曇っていたので光沢(つや)が無かったのですかね?
前述のように、私が出歩くフィールドにイチジクコバチは生息していないはずなので、それを専門に捕食寄生するクロツヤバエも居ないはずです。
ただし、クロツヤバエ科には何種類もいるそうなので、未だ望みはありそうです。


「知られざる双翅目のために」というサイトによると、

クロツヤバエ科(LONCHAEIDAE)は、世界に9属約520種を擁する比較的小さな分類群。幼虫が果実を食害するため、害虫としても扱われる。
日本では2013年時点で7種が記録されているが、まだ数種類の未記載種や未記録種が残っていると推定される。
wikipediaによれば、
(クロツヤバエ科の)幼虫の大部分は植食性で、葉に食害をもたらすことが知られているが、腐食性、捕食性などの種も知られている。
一方、英語版wikipediaを参照すると更に気になる記述がありました。
The black fig-fly Silba adipata McAlpine is a pest of figs.
しかし、イチジクの害虫として知られるこの学名(Silba adipata)のハエは(今のところ)日本に分布していないようです。

私が見た個体はクロツヤバエの一種ではないか?と思ったのは素人の勝手な妄想・願望でしかありません。
もし写真や動画からこのハエの名前が分かる方がいらっしゃいましたら(科だけでも)、ぜひご教示願います。
ここまで長々と書いてきても結局、私が見たハエはクロツヤバエ科ではなかったというオチかも知れません。
たとえ関係なくても、この機会に調べものしたら面白く勉強になったので、ブログに書き残しておきます。

もしこのハエが私の予想通りクロツヤバエ科でしかも♀なら、もう少し粘って観察すればイチジクの未熟果に産卵したかもしれませんね。

また、このイチジクの木がもし自分の庭に植えられたものなら、実を収穫してハエの幼虫(ウジ虫)が中に居ないかどうか調べてみたいところです。
市販されているイチジクの果実を口にする機会も滅多にありませんが、ハエの幼虫が潜んでいたという記憶はありません。

ウジ虫が中から食害したイチジクの果実は腐ったように変色するらしく、普通はヒトが食べる前に廃棄処分されてしまうのでしょう。


【追記】
調べ物でいつもお世話になっている「みんなで作る双翅目図鑑」サイトの画像一括閲覧ページ を眺めていたら、とてもよく似たハエの写真を見つけました。
Lauxanioideaシマバエ上科,Lauxaniidaeシマバエ科Minettia sp.  画像提供 Mbc様

シマバエ科という分類群は初耳です。
シマバエ科Lauxaniidaeは腐敗植物質、鳥の巣の汚物で繁殖する他、生きた植物に寄生するものも知られる。(wikipediaより引用)

『マグローヒル科学技術用語大辞典 第3版』によれば、
シマバエ科 Lauxaniidae無脊動 双翅目,環縫亜目,無弁亜区の昆虫の一科.幼虫は葉肉に穿孔する.
Minettia属については英語版wikipediaを参照。
謎のハエが今回イチジクに来ていたのは偶然なのか、それとも何か深い関係があるのか、興味深いところです。
幼虫はイチジクの葉で育つリーフマイナーなのでしょうか?




2018/04/06

フェンネルの蕾に群がり吸汁、身繕いするアカスジカメムシ



2017年8月下旬

雨上がりの夕方、民家の庭に生えたフェンネル(=ウイキョウ)アカスジカメムシGraphosoma rubrolineatum)が群らがっていました。
蕾にじっとしているだけで、映像としてはあまり面白くありません。
おそらく花芽から吸汁していると思われますが、マクロレンズで口元を接写して口吻を植物体に突き刺しているかどうか確かめるべきでしたね。
近くに黄色の花が咲き始めているのに、花よりも蕾の部分が好みのようです。

他にも細い花柄をよじ登っている個体や、前脚を互いに擦り合わせ触角をしごいている個体がいました。


▼関連記事 (前年の映像ではアカスジカメムシを1匹しか撮れていません)
フェンネルとアカスジカメムシとコアシナガバチ♀


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/04/04

ツユクサの実を食べるキジバト(野鳥)



2017年9月中旬

平地の道路を一羽のキジバトStreptopelia orientalis)が首を前後に振り振り歩きながら採食していました。
道端に咲いたツユクサの群落で頻りに何か植物体を嘴で繰り返しつついています。
アブラムシなどの小さな虫を捕食しているのかな?と初めは不思議に思いました。
「道草を食う」瞬間の映像をスロー再生してみると、どうやらツユクサの舟形の包葉ほうように挟まれている黄緑色の丸い実を気に入って繰り返し食べているのだと判明しました。(例えば@4:07ではキジバトがつつき損ねた拍子に実がこぼれ落ちています)


ツユクサの実を後で動画や写真で記録しようと思いつつ、すっかり忘れてしまいました。
画像検索で見つけた写真(撮影:Blue birdさん)へのリンクを載せておきます。
実が熟すと黒っぽい種子ができます。
ちなみに、ツユクサの花は朝咲いて午後には萎んでしまう一日花らしい。
しかも9割以上の花で、咲いた時には自家受粉が完了しているのだそうです。



野鳥と木の実の共生関係が有名ですから、初め私はツユクサの実を食べるキジバトも種子散布を助けているのだろうと短絡的に思い込み、そんなストーリーで記事を書きかけていました。
ところが鳩は種子食性のはずだと思い出し、ならば種子を消化できないとおかしいだろうと思い至りました。

▼関連記事 
大豆の芽生えを食害するキジバト(野鳥) 
豆畑に撒いた種を採食するキジバトのつがいと餌乞い(野鳥)
落穂を採食するドバト(野鳥)の群れとつつきの順位 
刈田で落ち穂拾いするカワラバト(野鳥)2羽
資料によると、「ツユクサの種子は長径5mmほどあるから比較的大きい」とのこと。
(『花の自然史:美しさの進化学』という本の第16章。森田竜義「花の性型の可塑性:雄花を咲かせるツユクサの不思議な性表現」p241より引用)


念のためにインターネット検索すると、日本野鳥の会 大阪支部の広報誌の連載記事:和田岳「身近な鳥から鳥類学」がヒットしました。

よく果実を食べているのを目にするヒヨドリ、ムクドリ、ツグミ類などは種子散布者です。一方、キジバトなどのハト類は、果実を呑み込んだら、タネまで消化してしまい、タネを運んでくれません。他に、カモ類、キジ類、アトリ類などもタネまで消化するグループです。こうした鳥は種子捕食者と呼ばれます。

次に平凡社『日本動物大百科4.鳥類II』を紐解いてキジバトの食性について参照すると、
 ハト類はすべて植物質を主食にしており、キジバトもその例にもれず植物の果実、種子、花、芽などをおもに食べる。(中略)
 樹木の果実はキジバトの主要な食物の一つである。果実を食べるとはいっても、ヒヨドリやムクドリが果肉目当てで種子は消化せずに糞やペリットとして出すのとは異なり、キジバトは種子も消化してしまう。植物の立場から見れば、種子散布に役立つヒヨドリやムクドリとは異なり、キジバトは大変迷惑な存在である。むしろキジバトは果肉ではなく種子が目当てで、ヒヨドリやムクドリが排出した種子をあさることも多い。(p22-23より引用)



「種子捕食者」という用語は初耳で、とても勉強になりました。
危うく知ったかぶりで「キジバトによるツユクサの種子散布」などと間違ったことを書くところでした。
種子食性のハト類は飲み込んだ種子を砕く砂嚢(いわゆる砂肝)が特に発達しているのでしょう。

鳥類では歯を欠くが,食物は砂嚢で細かく砕かれる.肉食性の鳥に比べ,果実・穀類などを食べるものにおいて砂嚢は特に発達し,のみこまれた砂や小石が内腔にあって食物の破砕をたすけるためにこの名がある.(『岩波生物学辞典 第4版』より引用)

野間直彦『種子散布にみる植物との共生』によれば、
(液果の)種子は鳥に丸飲みにされるが、果実食鳥の砂嚢・消化管はこれらを破壊しない。ただし、アトリ科の鳥やキジバトは種子を壊して中身を食べる。 (『鳥類生態学入門:観察と研究のしかた』第9章:p132より引用)
ハト科の中でも強力な砂嚢をもつキジバトは壊してしまう。(p134より) 



【追記】
実は同一個体のキジバトの排便も観察しています。
▼関連記事 
キジバトの首振り歩行と脱糞 【HD動画&ハイスピード動画:野鳥】
キジバトの糞に植物の種子が含まれているのかどうか、次回は確かめてみたいものです。


【追記2】
国松俊英『ハトの大研究―古代から人とともに生きてきた鳥』によれば、

キジバトが食べるのも、草の種、木の実、果実、花、芽、穀物など植物質のものです。えさは地上でさがします。(中略)果実を食べる時、ヒヨドリやムクドリは種子は消化しないで、フンやペリット(骨や毛など消化できなかったものをかたまりにしてはきだしたもの)として出してしまいます。けれどキジバトは種子が好きなので、出さないで消化してしまいます。ヒヨドリやムクドリは、種子を遠くへ運んでまいてくれます。けれど種子を食べてしまうキジバトは、植物の立場になればちょっとこまる鳥です。 (p16より引用)


種子散布の問題は鳥の糞だけでなくペリットにも注目して調べる必要がありますね。
ペリットのことを忘れていました。





【追記3】
吉川徹朗『揺れうごく鳥と樹々のつながり』 (フィールドの生物学 25)によれば、
ハト類のなかでも穀物類を主食とするキジバトやドバトは、より種子食性が強い種類であり、糞から種子が見つかったという報告はない。おそらく砂嚢で種子をすりつぶす力が強く、液果種子に対してもっぱら種子捕食者になっているとみられる。 (p115より引用)



【追記4】
根本正之『雑草たちの陣取り合戦―身近な自然のしくみをときあかす (自然とともに)』という植物学の本を読んだら、ツユクサの種子散布戦略について学ぶことができました。
ツユクサは遠くまで種子を散布するための仕組みを特に持たず、種子自身の重さで近くに落下する重力散布種子なのだそうです。 (pp33-34より)

2018/04/03

ナスとリンゴの果実を食べ排便するノハラナメクジ?【40倍速映像】



2016年9月下旬

ヒダリマキマイマイと同じ容器(大き目の水槽)でナメクジを何匹か飼っています。

台所の流しで徘徊するナメクジを見つける度に採集して、飼育容器に投入していたのです。(野菜と一緒に外から持ち込まれたナメクジ?)
餌として野菜屑を適当に入れてやると、この日はナス(茄子)のヘタが気に入った様子です。
40倍速の早回し映像をご覧下さい。

ナスの黒紫色で固い果皮には全く口を付けていません。
輪切りにした断面の白くて柔らかいスポンジ状の果肉にえぐれたような食痕が残りました。
この嗜好はヒダリマキマイマイと同じでした。

▼関連記事
ナスの実を食べるヒダリマキマイマイ 【10倍速映像】

黒い大触角を途中で引っ込めたのは、撮影用の照明が眩しいからですかね?
ナスに頭をつっこんでいる体勢のため、触角が傷つかないように引っ込めているだけかもしれません。

移動する前に、体の前方右側からオレンジ色の糞をニョロニョロと少し排泄しました。(@1:39)
糞の色は前に食べたニンジンの色素(カロチン)から来ているのでしょう。
橙色の糞がナスのへたに残りました。
ヒトのうんちは、ヘモグロビンの分解産物の色の影響が強く、食べた物の色にあまり左右されないような色(茶色系)になりますが、ナメクジが排泄するうんちは食べたエサと同じ色をしています。(p34より引用)


後半ナメクジはナスのヘタから離れ、隣に置いてあったリンゴの皮を摂食しました。
体を左右に動かしながら、皮の裏に薄く残った白い果実の部分をデザートとして食べているようです。

宇高寛子、田中寛『ナメクジ:おもしろ生態とかしこい防ぎ方』によれば、

ナメクジはゴミ食い(動植物の遺体食い)であり、生きた植物はそれほど好きではない(p83より引用)
もっと腐りかけの生ごみが好みなのかもしれませんが、飼育下では衛生面からご希望に応えられず誠に申し訳ないです。

さて、このナメクジの和名、学名が分かりません。
背中に甲羅が見えるのでコウラナメクジ科だと思うのですが、チャコウラナメクジとは違い、体の左右に黒い線が全くありません。
体全体が茶色で、素人目には特徴がありません。
体長を採寸するのを忘れました。
動画撮影中にコインでも並べて置くべきでしたね。
ヨーロッパからの外来種ノハラナメクジDeroceras reticulatum)でしょうか?
ナメクジの見分け方(簡易版)」サイトを参考にしたら、ノハラナメクジが候補に残りました。

体長は這っている時で5cm程度と小型。全体的に灰色~茶色で目立った模様は無い。
大触覚(原文ママ。「大触角」の誤植)が灰色~黒色。外来種。コウラナメクジ科。
体色が違い自信がないので、もし間違っていたら、ご指摘願います。
この検索表は「簡易版」と断っているように、国内で見られるナメクジを網羅しているとはとても思えません。

それともチャコウラナメクジ類の一種(Ambigolimax sp.)とすべきでしょうか?

日本にはチャコウラナメクジのほか、外見的によく似た複数種が侵入し、定着している。これらは生殖器の形で区別できる。(『カタツムリハンドブック』p64より引用)


※ 接写パートのみ動画編集時に自動色調補正を施しています。




↑【おまけの動画】
オリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。



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