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2016/09/27

産卵のため苔に潜るヒダリマキマイマイ【60倍速映像】



2016年6月下旬

飼育中のヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)3匹は何度も交尾を繰り返したので、そろそろ産卵する頃でしょう。


ヒダリマキマイマイを扱った本ではありませんが、『講談社カラーサイエンス6:カタツムリ』p32-35によると、

カタツムリの産卵
 カタツムリは、交尾を終えてから8日間くらいたつと、土にあなをほって産卵をします。
 土のなかは、温度やしめりけがあまりかわらないので、卵が育つには、とてもよい場所なのです。あなのふかさは2センチメートルくらいです。腹足をつかって2時間以上かかってほります。

産卵をするために、やわらかい土を探しています。

野外で適当に採取してきたコケ(種名不詳)を苺のパック容器に何層も敷き詰めて、充分に霧吹きしてやりました。
これを飼育容器に入れてやると、早速ヒダリマキマイマイは苔の中に自分から潜り込み始めました。
60倍速の早回し映像をご覧下さい。
ぐいぐいと意外に力強く潜って行きます。
ヒダリマキマイマイの殻は完全に地中に埋まりました。(苔を入れた苺パックの深さは7cm)
容器の底で方向転換したり動き回っているものの、産卵しているかどうかよく分かりません。

産卵シーンを微速度撮影で記録したかったのですけど、カメラをどのようにセッティングしたらよいのか困りました。
最大の問題として、地中に潜ったカタツムリはどうも撮影用の照明を嫌っている印象です。
(赤外線の暗視カメラなら上手く撮れたかな?)
諦めて放っておくと…。

つづく→ヒダリマキマイマイ産卵直後の卵塊




【おまけの映像】オリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開します。


2016/09/23

ヒダリマキマイマイの交尾【100倍速映像】



2016年6月下旬・午後22:49〜午前2:58

3匹のヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)を一緒に飼育していると少し狭そうです。
夏になると暑くて容器内が蒸れ、蝸牛が弱ってしまいそうな気がしました。
そこで、大き目の飼育容器をホームセンターで新しく買ってきました。
引越しすると餌には全く見向きもせず、霧吹きした壁面を盛んに徘徊しています。

夜に気づいたら2匹が新居の壁面で交尾していました。
慌てて三脚を立て、微速度撮影で記録しました。
恋矢で刺す行動は既に終わっていて残念。

交尾中は互いの位置はほとんど動きません。
野外で観察した一回目の交尾中に激しく動き回っていたのは、やはり何らかの異常事態だったようです。
今回は肝心の交尾器の結合部が見えにくいアングルになってしまいました。

交尾を終えた2匹は別れ際に熱烈な口づけを交わしました。
その場に残った個体は、もう一匹の残した粘液を舐めています。

ちなみに撮影中に測った室温は、午後22:54には25.0℃、湿度56%。
午後23:10に、は室温23.8℃、湿度59%。
日付が変わり午前00:41には、室温22.2℃、湿度66%。

交尾から12日後の7月上旬、容器内の壁面に恋矢が1つ排出されていました。
もう一つの行方が分かりません。



【おまけの動画】
早回し速度を色々と変えた動画をブログ限定で公開します。



↑60倍速映像。




↑10倍速映像。


2016/08/24

交尾後に恋矢を排出するヒダリマキマイマイ


2016年5月下旬

飼育中のヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)が軟体の右横から白い恋矢を伸ばしているように見えました。
このとき私は未だ勉強不足で、見ても意味が分かりませんでした。
発情した個体がこれから交尾しようと興奮しているのだろうか?と思い、写真を撮っただけでした。
しばらくすると容器の壁面に脱落した恋矢が残されていました。
どうやら数日前に交尾したのを見逃してしまったようです。
交尾相手から刺された恋矢を数日かけて体内から排出したのでしょう。
この排出過程を微速度撮影で記録してみたいのですが、いつも見落としてしまい、なかなか上手くいきません。

容器の天井に脱落した恋矢がもう一個へばりついていました。



ヒダリマキマイマイの交尾【60倍速映像】



2016年6月中旬・室温22.0℃→20.2℃→20.5℃

ヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)が飼育容器の蓋の裏で交尾していたので、慌てて微速度撮影で記録してみました。
60倍速の早回し映像でご覧ください。
窓際の自然光で撮ったので、カーテンが動くとちらちらして見難いですね。
残念ながら、恋矢はとっくに刺し終えた後でした。
前回の交尾とは異なり、今回は交尾器の結合は安定していて、2匹共に静止していました。
互いにほとんど動かないのが前回と大きな違いです。
相性が良かったようです。
2本のペニスが螺旋状に絡み合っています。

交尾が完了すると、初めに上の個体Uのペニス(紫色)が抜け、縮んでいきました。
次に下の個体Lのペニス(白色)が抜け、縮みました。
個体Uが下に向かって移動を始め、その後は脱走して三脚をよじ登りました。
残った個体Lはプラスチック容器の表面に付着した濃い粘液を舐めています。




↑【おまけの動画】
オリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開します。



交尾相手から刺された恋矢を2日後に排出していました。





2016/08/12

ヒダリマキマイマイの排便【10倍速映像】



2016年6月上旬

ヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)の排便シーンを微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
呼吸口や排泄口の蠢きが生々しいですね。
ニンジンを食べた後の糞はオレンジ色になります。
途中からデジタル時計を写し込みました。


カタツムリの肛門は、肺孔の横にありますが、ふだんは閉じていてめだちません。口からはいった食物は、Uターンした腸をとおって消化され、襟に開いた肛門から糞になって出ます。 (『カラー自然シリーズ16:カタツムリ』p?より)



2016/08/09

ヒダリマキマイマイ歯舌の動き【改訂版】



2016年6月中旬・室温21.4℃、湿度72%

ヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)が這い回りながらプラスチックの壁面を舐めている様子を透明容器越しに接写してみました。
ガリガリ齧る音は聞こえなかったので、ヤスリ状の歯舌を強く立ててはいないようです。

容器内に毎日欠かさず霧吹きするようにしているのですが、このとき壁面に水滴は残っていませんでした。
実は、この直前まで一緒に飼っている他の2匹が交尾していました。(動画は近日公開予定)
その交尾ペアが残した粘液や精子を舐めているのだろうか?と想像しました。


▼関連記事
ヒダリマキマイマイ歯舌の動き
4年前の映像はタッパーウェア容器越しに撮ったので不鮮明でした。


2016/08/07

前進するヒダリマキマイマイ腹足の蠕動【早回し映像あり】



2016年6月上旬

ヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)の腹足が細かく波打ちながら前進する様子を透明プラスチックの容器越しに撮りました。
微速度撮影(10倍速映像@2:30〜3:22)の方が、波打つ筋肉の蠕動を見易いですね。

曲がり角の対応が見ていて面白いです。
腹足全体を密着させるとは限らず、多少のギャップは乗り越えることが出来ます。(腹足の一部を着地面から浮かせて進むことがある)



【追記】
野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、
 ガラスなどの透明な板や網の上にカタツムリを載せて、移動する様子を裏側から観察すると、カタツムリの後ろから前に向かって、暗い帯のようなものが動いている様子を見ることができます。(中略)この帯状の模様は「足波(そくは)」と呼ばれています。 足波は多くの軟体動物で見ることができますが、種によって足波の伝わり方が違っています。(中略)カタツムリはこの足波の部分で筋肉を伸び縮みさせ、それを利用して前進していると考えられます。 (p60-61より引用)


ちなみに、「足波」を岩波生物学辞典・第4版で調べると、
[英pedal wave 独Fusswelle]腹足類において,匍匐時にその足の下面に相ついで見られる一種の収縮波.動物をガラス板上に這わせてガラスを透して観察できる.筋肉運動の特殊な一形態であるが,動物体推進の機構は蠕動運動のそれに近い.足の下面に,物体表面と密着して静止した部分と,主に背腹方向に走る筋繊維の収縮によりもち上げられた部分とが交互に横縞状に生じたもので,これが前方へ移行する順行型(direct type)のもの(例:カタツムリ)と後方へ移行する逆行型(retrograde type)のもの(例:アメフラシ)とがある.前進はもち上げられた部分がつぎつぎに前方に移動することによって起る.後退がみられることはまれである.足波が1列の単走性(monotaxic)のもの,2列の二走性(ditaxic)のものなどが区別される. 

ブルーバックスのシリーズで鈴森康一『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか―工学に立ちはだかる「究極の力学構造」 』にもカタツムリの移動法が詳しく解説してありました。

 カタツムリやナメクジは地面に接する腹の部分にからだの前方に伝播する進行波を発生させて移動する。(中略)カタツムリやナメクジ、ゴカイでは、「進行波の進む向き」と「移動方向」は一致している。 (p70より引用)





2016/07/06

ヒダリマキマイマイの排便



2016年5月中旬

飼育容器内で1匹のヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)が脱糞していました。
透明プラスチック容器越しにカラフルな糞が見えました。
糞のオレンジ色は、餌として与えたニンジン由来のカロチン色素です。
緑色は、餌として与えたイワガラミの葉に由来する葉緑素でしょう。
糞は腹足と容器壁面に挟まれた状態で、背側からは隠れて見えません。
ヒダリマキマイマイの排泄口は普通のカタツムリとは逆で、体の右側にある…はずです。
ヒダリマキマイマイが右に曲がりながら前進したら、体の左側にオレンジ色と緑色の混じった新鮮な糞が出現しました。
次に機会があれば、微速度撮影で排泄シーンを記録してみたいです。

カタツムリ関連の飼育本で見るようにもっとニョロニョロと細長い糞を想像していたのですが、ニンジンは消化が良すぎるのかもしれません。(食物繊維が少ない?)



2016/06/23

イワガラミの葉を食すヒダリマキマイマイ【10倍速映像】



2016年5月中旬

飼育下でヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)がイワガラミの葉をもりもり食べる様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
満腹したのか、それとも撮影用の照明を嫌ったのか、食べ終えたヒダリマキマイマイは移動開始。
Uターンして戻って来ると、飼育容器の壁面を登り始めました。
最後は自ら頭部を殻の中に引っ込めて、閉じ篭もりました。

飼育を続けて気づいたのですが、イワガラミの大きく育った葉は食べないようです。
固くなったり苦味成分などが強くなるのかもしれません。


ヒダリマキマイマイの空き殻を拾う

2016年5月中旬


里山でヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)の空き殻を見つけました。
山腹の細い山道に泥だらけで落ちていました。
中身が空っぽなので、天敵の餌食になったのでしょうか?
(もちろん、寿命や病気で死んだ可能性もあります。)
血沸き肉踊る名著『右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)』を読んでその面白さに感動したのですが、ここは雪国なのでイワサキセダカヘビ(右巻きのカタツムリを食べるために左より右側の歯の数が多く進化した、右利きの蛇)は残念ながら生息していません。


当地でカタツムリの捕食者として、マイマイカブリが考えられます。
左巻きのマイナーな巻き貝が相手でもマイマイカブリは捕食できるのか?と疑問に思い、調べてみると「マイマイカブリの幼虫 vs ヒダリマキマイマイ」と題した記事がネット検索でヒットしました。

カタツムリの捕食者として、陸生ホタルの幼虫の可能性もありますね。


丁度今ヒダリマキマイマイを3匹飼育していることもあり、空き殻にも興味を持ち、採集して持ち帰りました。
標本にするため、水から茹でてクリーニングします。
汚れや臭みを取り除くため、食器用洗剤を加えました。
殻の奥に残ったタンパク質を酵素で溶かしたいのですけど、脊椎動物の骨格標本作りのときのように入れ歯洗浄剤を使うと殻が漂白されそうなので止めました。
鍋の中で殻の中の空気が抜けたら殻は水に沈みました。
比重が1以上あることになります。
熱湯から出して冷水で急激に冷やすと殻が割れそうなので、ゆっくり冷まし自然乾燥しました。
(自己流の適当なやり方なので、参考にならないかもしれません。)



【追記】
殻の色が濃くて山地で採集したので、この個体はもしかすると亜種のチャイロヒダリマキマイマイEuhadra quaesita montium)かもしれません。
東北地方にも分布しているのかどうか、専門家の意見を伺いたいものです。


2016/06/21

鶏卵の殻をガリガリかじるヒダリマキマイマイ



2016年5月上旬〜中旬

飼育中のヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)にカルシウム補給のため鶏卵の殻を与えました。
すると早速、自発的に潜り込みました。(冒頭部は10倍速映像)

夜になると、歯軋りのような音が聞こえてきます。
夜行性のヒダリマキマイマイが、卵殻を内側から歯舌でガリガリ齧っているのです。(ヘッドフォン推奨)


▼関連記事:イワガラミの生葉を摂食する音
ヒダリマキマイマイの咀嚼音♪を声紋解析してみる

カタツムリは光を嫌うのではないかと予想し、初めは暗視カメラで撮影してみました。
眩しい照明を点灯すると、歯舌の咀嚼音は止んでしまいました。
翌日に卵殻の内側を調べると、食痕が残っていました。

卵殻内の食痕

そのまま飼い続けると、日中に隠れるシェルターとしても鶏卵殻を利用するようになりました。
カタツムリの糞は摂取した食物の色素をそのまま反映しているのですが、鶏卵殻に残された糞は白っぽかったです。
殻の内側に薄皮のように残っているタンパク質成分も食べたのかもしれません。

鶏卵の殻を外側から齧るのは未だ見たことがありません。

卵殻内に白い糞@6月中旬
殻内の食痕はストロボで白飛びしてしまった。

試しにアサリの貝殻を与えてみたこともあるのですが、硬過ぎたのか、アサリを齧る様子は観察できませんでした。


2016/06/12

ニンジンを師部だけ食すヒダリマキマイマイ【10倍速映像】



2016年5月上旬

交尾していたペアを含め路上で見つけた計3匹のヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)を飼育するために採集して持ち帰りました。
余談ですが、個体識別するつもりで、右に居た個体から順にa,b,cとメモした紙片を一緒に個別のビニール袋に入れました。
ところが帰宅するまでにラベルの紙片が食べられていました。
童謡「やぎさんゆうびん」みたいな間抜けな話。
カタツムリが紙を食べることを忘れていました。
こんなことなら、現場で殻に直接マジックペンでマーキングすれば良かったですね。
飼育下でもう一度交尾行動を観察したかったのですが、元々どのペアが交尾していたのか分からなくなってしまいました。

とりあえず餌としてニンジンを輪切りにしたヘタを与えてみました。(過去の飼育時にも気に入ってくれました。)

ニンジンを食べる様子を微速度撮影で記録したので、10倍速映像をご覧ください。
カタツムリは輪切りにした人参の外側の層だけを食べ進め、中央部の芯には決して口を付けずに残すことがいつも興味深く思います。
形成層の外側は養分の通路となる師管などの集合した師部組織です。
日本植物生理学会のサイトで、この問題を化学的に考察した記事を見つけました。


食痕。見事に師部だけ抉り取るように食べた。隣のジャガイモには殆ど口を付けず。

2016/06/09

野外で交尾するヒダリマキマイマイ【早回し映像】



2016年5月上旬・くもり・午前11:27〜午後13:03

道端を這い回るヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)を見つけました。

現場は平地で、標高266m地点でした。
珍しいカタツムリなのに、一度に3匹も同時に見かけたのはこれが初めてでした。
発見時は3匹が進む向きはバラバラでした(←←→)。
「発情している」という表現が正しいか分かりませんが、生殖器が少し外に出かかっている個体が気になりました。
殻が左巻きなので、本種の生殖器は通常のカタツムリとは逆で体の左側にあります。

そのうちの2匹が出会ってから交尾して別れるまでの一部始終を動画に記録する機会に恵まれました。
明け方と午前中に雨が降ったので、交尾日和だったのかもしれません。
路上を這った跡に透明の粘液が乾いてテカテカ光っています。
この軌跡を化学的な道しるべにして、互いに出会うのでしょう。
今にもぶつかりそうなので、横に15cm定規を置いて撮影開始。


3匹のヒダリマキマイマイ
交尾直前:路上に徘徊痕跡(乾いた粘液)

長撮りした映像そのままではあまりにも長編なので、6倍速に加工した早回し映像でご覧ください。
この日は三脚を持っていなかったため、手ブレはご容赦願います。

三脚を使っていれば、早回し速度をもっと上げれたのに。
カメラを路上に置いてローアングルから微速度撮影した後半(@10:55〜)は10倍速の早回し映像になります。
(長くてもオリジナル映像を見たい方は、後述のおまけ動画をご覧ください。)


2匹がすれ違いざまに激しい交尾を始めたので驚きました。
ナメクジの交尾ともまた異なり、なかなかエロチックな光景です。

▼関連記事
ヤマナメクジの交尾【50倍速映像】
ヤマナメクジの交尾

カタツムリが交尾の際に相手へ打ち込む「love dart;恋矢れんし」を初めて実際に観察して感動しました。
確かにローマ神話のキューピット(=ギリシャ神話のエロス)が放つ恋の矢を連想させますね。

恋矢はカルシウムを含み,交尾前に恋矢嚢が裏返しとなることによって射出され,相手の個体の皮膚に機械的刺激を与え,交尾が終ると捨てられる.刀身状のものが多いが,紡錘形・剣菱形・三角形・山形・円形など種類によってさまざまで,分類上の重要な標徴となる.(『岩波生物学辞典第4版』より)

蝸牛の生殖器官の解剖学や機能に全く疎くてよく分からない(自信がない)のですけど、恋矢を伸ばしたのは右側の個体Rからだけ?
また、伸ばした恋矢で相手を突き刺してはいないように思いました。(見逃しただけかも?)
やがて左側の個体LがペニスをRから抜き、ゆっくりと引っ込めました。
LがRの殻入り口(左側)に繰り返し頭を突っ込んだり殻の入り口の縁を舐めたりしている謎の行動が繰り返し見られ、どういう意味があるのか興味深く思いました。
互いに離れ始めたのに、強引に引っ張ってもRのペニスが抜けないようです。
特定の角度で抜こうとしないと抜けない構造なのでしょうか?
体の左側、ペニスの前で開閉している穴は呼吸孔かな?

いつのまにか2匹は正面から顔を突き合わせていました。
2匹は巴のような陣形で互いに左回りにぐるぐる動きました。
相手のペニスを抜くための回転運動なのでしょうか?
舗装路で長居すると体が乾燥するので、スギナ群落の生い茂った路肩の地面を目指して移動したようです。

交尾器を連結したまま相手を引き摺りながら移動し、路肩の枯れ葉の上に乗りました。
交尾のついでに落ち葉の表面を舐めて摂食しているようですけど、肝心の口元がはっきり見えませんでした。

カタツムリの交尾を初めて観察しましたが、なかなか終了しません。
これぐらい長時間続くのが普通ですかね?
やや風が強く、肌寒くなりました。(気温を測り忘れた)
カタツムリの種類によってはダート・シューティングしてから10時間以上挿入してるらしい。(※追記の参考サイト)
白昼堂々、目立つ場所で延々と交尾していたら天敵の捕食者に対して無防備ではないのか?と心配になります。
交尾中にアリが横を通りかかっても、カタツムリを狩るどころか体には決して触れませんでした。
アリがヒダリマキマイマイの殻に登っても、すぐに降りました。
カタツムリの分泌する粘液がアリの忌避物質を含んでいる印象を受けました。

途中から一方(早目に交尾が終了した個体?)が殻に引きこもって動かなくなりました。
繋がった交尾器を捻じるように片方だけが何度もぐるぐる回り、ようやく縁が切れました。
強引に引き千切ったのかな?

3匹目の個体も参戦して三つ巴の交尾になるかと密かに期待したのですが、そのような展開にはなりませんでした。
もしかすると既に交尾を済ませていたのかもしれません。
恋矢で刺されたカタツムリは性欲が減退するそうです。

交尾を終えたRはその場に居残りました。
一方、Lはスギナの群落を越えて向こう側に移動しました。
カタツムリが這った跡は透明な粘液で濡れていますが、やがて乾いてカピカピになります。




【おまけの動画】ノーカット完全版

特に交尾の初めのシーン(ダート・シューティングなど)は早送りしないこちらの方が見応えがあると思います。
カメラを路上に置いてローアングルから微速度撮影した後半(@1:08:30〜)は10倍速の早回し映像になります。


【参考サイト】
専門家(木村一貴氏)によるカタツムリの交尾とダートシューティングについて詳しく解説したサイト



相手の殻入り口の縁にキス
相手の殻入り口の縁にキス
相手の殻入り口の縁にキス
交尾中:路上に徘徊痕跡(乾いた粘液)


【追記】
飼育下で脱落したヒダリマキマイマイ恋矢の写真。
飼育容器の壁面にいつの間にか3個へばりついていました。
私が気づかずに掃除の際に幾つか捨ててしまったかもしれません。
大きさ(長さ)がまちまちですが、白いカルシウム質で魚の小骨のように硬いです。
先端は鋭く尖っています。
色が違うのは飼育下での汚れだと思います。

英語版wikipediaに掲載された本種の恋矢の模式図とそっくりです。





【追記2】
『科学のアルバム:カタツムリ』p14〜15にヒダリマキマイマイの交尾行動が連続写真で紹介されていました。
2匹のカタツムリは、石灰質でできた白い槍のような管をのばし、相手の首の右側めがけてさしこみました。このとき精子の入った袋を交換します。交尾が終わって2匹が別れるまで約1時間。ときには、袋の交換に失敗して、落としてしまうことがあります。

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