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2018/02/04

連結飛翔で水辺の産卵地を探すアオイトトンボ♀♂



2016年9月下旬
▼前回の記事(同日同所で撮った別のペア)
アオイトトンボ♀♂がサジオモダカ?の茎に連結産卵

平地にある水深の浅い沼(湿地)でアオイトトンボ♀♂(Lestes sponsa)が連結状態(尾繋がり)で飛び回っていました。
ところが、このペアは抽水植物を転々と移動しても一向に♀が産卵を始めません。
素人目に見ても産卵に適しているようには思えない(例えば茎が固そうな)植物に止まってばかりいます。
もし連結飛行が完全に♂のリードによってなされるのであれば、産卵地選定のセンスが無い(経験の浅い?)♂に思えてきました。
♀はこんな♂と別れたがっているのでは…?
産卵する気がない♀というのは、卵巣が未成熟な個体とか、逆に卵を産み尽くした個体なのでしょうか?
あるいは、交尾前のペアである可能性もありますかね?



2018/01/25

アオイトトンボ♀♂がサジオモダカ?の茎に連結産卵



2016年9月下旬

平地の浅い沼(湿地)でアオイトトンボ♀♂(Lestes sponsa)が連結状態(尾繋がり)で飛び回っていました。



初めはヨシの枯れた茎に連結状態で止まっていました。
休んでいる♀を急かすように♂が羽ばたいて、離陸を促しています。
ペアが連結飛翔で移動すると、サジオモダカと思しき抽水植物の茎に掴まりました。
アオイトトンボ♀は腹端を植物体に押し当てると、尖った産卵管を刺し込み、産卵を始めました。
茎に産卵管を軽く押し当てた状態で錐揉みするように左右にねじるような動きをして穿孔しています。
その間、アオイトトンボは♀♂ともに翅は半開きでした。
産卵を済ませると♀が主導して飛び立ちました。
(飛び立ちのシーンをスロー再生で見直すと、やはり♂が先に羽ばたきを始め♀をリードしていました。)

浅い水から生えている抽水植物の茎から茎へ点々と移動しながら産卵を続けます。

イトトンボをしっかり同定するために、胸部の斑紋を真横から撮りたいところです。
しかし意外に至近距離だったので、私が下手に動くと飛んで逃げられてしまいそうな気がしました。
仕方なく、我慢して産卵行動の動画撮影を優先しました。
遅ればせながらネイチャーガイド『日本のトンボ』という図鑑を手に入れたおかげで、苦手なトンボの名前調べも捗るようになりました。

やはり、収録種数の少ないミニ図鑑を何冊持っていても、埒が明かないですね。



産卵していた植物の名前も調べるのに苦労しました。
ただでさえ挺水植物の知識も図鑑も無い上に、花も咲いていないのでは、難問過ぎます。
ネットであちこち調べ回り、なんとなくサジオモダカかな?と思うものの、あまり自信がありません。
花期に現場を再訪して、しっかり突き止めるつもりです。

アオイトトンボ♀が後半に産卵した細い茎の植物は、ミクリじゃないし、何ですかね?(@3:09〜)
卵を産み付ける植物の種類は特に選り好みしないようです。

普段ヒトがあまり踏み込まない湿地帯に長靴を履いて出かけると、何かしらの新しい発見がありますね。

水深は浅く、長靴のくるぶしぐらいでした。
水面に油が浮いていて、お世辞にも水質はあまり綺麗とは言えませんでした。


アオイトトンボ♀♂@サジオモダカ?茎+連結産卵
この挺水植物の名前は?

サジオモダカ?・全景(水面に油が浮いている)
サジオモダカ?葉
サジオモダカ?(この粒々が蕾なのか実なのか、よく分かりません)

2018/01/09

クロイトトンボの産卵連結飛翔で主導権を握るのは♀【ハイスピード動画】



2017年8月上旬
▼前回の記事
連結態でスイレンの葉裏に産卵するクロイトトンボ

睡蓮池で尾繋がり状態(連結態)のクロイトトンボ♀♂(Cercion calamorum calamorum)ペアは頻繁に産卵ポイントを変えていました。
卵塊として産みつけるのではなく、おそらく1粒ずつあるいは少数の卵を浮葉植物の組織内に埋め込むのでしょう。
飛び立つ際に♀♂どちらが主導権を握っているのでしょうか?
240-fpsのハイスピード動画で連結飛翔を撮ってみました。(@0:15〜)

スローモーションで確認すると、決して♂が♀の首根っこを掴んで無理やり引き回している訳ではないと判明しました。
♀が産卵を終えたり場所が気に入らなかったりしたことで先に離陸を開始すると、僅かに遅れて♂も追従して飛び立っています。
必ず♀が先に飛び立ち、♂も瞬時に反応して追随するのです。
お手数ですがYouTubeの再生速度を0.25倍速のスローモーションに切り替えてご覧頂くと、よく分かるはずです(リアルタイムに対して1/32倍速の映像となります)。
クロイトトンボの♀♂カップルは亭主関白というよりもかかあ天下でした。
産卵のための飛翔ですから♀が主導権を握るのは別に不思議なことではありませんが、スーパースローの映像で突き止められたのは嬉しいことです。

ただし、一度だけ例外がありました。(@3:29〜4:17)
珍しく♂が先に飛び立とうとしたものの、♀はピクッとしただけで産卵を続けます。
結局はタンデムで飛び立ちました。(改めて♀が先行離陸)

最後の例はまた興味深いです(@4:20〜)。

♀が腹端で睡蓮の葉を探りながら軽く羽ばたいても、♂は無反応で飛び立ちませんでした。
♀の羽ばたきが激しくなり♀の脚が睡蓮の葉から完全に離れると(離陸)初めて♂が羽ばたき始めました。

イトトンボの連結飛翔をハイスピード動画で撮るのは意外にも今回が初めてでした。
タンデム(連結態)でパラパラと羽ばたくペアの影が美しいですね。
離陸後はどこへ向かって飛び(方向転換)、どこに着陸するのか、その主導権も♀が握っているのか、それとも♂が力強く♀をリードしているのか、気になるところです。

しかし、映像ではよく分かりませんでした。
♀が先に産卵地点に着陸する場合が多いようです。
連結飛翔中は一心同体に見えますが、どのように意思疎通をしているのですかね?

プロペラではなくトンボの羽ばたきを模倣したドローンを作り、列車のように何台も連結して飛ばしたら面白そうです。


腹部背面は黒いが、♂の腹端は水色。



2018/01/07

連結態でスイレンの葉裏に産卵するクロイトトンボ



2017年8月上旬

平地の睡蓮池で尾繋がりの状態で産卵中のクロイトトンボ♀♂(Cercion calamorum calamorum)を見つけました。
体色は背側が黒っぽいものの性的二型で、前の♂が水色(白い粉を吹いた青色)、後ろの♀が黄色でした。
♀は腹端でスイレンの葉表を腹端で探り、葉の縁や裂け目(虫食い穴)から水を探り当てると葉裏に産卵しているようです。
頻繁に飛んで場所を変え、あちこちに産卵しています。

植物組織内に産卵管を差し込むのか、葉裏の表面に貼り付けるだけなのか、映像だけからは分かりません。
図鑑の記述によれば、植物組織内に産卵するのだそうです。
水中には小魚が泳いでいるのが実際に見えますから、卵を捕食されないように植物組織の中に隠すように産卵するのでしょう。

『日本のトンボ(ネイチャーガイド)』でクロイトトンボの項を参照すると、

交尾を終えたペアは、おもに連結態で水面付近の植物組織内に産卵し、潜水産卵も観察される。♀単独でも産卵する。(p127より引用)



なるべく同一ペアをひたすら追いかけて撮影するようにしました。
ときどき単独♂が飛来するものの、♀の奪い合いにはならず、連結ペアは産卵場所を変えるだけでした。
尾繋がりで連結していれば♂の配偶者ガードは完璧なのでしょう。
映像の最後は、スイレンの葉で翅を休めているあぶれ♂です。

クロイトトンボを観察したのは未だこれが2回目であまり馴染みがないのですが、採集しなくてもなんとか写真同定できました。

▼関連記事(2年前の撮影)
クロイトトンボ♀♂の交尾

つづく→連結飛翔のハイスピード動画

スイレン葉で休む単独♂。腹端の上付属器が「ハ」の字状に開いているのがクロイトトンボ♂の特徴。

2017/12/23

コシアキトンボ♂の縄張り占有飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月上旬

お堀の池でコシアキトンボ♂(Pseudothemis zonata)が水面近くを飛んでいました。
一匹の動きを追ってみると、池の中央の上空を飛ぶのではなく、石垣の護岸に沿って繰り返し往復しています。
縄張りをパトロールしているのでしょう。

図鑑『日本のトンボ (ネイチャーガイド)』に書いてある通りでした。

(コシアキトンボ)♂の縄張り争い(Territorial conflict): 成熟♂は池の岸に沿って往復飛翔し、縄張り占有する。♂同士が出会うと激しい争いが繰り広げられる。 (p425より引用)


平凡社『世界大百科事典』でコシアキトンボを調べてみると、

6月中に羽化し,7〜8月には平地の木陰のある比較的有機物に富んだ池沼の水面上を飛び回る。成熟した雄は水面に近く飛翔(ひしよう)するが,未熟な雄はより上空8mくらいまでの空間を,未熟な雌はそれより上空にいることが多い。


途中から飛翔ルートの水面に置きピンをして待ち伏せ、240-fpsのハイスピード動画で飛翔シーンを撮ってみました。(@2:08〜4:23)
スローモーションにすると羽ばたきや滑空、旋回する様子がよく分かります。
実は翅をほとんど動かさずに滑空している時間が多いようです。

一度だけ、縄張り争いの片鱗が撮れました。(@2:29〜2:38)
一匹が急旋回したと思ったら、もう一匹の♂が左から飛来しました。
縄張りの主は慌てて侵入者を追撃するも、すぐに画角の外に出てしまいました。

ときどき水面をアメンボが横切るものの、コシアキトンボがアメンボを襲って狩ることはありませんでした。
(飛翔昆虫を狩るシーンも未見です)

後半は岸に沿ってもう少し先に進んでから、隣の縄張りに居る別個体♂を通常のHD動画で撮影しました。(@4:24〜6:58)
短時間の観察ですが、岸辺の歩道に立つ道路標識の白いポールを縄張り境界の目印にしてコシアキトンボ♂は引き返している印象を受けました。
前半に撮った個体では、護岸から少し生えたメヒシバの穂を目印にしていたのかもしれません。
(私が突っ立っていることで警戒され、飛翔ルートに影響した可能性もありそうです。)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2017/12/09

ハスの葉で翅を開閉誇示するハグロトンボ♀



2017年8月上旬

蓮池でハグロトンボ♀(Calopteryx atrata)がハス(蓮)の葉に止まって翅を開閉していました。
ハグロトンボが地上で翅を繰り返し開閉するのは、縄張りを主張する誇示行動なのだそうです。
開いた翅は褐色のはずなのに、所々にドット欠けのように抜けている点がありました。
胴体が黒いので♀ですね。



ときどき蓮の葉から素早く飛び立つものの、すぐに元の場所や隣の葉に舞い戻ります。
口をモグモグ動かしているので、飛んでいる小さな昆虫を空中で捕食しているのでしょう。
ハイスピード動画に撮ってみれば良かったですね。

▼関連記事
川沿いで捕食活動するハグロトンボ♀♂の群れ【HD動画&ハイスピード動画】

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2017/11/14

ハスの蕾で休むコシアキトンボ♂



2017年7月下旬・午前6:48

早朝の蓮池で未だ咲かないハス(蓮)の蕾に見慣れないトンボが止まっていました。
手に持っていたビデオカメラで慌てて記録し、帰ってから図鑑で調べるとコシアキトンボ♂(Pseudothemis zonata)と判明。

今回はただのスナップショットですけど、次は縄張り防衛や飛翔シーンを撮ってみたいものです。

ヤマケイポケットガイド『水辺の昆虫』によると、

黒い体の中で、腰の部分だけが白く「空いている」ように見えるため、この名がついた。 (p158より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2017/09/28

離着陸を繰り返すミヤマアカネ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2016年9月下旬

田んぼの農道と墓地の境に埋設された境界標に、赤く成熟したミヤマアカネ♂(Sympetrum pedemontanum elatum)が止まっていました。
翅の縁紋が赤く輝いていて、美しい赤トンボですね。
ここがお気に入りの場所らしく、同じ境界標に何度か離着陸を繰り返しています。
止まっている間も頭部をグリグリ動かして上空を見張っているようです。
交尾相手の♀を待ち構えているのか、それとも獲物となる昆虫が飛んで来るのを待ち伏せしているのですかね?

後半は飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:13〜)
最後は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
てっきり縄張り行動なのかと思ったら、なぜかもう同じ場所には戻って来ませんでした。
カメラが警戒されたかな?
着陸シーンのスローモーションが撮れなかったのが残念でした。



2016/12/31

網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)



2016年9月上旬
▼前回の記事
交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?


イヌタデを糸で綴った隠れ家に潜んでいるアカオニグモ♀♂(Araneus pinguis)が本当に食欲が無いのか確かめるために、近くで採集したアキアカネ♀(Sympetrum frequens)を給餌してみました。
なぜか昆虫の数がひどく少なくなっていて、捕虫網を持参しなかった私は生け捕りにするのに苦労しました。
(コオロギの幼虫、キタキチョウには逃げられました。)
もしかすると近くの水田で農薬散布された影響かもしれない、と疑ってしまいます。(未確認)




暴れすぎて網を壊したり逃げたりしないようにアキアカネ♀の前翅を半分毟り取っておきます。
垂直円網に付けた瞬間、トンボは擬死状態になり(死んだふり)、隠れ家のクモも無反応でした。
しばらくして網で獲物が暴れた途端に隠れ家からアカオニグモ♀が駆けつけました。
その一方で、近くに居たアカオニグモ♂は無反応でした。
交接前ガード中の♂はもう食欲が無いのでしょう。
先ほど試しに給餌してみたムラサキツメクサの花が未だ網に付着したままぶら下がっています。

アカオニグモ♀は必死に暴れる獲物に噛み付き、毒液を注入しました。
アカオニグモ♀の腹背は薄い黄色で(未だ赤くない)腹面の外雌器に垂体が残っているので、性的に未成熟な亜成体だろうと判明。
獲物が麻痺すると、未だ少し暴れるのも構わずにアカオニグモ♀は捕帯でラッピングを開始。
次に、網に付着したトンボの翅の周囲の糸を噛み切っています。
網のこしきを経由して、隠れ家に素早く獲物を持ち帰りました。
糸で吊り下げた獲物を引き上げ、捕食開始。
♀に食欲があるということは、脱皮するにはまだ早いということになります。

その間、アカオニグモ♂に全く動きはありませんでした。
♀が捕食中なら性的共食いのリスクを避けつつ♂は忍び寄って♀と交接するかな?と期待したのですが、♂は無反応でした。
♀が脱皮して成体になるまで♂は傍らでひたすら絶食・待機するのでしょう。

クモにずっと無視されていたムラサキツメクサの花はいつの間にか網から落ちていました。
自然に落ちたのか、それともクモが網から外して捨てたのか、見落としてしまいました。

※ 後半だけ(@4.13〜)動画編集時に自動色調補正を施しています。

ここまでが、アカオニグモ♀♂を見つけた初日の観察記録でした。

つづく



2016/12/10

水の無い路面で打水産卵するヤンマ♀の謎



2016年9月上旬

峠道を往復して飛ぶヤンマの一種を見ていたら、奇妙な行動をしていました。
水溜りが無いのに、乾いた路面にときどき打水産卵しているのです。
おそらくトンボの複眼では陽炎や逃げ水のように水面だと錯覚してしまう場所なのでしょう。
トンボが騙された場所を偏光フィルターや紫外線フィルターで写真に撮ってみれば何か分かるかもしれません。
乾いた地面に銀マットやビニール袋を敷いて産卵を誘発できるかどうか試してみれば面白い自由研究になりそうです。
ヤンマの種類が見分けられなかったのが残念です。
♂は尾繋がりも随伴もしておらず、♀が単独で産卵しています。(例えばオニヤンマ♀の産卵がこのタイプです。)

実は1年前にも似た映像を撮っていました。
あまり説得力のある動画ではないのでお蔵入りしていたのですが、ついでにブログ限定で公開します。



2015年9月中旬

また別の峠道で撮りました。
路上の木漏れ日を水面の反射と誤認したヤンマの一種♀(種名不詳)が打水産卵を試みています。
飛んでいる虫を狩る行動ではなさそうです。


2016/06/06

ヨシの葉に残るオツネントンボの産卵痕



2016年5月上旬


▼前回の記事
♂が離れた後も単独で産卵するオツネントンボ♀

オツネントンボ♀(Sympecma paedisca)の産卵地点となった湿地帯を4日後に再訪してみると、水溜りの水が少し干上がりかけていました。

産卵したヨシの生えた手前の岸辺から水溜りが干上がってる。

2日前に産卵したヨシの葉を探してマクロレンズで接写してみると、粒状の点列が並んでいました。
葉縁に朝露の水滴が光っています。

ミミズ腫れのような刺青のような産卵痕が並んでいます。
強拡大しても残念ながら倍率不足で卵の中はよく見えませんでした。
胚の頭の向きは♀の産卵姿勢に対してどちら向きなのか知りたかったのですけど、やはり本格的な顕微鏡が必要になりそうです。
もしかすると、葉裏から観察した方が見え易いのでしょうか?

孵化のシーンを観察したいので、葉ごと採集して持ち帰り飼育すべきかどうか悩みます。
現場に残しても、このまま雨が降らなければ水溜りが完全に干上がってしまい、孵化したヤゴは生き残れないでしょう。
未経験の私が採取したら植物体を枯らしてしまいそうですが、中の卵も死んでしまうのではないか?という不安があります。
「近畿地方のトンボ雑記」サイトでオツネントンボの孵化を観察した記録を見つけました。
それによると、

最短卵期は11日,平均卵期(半数孵化)は13日でした.


つづく→





2016/05/30

♂が離れた後も単独で産卵するオツネントンボ♀



2016年5月上旬
▼前回の記事
尾繋がりのオツネントンボ♀♂がヨシの葉に産卵開始

オツネントンボ♀(Sympecma paedisca)が産卵中でも♂ががっちり束縛するのは、ライバル♂に寝取られないようにガード(産卵警護)して確実に自分の精子で受精した卵を産んでもらおうという企みなのでしょう。
ところが私が少し目を離した隙に、♂が尾繋がりを解除して飛び立ち、近くの柳の低灌木の方へ飛び去りました。
てっきり♂は尾繋がりで産卵を最後まで見届けると思い込んでいたので、交尾後ガード解除の瞬間を撮り損ねてしまいました。残念無念…。
尾繋がりの状態で♂は後ろで行われている産卵の進展状況を見れないはずです(トンボの複眼の広い視野では真後ろも見えるのか?!)。
産卵を始めてある程度の時間が経過すると♂の交尾後ガードする衝動が減退消失するのでしょう。

交尾後ガードなどと難しい概念を持ち出さなくても♂の離脱を説明できそうです。
♀がヨシの葉の根元から上に登りつつ産卵するので、行き場所が無くなった♂が葉先から追い出されたというか、♀に場所を譲ったのかもしれません。(尾繋がりのまま♂だけ葉裏に回りこむのは無理なのか?)

それとも、空腹になった♂がどうしても我慢できず目の前に飛来した獲物を狩るために♀を残して飛び立った可能性もありますかね?

♂を見失ったものの、しばらくすると近くに生えたススキ枯れ茎に止まっているのを発見。
この状態でも近くで産卵している♀を警護しているという意図はあるのでしょうか?
別個体の♂が縄張りに侵入してきた時の♂の反応を見たかったのですが、そのような展開にはなりませんでした。
今の♀を警護しつつ、あわよくば次の♀が飛来したら交尾したいのかもしれません。

一方、取り残された♀は単独で産卵を続けます。
予備知識がなければ、この静止姿勢の単独♀を見つけても産卵行動とは思わないかもしれません。
♂の付き添いがあっても無くても♀の産卵の様子は特に変わりません。
腹端を葉身から離してしばらく休息してから、また産卵を再開しました。

産卵の完了を待たずに私の方が飽きてしまい、撮影終了。
三脚が無いと長時間の撮影は肉体的に疲れてしまい集中力も限界があります。
産卵地点を定規で測ると地面からの高さ約18cmでした。

wikipediaによると、オツネントンボの

卵の期間は1-2週間ほどで、年に1回の産卵を行う[3]。ヤゴ(幼虫)の期間は1.5-3か月[3]。7-9月にヤゴが羽化して成虫となり、未熟のまま越冬し翌年交尾して、植物の組織内に卵を産み付ける[5][1]。

卵から孵化するまで定点観察してみます。
ヨシの葉が大きく育つにつれて産卵痕の形状も少し変化するかもしれません。

つづく→ヨシの葉に残るオツネントンボの産卵痕

左に見える上に伸びた葉にも産卵痕
オツネントンボ♀@単独産卵@ヨシ葉

オツネントンボ♂@尾繋がり解除直後+ススキ枯れ茎




【おまけの動画】
単独産卵シーンの一部(@2:06〜)を6倍速の早回し映像に加工してみました。
ブログ限定で公開します。
三脚を使っていないので、手ブレはご容赦ください。


2016/05/28

尾繋がりのオツネントンボ♀♂がヨシの葉に産卵開始



2016年5月上旬

▼前回の記事
ヨシの葉に産卵するオツネントンボ♀【接写】

ここで前回から時間を少し遡ります。
夕方に湿地帯の遊歩道を私が歩いていたら、尾繋がりしたオツネントンボSympecma paedisca)の♀♂ペアが驚いて飛び立ち、水溜りの近くに生えたヨシの枯れ茎に止まり直しました。
これからハート型の交尾体勢に入るのかと期待して撮り始めたら、産卵を始めたのでした。

カメラを警戒したのか、茎の反対側に回り込んで隠れました。
こちらもそっと回り込んで隠し撮りします。
♀は水平に伸ばしていた腹部を曲げて腹端で枯れ茎に触れました。
枯れ茎は見るからに固そうで産卵基質として適しているとは思えません。
やがて♀は身繕いを始めました。
後脚で棘状の産卵管を左右から挟み込んで、しごくように掃除しています。

再びタンデムで枯れ茎から飛び立ち、下に生えたばかりのヨシの若葉に止まり直しました。
♀は直ちに産卵姿勢になりました。
♀が歩いて下に降りようとすると、♂も追従します。
またタンデムで飛び立つも、同じ葉に止まり直し、産卵します。
翅の縁紋は♂が濃くて♀が薄いですね。(オツネントンボは常にそうなのかな?)
どうも♀はここが気に入らなかったようで、タンデムで飛び立つと見失ってしまいました。

慌てて追いかけると、水溜りの端っこでなんとか♀♂ペアを見つけることができました。
産卵場所の選定(飛行)は♂が主導権を握っているのかな?
気に入らなければ♀が一瞬先に飛び立つのでしょうか?
それとも♀の不満を感じた♂が阿吽の呼吸で先導するのでしょうか?(♀をグイグイ引っ張っていく亭主関白タイプ?)
タンデム飛行(尾繋がり)の飛び立ちをハイスピード動画で撮れば分かるかもしれません。

ようやく安住の地を見つけ、とあるヨシの葉表で落ち着いて産卵を始めました。(@1:45〜)
オツネントンボの産卵を観察するのは初めてなので、この後はひたすら望遠マクロで長撮りしました。
途中で撮影アングルを何度か変えています。
合間にマクロレンズで接写した産卵映像は前回紹介しました。
背後の湿地帯ではオオヨシキリの鳴き声♪が響き渡ります。
本当は産卵シーンを微速度撮影したかったのですけど、あいにく三脚を持参していませんでした。
葉身に卵を並べていく順番を早回し映像で記録したかったです。

撮影中はトンボに夢中で気づかなかったのですが、後で写真を見直すと、同じヨシの茎についた別の若葉にも似たような(刺青のようなミミズ腫れのような)産卵痕が見えます。
やはり人気のスポットには集中するようです。

♀が産卵中でも♂ががっちり束縛するのは、ライバル♂に寝取られないようにガード(警護)して確実に自分の精子で受精した卵を産んでもらおうという企みなのでしょう。
♂による交尾後ガードはいつまで続くのか?

つづく→♂が離れた後も単独で産卵するオツネントンボ♀






【おまけの動画】
産卵シーンの一部を6倍速の早回し映像に加工してみました(@8:42〜)。
ブログ限定で公開します。
三脚を使っていないので、手ブレはご容赦ください。


2016/05/27

ヨシの葉に産卵するオツネントンボ♀【接写】



2016年5月上旬

尾繋がりしたオツネントンボSympecma paedisca)の♀♂ペアが産卵していました。
場所は、湿地帯の水溜りの岸に生えかけたヨシ(=葦、アシ)の群落です。
そっと近寄りマクロレンズで接写してみると、翅の縁紋がずれていることを確認できたので、ホソミオツネントンボではなくオツネントンボです。

ヨシ若葉の表面に止まった♀の腹端には、焦げ茶色でやや湾曲した棘状の突起があります。
その産卵管をヨシの縦に走る葉脈に沿って葉身の薄い植物組織内に器用に差し込んで、卵を一粒ずつ産み付けています。
産卵管を引き抜くと真横にずれて挿し直すため、産卵痕はほぼ等間隔で横一列に並びます。
葉縁に達すると♀はヨシの葉を少し前進してからまた横へ産み進めます。
その結果、独特のパターンで刺青のような産卵痕が並ぶことになります。
もっと細かく観察すると、♀は腹部を屈曲させΩの体勢で産卵を始めます。
♀は少しずつ腹部を後ろに伸ばしていくため、産卵痕の列は後ろへ後ろへ並びます。
腹部が伸び切ったり腹端が障害物(ヨシの茎)に突き当たったりすると、♀はヨシの葉を少し前進してから改めて産卵を再開します。

♂は産卵する♀の首根っこを掴んだままおとなしく待っています。
尾繋がりの♀♂ペアが左右の足でヨシの葉を抱え込むことで葉身を軽く丸め(凸状に湾曲)、産卵しやすくしているのかもしれません。
一心不乱に産卵する♀の前脚の先が左右ともに欠損している事に気づきました。
本種は「越年蜻蛉」の名前が示すように成虫で越冬することで有名ですから、凍傷で壊死したのかな?

帰ってから手持ちのトンボ関連本や図鑑を調べても、オツネントンボの産卵行動に関する記述は見つかりませんでした。
こんな時期に産卵するということも、植物組織内に産むことも知りませんでした。
ヨシの葉が大きく育つと産卵痕はどのような形状になるのでしょう?
ところで、孵化した幼虫(ヤゴ)はヨシの茎を歩いて降りて下の水溜りに自力で入水するのでしょうか?
ヤゴは鰓呼吸のはずですが、陸上ではどうするのでしょう?
それともヨシの葉裏から孵化してすぐ水溜りに落下するのかな?

つづく→尾繋がりのオツネントンボ♀♂が産卵開始


オツネントンボ♂側面@尾繋がり+産卵中
オツネントンボ♂縁紋@尾繋がり+産卵中
オツネントンボ♀側面@尾繋がり+産卵中。
焦げ茶色の部分に白い毛が生えています。
オツネントンボ♀産卵管@尾繋がり+産卵中@ヨシ葉

2016/01/18

網にかかったトンボには目もくれず花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



2015年10月上旬

花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎#3:


このイシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)がゲテモノ食いに走ったのは、ひどく飢えているからでしょうか?
空腹状態を調べるために、何か普通の獲物(昆虫)を網に給餌してみましょう。

2年前の観察によれば、イシサワオニグモ♀は食事中にもし網に新たな獲物がかかれば食べかけを置いて新しい獲物を確保しに行くはずです。
梱包ラッピングして網に吊るしてから食べかけの獲物に戻りました。

▼関連記事
網にかかったオツネントンボ♂を捕帯でラッピングするイシサワオニグモ♀(蜘蛛)

この時期はめっきり虫の数が減り探すのに苦労したのですが、なんとか近くでアキアカネ♀(Sympetrum frequens)を生け捕りにしました。



ところが私の予想に反して、給餌したトンボが円網上で暴れても隠れ家のクモは完全に無視していました。(午後15:18)
甑から隠れ家に伸びる信号糸が切れている訳ではありませんし、クモは網の振動を感知しているはずです。

活きの良い虫よりもアメリカセンダングサの花に夢中!という驚くべき結論になりました。

※ 映像では網に付けたトンボが擬死したようにおとなしく、クモが気づかないのは当然と思うかもしれません。
撮影を止めてから(両手を使って)念の為に網上のトンボをつついたりして刺激してもクモは無反応でした。

イシサワオニグモ♀が虫と花のどちらを欲しているのか嗜好性を調べるのであれば、その2つを網に同時に付けてやりクモに選ばせるべきでしょうか?

次は音叉で網に振動刺激を与えてみました。(午後15:25)
残念ながら動画ファイルが破損してしまいお見せできませんが、実験をしつこく繰り返してもクモは騙されず無反応でした。
音叉をかなり強く叩いて鳴らしてから網に触れたのにクモは隠れ家から網に降りて来ず、相変わらずアメリカセンダングサの花を手放しませんでした。

以上の結果から、この悪食の個体は飢えているせいで止むなく花を食べたのではなく、花の味がよほど気に入って病みつきになったのでしょう。
造網性のオニグモの仲間が自然状態で花を常食しているとは考え難いのですが、それでも花を与えれば副食として食べることがあるというのは衝撃的で興味深い知見です。

※ 素人臭い実験でネガティブな結果が出た時(クモが無反応)にいつも解釈に悩むのですけど、私が続けざまに変な物を網に付けるのでクモがいじけてしまったり、学習して「狼少年にはもう騙されないぞ!」と不信感を強めてしまった可能性もありますかね?
もっと時間間隔を開けて実験すべきなのか、こうした実験の正式な作法を知りたいところです。


いつになったらクモが花を捨てるのか、花がどこまで体外消化されるのか、見届けたかったのですけど帰る時間が迫り、泣く泣く観察を打ち切りました。
最後に見た午後15:30にもイシサワオニグモ♀は花を食べ続けていました。
夜まで待てば円網の張り替えを観察できたかもしれません。

網に残されたトンボ1匹とアメリカセンダングサの花2個をクモは結局食べたのか、捨てたのか、どちらでしょうね?

花を食べるクモというのは非常に興味深く、更に追求する価値がありそうです。
私も未だ半信半疑なので、とりあえず追試が必要です。
同一個体のイシサワオニグモ♀に後日もう一度アメリカセンダングサの花を給餌すると、今度はすぐに捨てるでしょうか?
もし再び捕食すれば、本当に花の味が気に入ったと言えるでしょう。
花の種類を変えてみたらどうなるでしょうか?
また、イシサワオニグモ以外の造網性クモは花を食べるのか?などの対照実験もしてみたいですね。

これ以来、クモの網を見つける度に花を投げつける日々が始まりました。

つづく→#4:隠れ家でアメリカセンダングサの花を噛むイシサワオニグモ♀(蜘蛛)


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