2018/06/08

アカオニグモ♀の卵嚢作りと産卵:その6 まとめ【100倍速映像】(蜘蛛)



2017年11月上旬


▼前回の記事
アカオニグモ♀の卵嚢作りと産卵:その5【俯瞰400倍速映像】(蜘蛛)

アカオニグモ♀成体(Araneus pinguis)が飼育容器の底で卵嚢を作る一部始終を横から微速度撮影で記録しました。
10倍速映像を3部作に分けて(シリーズその1〜3)各ステップを紹介してきましたが、更に早回し速度を上げた100倍速映像で一気にお見せします。
作り初めのアカオニグモ♀は円形の天幕を休み休み張っていました。
前に紹介した動画その1では退屈な休憩シーンを編集でカットしましたが、今回はノーカットなので、休憩の取り方も分かります。

深夜になると急に作業のペースが上がり(@8:56〜)、天幕シートを一気呵成に作り上げました。
続いて、天幕の下面に産卵を開始。(@9:52)
オレンジ色の丸い卵塊の下半分を糸で包み始めます。(@10:02)
遂に卵嚢が完成しました。(@11:46)
これ以降♀クモは静止し、卵嚢をガードします。

卵塊を保護する卵嚢を作る際は、網を作る糸とは全く異なる専用の糸(非粘着性)が紡ぎ出されるそうです。

管状腺(cylindriform gland)は、中疣と後疣に開口する比較的大きな糸腺です。管状腺の糸は、卵嚢の内側で卵塊を包む柔らかい糸として用いられます。産卵のときだけに必要になるので、♀にしかありません。 (『糸の博物誌:ムシたちが糸で織りなす多様な世界』p12より引用)



ネット検索で調べたら面白い情報を見つけました。
卵を保護するための「卵のう」の表面は、規則的に編まれた織布とは違って、太い糸と細い糸からなる繊維が不織布状になっている。 (大崎茂芳. "クモの糸の秘密." 繊維学会誌 62.2 (2006): P_42-P_47.PDFより引用)




卵嚢が完成した後にアカオニグモ♀が卵嚢ガード(休息)するシーンの大半は編集でカットしました。


私は解剖学的な知識が曖昧だったのですけど、最近読んだ本、中田兼介『まちぶせるクモ:網上の10秒間の攻防』によれば、 ♀クモの交接孔と産卵孔は別々なのだそうです。

♀の外雌器は書肺の後ろにあり、別々の受精嚢につながる2つの交接孔と、その間に産卵のための孔が一つ開いている。 (p4より引用)


クモの種類によって違うのかな…?と疑問に思って、専門書『クモの生物学』第10章を紐解いて復習しました。
コガネグモ上科のクモ類は完性域類に属し、♀の受精嚢は交接口と受精口の2方向に開口している両開口型で、交尾口と産卵口が別々らしい。


シリーズ完。


八木式アンテナで相互羽繕いするハシボソガラスのつがい(冬の野鳥)



2018年1月中旬

民家の屋根でハシボソガラスCorvus corone)が八木・宇田アンテナと呼ばれる旧式のテレビアンテナに止まって翼を休めていました。
初めは一羽が妙な姿勢で止まっているように見えたのですが、途中から一羽が向きを変えてくれたおかげで、並んでいる2羽が重なって見えていたと判明。
仲睦まじく嘴で相互羽繕い(対他羽繕い)していたので、おそらく♀♂のつがいなのでしょう。
隣の個体の頭部付近の羽毛を嘴で逆撫でるように優しく撫でていました。
羽繕いされた個体はお返しすることなく、2羽はアンテナ上で少し離れてしまいました。

地デジに移行するとともにパラボラアンテナばかりになって早7年、昔懐かしい八木式アンテナが屋根に設置したままの民家は珍しいですね。
アンテナに対して今回のカラスは特に悪戯していませんでした。

参考:テレビアンテナの天敵とは?(アンテナ工事業社のサイトより引用↓)


従来の八木式アンテナ   魚の骨状のアンテナは   カラスや ハトが 非常に   とまりやすく  嘴による損傷  フンによる腐食  飛び立つときの  衝撃による  素子の破損・・・・・耐用年数が短くなる  最大の原因です

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハシボソガラス2(野鳥)@八木式アンテナ

2018/06/07

アカオニグモ♀の卵嚢作りと産卵:その5【俯瞰400倍速映像】(蜘蛛)



2017年11月上旬・(午後18:32〜翌日の午後16:11)


▼前回の記事
アカオニグモ♀の卵嚢作り:その4:卵嚢ガード【60倍速映像】(蜘蛛)

飼育下でアカオニグモ♀(Araneus pinguis)が卵嚢を作る様子を別アングルからも微速度撮影していました。
インターバル撮影の専用カメラ(Brinno TLC200)を上から見下ろす俯瞰のアングルで設置し、20秒間隔の連続写真を撮りました。
その素材を元に20fpsの動画に加工しました。
400倍速の早回し映像をご覧下さい。
残念ながらこのカメラは焦点距離が30cm以上なので、思い切った寄りの接写ができません。
入門機種なので、オプションのマクロレンズも用意されていないのです。
やや遠くから(引きの絵で)撮った映像になりますが、仕方がありません。


初めのうちアカオニグモ♀は円形の天幕を休み休み張っているのがよく分かります。
深夜になると作業のピッチが上がり、早朝の午前6:19に卵塊を産み始めました。
卵嚢を中心にしてクモ自身が回転しながら糸を紡ぎ、卵塊を少しずつ覆います。
このとき♀クモの回転運動は右回り、左回り(時計回り、反時計回り)と交互に(ランダムに)行われていることが、俯瞰だとよく分かります。
午前9:28にクモは完成した卵嚢にぶら下がったまま静止しました。
これ以降はほとんど動きが無くなり、卵嚢ガードを続けています。
後半になると、大きさの比較として一円玉(直径20mm)を並べて置いてみました。


つづく→その6:100倍速まとめ映像


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