2018/06/07

カモガヤの穂に止まるカワラヒワ(野鳥)



2016年6月下旬

山村の道端でカワラヒワCarduelis sinica)が枯れたカモガヤ(=オーチャードグラス)の細い茎に止まっていました。
カワラヒワは種子食性なので、穂先の実を啄むかと期待して撮り始めたのですが、そのまま飛び去りました。



2018/06/06

アカオニグモ♀の卵嚢作り:その4:卵嚢ガード【60倍速映像】(蜘蛛)



2017年11月上旬・午前10:42〜午後14:12
▼前回の記事
アカオニグモ♀の卵嚢作り:その3(蜘蛛)【10倍速映像】

一晩かけて卵嚢を作り上げたアカオニグモ♀(Araneus pinguis)の様子を60倍速の早回し映像でご覧下さい。
たまに身動きしたり向きを変えたりするだけで、卵嚢にしがみついた姿勢のまま静止しています。

こうした休息状態は「卵嚢ガード」と呼ばれるのですが、もし卵の天敵が現れたら本当に母クモは撃退するのでしょうか?
実験してみたいのですけど、この時期になると野外で活動する虫の数が激減していて、適当な相手を見つけてこれませんでした。
例えばアリとかカメムシでも良いから卵嚢の上に乗せて歩かせてみて、母クモの反応を見たいものです。


つづく→卵嚢作りを別アングル(俯瞰)でインターバル撮影


アカオニグモ♀(蜘蛛)俯角@卵嚢ガード+scale
アカオニグモ♀(蜘蛛)俯角@卵嚢ガード+scale
アカオニグモ♀(蜘蛛)俯角@卵嚢ガード+scale


アカオニグモ卵嚢@方眼紙(ススキの種子が付着)
卵粒をコーティングしていた粘液が白く固まった?


【後日談】
この♀はもう新しい円網を張って餌を捕る元気は無く、5日後に死亡しました。
4日目までは生きていて、卵嚢ガードを続けました。
寿命を迎えたアカオニグモ♀の外雌器を接写すると、垂体が残っていました。
これは未交接の処女♀という意味なのですかね?

だとすれば、せっかく苦労して作った卵嚢も無精卵ということになります。
(クモの種類によっては、♂が交接の際に♀の垂体を破壊して他の♂と交接させなくするらしいのですが、アカオニグモもそうなのか私は知りません。)


以下の写真は死後3日後に接写したもので、少し干からびた状態です。

アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:背面@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:腹背@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:頭胸部@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:顔@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:腹面@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:外雌器+垂体
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:外雌器+垂体


得られた卵嚢を大事に保管して越冬させたのに、記事を書いている6月上旬になっても未だに幼体が孵化(出嚢)しません。
冬季は冷暗所(室温の低い地下室)に保管していたのですが、暖冬だったために冷気に充分晒されず、休眠越冬に失敗したのでしょうか?
それとも無精卵だったのかもしれません。
もう少し待って駄目なら、卵嚢を割って中を調べてみます。



【追記】
7月上旬、遂に痺れを切らして卵嚢をハサミで切り開いてみました。
すると中から乾燥した卵の粒が零れ落ちました。
幼体が孵化した形跡は無く、やはり無精卵だったことが分かりました。

アカオニグモ(蜘蛛)未受精卵@卵嚢切開@方眼紙
アカオニグモ(蜘蛛)未受精卵@卵嚢切開@方眼紙
アカオニグモ(蜘蛛)未受精卵@卵嚢切開@方眼紙



イラガ(蛾)の繭を割る名手アカゲラ♂(冬の野鳥)♪



2018年2月上旬・午前11:58〜12:08


▼前回の記事
ソメイヨシノの幹をつつくアカゲラ♂♪【HD動画&ハイスピード動画】(冬の野鳥)


小雪がちらつく正午頃、庭木のソメイヨシノに来ていたアカゲラ♂(Dendrocopos major)がキョッ、キョッ♪と鳴きながら細い枝を下から上へ登り始めました。

冬芽の付いた小枝の途中にイラガMonema flavescens)の繭を見つけ、嘴で早速つつき始めました。
シュウ酸カルシウムの硬くて厚い殻で守られたイラガ繭をつつく合間にもキョッ、キョッ♪と鳴き続けています。
桜の小枝にしがみつき逆さまにぶら下がっているアクロバチックな体勢ではなかなか力が入りません。
数年前の冬にも、割れずに諦めたりひどく苦労して割っていたアカゲラを観察しています。

▼関連記事
イラガの繭を割って食べるアカゲラ【冬の野鳥】
アカゲラ♀がイラガ(蛾)の繭を砕いて採食【冬の野鳥】

秋にイラガ幼虫が細い枝先に繭を作るのも、越冬中に啄木鳥に捕食されないための対策ではないかと私は考えています。

「細い枝先でイラガ繭はなかなか割れないぞ」と思いつつ見ていると、このアカゲラ♂個体は驚くべき技巧者でした。
小枝からイラガ繭を丸ごと器用に取り外すと、咥えて下に飛び降りました。
幹に移動して、安定した足場のある所で硬い繭をじっくり砕き、中で越冬していた前蛹を食べたようです。(幹の陰で死角)

食べ終わると、味を占めたアカゲラ♂は再びピョンピョンと跳ねるように木登りして枝先で次の餌を探します。
すぐに新しいイラガ繭をつつき始めました。
逆さまになって小枝にぶら下がる体勢になると、アカゲラ♂の下腹全体が真っ赤でとてもよく目立ちます。
今回も、繭と小枝の接着面を何度かつついてから咥えてねじる動きを繰り返しています。
小枝から剥がした繭を咥えて飛び降りました。
先程と同様に、幹に移動して硬い繭を割り始めました。
残念ながら死角でよく見えませんが、何度か繭を咥え直して、幹に置く場所や繭の向きを変えている様子。
いつの間にか、嘴に咥えていた繭が無くなっていました。
叩き割った繭の中身(前蛹)を食べ終えて、殻は捨てたのでしょう。
もしかして採取したイラガ繭を幹の隙間にでも埋め込んで貯食していたらとても面白いのですが、その現場を見た訳ではないので、今のところ私の妄想です。

再び鳴きながら木登りを始めました。
小枝の先に作られた3個目のイラガ繭を目ざとく見つけると、早速つつき始めます。
今度は斜めにぶら下がる体勢で、逆さまにぶら下がるよりも作業が楽そうです。
案の定、今回はすぐに繭が割れて穴が開きました。
その場で緑色の前蛹をぺろっとたいらげました。

幹に戻り探索を再開。
水平に伸びた小枝の先に2個並んで作られたイラガ繭の一つをつつき始めました。
逆さまにぶら下がる体勢になっても、もう手慣れたものです。
繭に開けた小さな穴から緑色の前蛹をひきずり出すと、少しずつ捕食しました。
食べ終えると更に枝先へ移動し、すぐ隣にあるもう一つのイラガ繭をつつき始めました。
逆さまにぶら下がる体勢でバランスを保つのも苦労しています。
自分が枝先でくるくる向きを変えて繭をつつくアングルを確保すると、手際よくイラガ繭を小枝から剥がしました。
採取した繭を咥えて飛び降りました。
近くの木の幹に移動して安定した足場でイラガ繭を壊して中身を食べるようです。

それにしても、桜の庭木にこれほど多くのイラガ繭が作られていたとは私も気づきませんでした。
アカゲラは冬の間に害虫駆除してくれる優秀な作業員ですね。

冬になるとアカゲラによるイラガ繭の捕食行動を何年も観察してきましたが、今回の♂個体の採食法は最も洗練されていました。
アカゲラが硬いイラガ繭を2段階で捕食するやり方は初めて見ました。
細い小枝に作られたイラガ繭にその場で穴を開けるのが難しければ、繭を丸ごと慎重に剥がし取ります。
足場の安定した幹に運んで行くと繭を足で固定し、嘴で割って中身を食べるのです。
これを何度も繰り返していました。
繭の採取と破壊の工程を分けてしまうのです。
発想は単純ですが、すごい発明です。
まるでコロンブスの卵(目から鱗)でした。
この♂個体が長年の経験を積んで学習し、自分で編み出したのでしょう。
もし啄木鳥の全個体がこの採食法を身につけてしまうと、越冬中のイラガ繭は全滅の危機に瀕しそうです。
そうなるといずれまたイラガ個体群の中で新たな対抗策を編み出す個体が登場して、巧妙で鉄壁な防御が進化するでしょう。
手始めに、小枝への接着面を更に強化するはずです。
食う食われるの軍拡競争はもはや、最強の矛と最強の盾による単純な強度任せの対決には留まらなくなっているのです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→細い枝先からイラガ(蛾)繭を剥がして持ち去るアカゲラ♂(冬の野鳥)


アカゲラ♂(冬の野鳥)@ソメイヨシノ樹上+イラガ(蛾)繭破壊捕食
アカゲラ♂(冬の野鳥)@ソメイヨシノ樹上+イラガ(蛾)繭破壊捕食
アカゲラ♂(冬の野鳥)@ソメイヨシノ樹上+イラガ(蛾)繭破壊捕食
アカゲラ♂(冬の野鳥)@ソメイヨシノ樹上+イラガ(蛾)繭破壊捕食

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