2018/05/17

コガタスズメバチ♀が巣の内壁を削る音♪



枯木に営巣したコガタスズメバチの定点観察#14



前回の記事→#13

2016年8月中旬・午後12:37

8日ぶりの昼下がりに巣の様子を見に行くと、コガタスズメバチVespa analis insularis)の外役ワーカー♀が巣口で渋滞していました。
中の門衛と口づけを交わしています。(栄養交換)

依然として外皮の増築作業が盛んに続いています。
この日に特筆すべきは、耳を澄ますとどこからか外皮をガリガリ、ゴシゴシ♪と齧る音が響いていました。
とてもかすかな音なので、音量を最大にして聞いて下さい。(ヘッドフォン推奨)
マイクを巣の外被に密着させるように取り付ければ、もっと明瞭に録音できるはずです。
おそらく内役ワーカー♀が巣の内部から外被を大顎で齧っているのでしょう。
スズメバチ関連の本で読んだ知識ですが、外被を外側から何層にも付け足していくと同時に、内部からも削って巣盤を拡張するスペースを確保するのです。
内部から齧り取った巣材は唾液と混ぜ合わせ、巣盤を作るためのパルプとして再利用されるのだそうです。
素晴らしく合理的な建築法ですね。
スズメバチの巣にファイバースコープを挿し込んだりして、内役の様子をいつか観察・撮影してみたいものです。

つづく→#15



【追記】
巣内の様子を直接観察した訳ではないので、この物音は成虫ではなく幼虫が発した可能性も考えられます。
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
スズメバチの巣を、生けどりにしたり飼育していると、カリカリカリ…という、かなり大きな連続音が、一定の間隔をおいて聞こえてくる。これは、終齢幼虫が育房の壁をいっせいに大腮でかむことによって生じる音で、巣の中に運びこまれるえさが少なくなったときや、また、空腹の幼虫によっても、ひんぱんに発せられる。働きバチは、この音を発する幼虫にひきつけられ、肉団子を口もとへ給餌するので、つまりは、幼虫が空腹を知らせる合図となっている。 
 (中略)壁こすりによるえさねだりの行動は、スズメバチ亜科に属する4属のすべてで知られている。とくに、大型種のスズメバチ属の各種で顕著にみられる、成虫と幼虫間のコミュニケーションである。(p222-223より引用)


2018/05/16

川の魚道で採食するセグロセキレイ♂♀(野鳥)



2017年11月中旬・16:17〜16:25(日の入り時刻は午後16:28)

川に堰を作っても魚が遡上できるようにと、コンクリート堰の端っこ(川岸近く)に傾斜の緩やかな魚道が造られていました。
その魚道で日没間際にセグロセキレイ♀♂(Motacilla grandis)が走り回って採食していました。
岩の隙間などで水生昆虫を探して捕食しているのでしょう。
歩くだけでなく、ときどき飛んで岩から岩へ移動します。

冒頭で背中の黒い♂を撮っていたら、途中から背中が灰色の♀も合流しました。
つがいなのでしょうか。

ときどき鳴いていますが♪、川の流れる激しい水音にかき消されてしまいそうです。
チチュン、チチュン♪と♂が岩の上で鳴いたのは♀に呼びかけたのかな?
嘴の動きと鳴き声が一致したので、この個体の鳴き声で間違いありません。(リップシンクロ)


私の見ているフィールドではハクセキレイが優占種でセグロセキレイは滅多に見れないので、とても嬉しい出会いでした。


※ 激しい川の流れを背景に撮った映像に対していつものように手ブレ補正のデジタル処理を施すと、副作用でかえっておかしな映像になってしまいました。

変にグニャグニャと動いて酔いそうになります。
こんなことなら手ブレ補正しない方がましでしたね。(反省)
時間があれば、動画を作り直して差し替えるかもしれません。

セグロセキレイ♀左♂右(野鳥)@川:魚道+採食
セグロセキレイ♂(野鳥)@川:魚道+採食
セグロセキレイ♀(野鳥)@川:魚道+採食


ユリズイセンの花で盗蜜するクロヤマアリ♀の群れ



2017年8月中旬

家庭菜園の片隅の花壇に咲いたユリズイセン(アルストロメリア)クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が訪花していました。
花弁がオーソドックスなピンク色の品種です。



クロヤマアリ♀は花筒の根元付近に群がっていました。
ユリズイセンの隣り合う花弁と花弁の間に隙間があるため、体の小さなアリは自由に出入りして、結果的に盗蜜になっています。
植物側にとってみれば、アリは花蜜をただで盗むだけで受粉に関与していません。
アリの体はとても小さいので、たとえラッパ状に開いた花の入り口から侵入(正当訪花)したとしても、雄しべの葯や雌しべに触れることなく奥の蜜腺に到達できます。
しかもアリは地面から茎を登って来るので、正当訪花するためにはわざわざ花弁上をかなり遠回りする必要があります。
私は昆虫の盗蜜行動に興味があるので、今回も注目して撮ってみました。
しかし、細長い口吻を持つチョウによる盗蜜行動が珍しくないように、アリによる盗蜜行動も、仕組みこそ違えど実は特に珍しいことではありません。
やはり一番面白いのはハチ類による穿孔盗蜜ですね。


田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』によると、

普通の花の場合、羽をもたない働きアリたちは草や木をよじ登って花にいき、蜜を腹一杯吸うと、もときた道をおりていく、そして地におりると、まっしぐらに巣に帰ってしまう。
アリは体が小さいので雄しべや雌しべの先に触れないし、たとえ花粉がついても真っすぐ巣に帰ってしまっては、ほかの株にまでは運ばれない。そのため、植物の立場からは、蜜の吸われ損になり、多くの花にとってアリはきてほしくない昆虫となっている。 (p95より引用)

クロヤマアリ♀群れ@ユリズイセン訪花+盗蜜
クロヤマアリ♀群れ@ユリズイセン訪花+盗蜜

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