2017/10/19

ヘクソカズラの花で盗蜜するクマバチ♀



2017年7月下旬・午前8:37〜8:40

市街地の民家の板塀を覆い尽くすように繁茂したヘクソカズラキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。

大型のクマバチは釣鐘型の花筒の入り口からは潜り込めず、舌も短いので正当訪花では蜜腺に届きません。(@1:15)
ヘクソカズラはミツバチなど共生関係を結んだ特定の送粉者しか受け入れないように花の形態を進化させてきたのです。

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そんな植物の企みにも関わらず、クマバチの方が一枚上手です。
釣鐘型の花筒の根本を外側から穿孔して、盗蜜していました。
この群落ではほとんど全ての花筒の根本に既に穴が開いているので、今回の映像では二次盗蜜ですね。
雄しべに全く触れませんから、当然ながらクマバチ♀の後脚の花粉籠は空荷です。

複数個体(少なくとも2匹)を撮影。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


4年前にはクマバチがヘクソカズラの花からすぐに飛び去ってしまい、盗蜜したかどうかしっかり確認できませんでした。
ずっと気になっていたので、今回ようやく決定的な証拠映像が撮れて感無量です♪

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実は同じ群落で、クロマルハナバチのワーカー♀もクマバチと一緒になって盗蜜に励んでいました。(映像公開予定
この組み合わせは4年前に既に記事にしています。

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ヘクソカズラの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀
この二種のハナバチは盗蜜の常習犯として有名です。
ヘクソカズラには独特の悪臭があってもハナバチは全く気にしないようです。
この日は梅雨の晴れ間で久しぶりに晴れたので、ハナバチも晴天を待ちわびていて朝から採餌活動が特に多かったのかもしれません。



ヘクソカズラ:多くの花に盗蜜痕が残る。

2017/10/18

ネムノキの実で見つけたホソヘリカメムシ幼虫



2016年10月上旬

堤防に生えたネムノキの灌木に実がなっていました。
その豆果でホソヘリカメムシRiptortus pedestris)の幼虫を発見。
本種の幼虫期はクロアリにベイツ型擬態していることで有名です。
それまで成虫しか見たことがなかった私にとって、嬉しい出会いでした。

食草はマメ科植物の子実とのこと。
ネムノキ(マメ科)の実を吸汁しているのかどうか、口器の状態が気になるところです。
いかにも硬そうな鞘を貫き通して種子から吸汁出来るのかな?
マクロレンズで口器を接写したくても、夕刻の木陰は非常に薄暗くて無理でした。
そこで豆果ごとそっと採集して、残光で少し明るい地面に置き、接写してみました。
ホソヘリカメムシ幼虫は警戒しているのか、実の裏面に回り込んで隠れてしまいます。
その実をゆっくりめくってみると、豆果を下りて地上を逃げ出しました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



撮影後に採集して持ち帰りました。
忙しくてほったらかしにしていたら、なんと容器内でいつの間にか脱皮していました!
抜け殻は食べておらず、無傷で残っていました。
(よく考えると、カメムシの口器は咀嚼できないので当然ですね。)
脱皮後も成虫ではなく、未だアリに似た幼虫でした。
何齢幼虫なのかは、不明です。
栄養状態が悪いまま死んでしまったと思われ、反省。

wikipediaの情報によれば、

幼虫はふだんは分散して暮らしているが、脱皮の直前に集まり、脱皮集団を作る[8]。幼虫は1齢から5齢までで20から30日を経過し、次には羽化して成虫になる[9]。


背面
側面
側面
腹面。口器が面白い
後脚腿節の斑紋が面白い
ホソヘリカメムシ幼虫:脱皮殻@方眼紙
ホソヘリカメムシ幼虫:脱皮殻(側面)@方眼紙

アベリアの花で盗蜜するクズハキリバチ♂



2017年7月下旬・午前7:45〜8:00

某施設の駐車場の隅に生垣として植栽されたアベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)でクズハキリバチ♂(Megachile pseudomonticola)が訪花していました。



腹部第2背板後縁に顕著な明色の毛帯があります。
頭楯が白いのは雄蜂の特徴です。
雄蜂は花粉を採餌しませんから、当然ながら腹面にスコパ(集粉毛、花粉刷毛)はありません。
長時間観察していても同種の♀を見かけなかったのは、♂が先に羽化する雄性先熟だからですかね?

訪花シーンをよく観察すると、鐘形の花筒に潜り込んで正当訪花するのではなく、常に花筒の根本に外側から穿坑して盗蜜していました。
撮影アングルが良ければ、短い舌の出し入れが見えました。
雄しべに全く触れませんから、体が花粉で汚れることはありません。
ただし、もしかすると一番初めに穿孔した一次盗蜜者は別の種類の蜂で、クズハキリバチは二次盗蜜者なのかもしれません。
多くの花筒に盗蜜痕が残っています。
実は様々な種類の蜂がこのアベリアの花で同様に盗蜜していました。(映像公開予定)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハキリバチの盗蜜行動は以前に一度だけ観察したことがあります。

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タニウツギの花で盗蜜するハキリバチの一種
今回は雄蜂も器用に盗蜜することが意外でした。






右端の花筒に盗蜜痕
アベリアの花
葉は対生
生垣の全景

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