2016/12/29

ウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の最終脱皮【60倍速映像】



2016年9月中旬・午後21:00頃?・室温25.7℃、湿度56%
▼前回の記事
ウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫の口元を隠す食事マナー


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#7


前回の脱皮から5日後、ウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の亜終齢幼虫が再び脱皮しました。

ミズナラの葉裏で眠状態だった幼虫が自発的に蠕動(左右にローリング)するのを午後14:40に目撃しました。
午後20:38に体表の変色に気づき、慌てて微速度撮影を開始。
体の前半部が白っぽく見えたのです。
脱皮の一部始終を微速度撮影で記録できたので、60倍速の早回し映像をご覧下さい。
一気に脱皮した幼虫の体色は黄緑色のままで、変化ありませんでした。
白い薄皮を脱ぐと脱皮殻の傍らで一休み。
体を降らませ、不規則な蠕動運動をしています。

普段はフードに隠れて見えない頭部もこのときだけはよく見えます。
気管の抜け殻も白い糸のように長く伸びています。
午後21:23時点の室温は22.8℃、湿度62%。

今回の脱皮時刻は前回と違い、夜でした。
ただし、室内飼育で撮影のために照明を当て続けていたので、幼虫の日周リズムや体内時計が狂ってしまった可能性があります。

これで終齢幼虫になったことが後に判明します。

『イモムシハンドブック2』によると、ウスムラサキイラガの齢数は不明で、年二化、前蛹越冬らしい、とのことでした。

つづく→#8:脱皮殻を食べるウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】


亜終齢幼虫の眠:脱皮直前
脱皮直後の終齢幼虫




【おまけの動画】
早回し速度を落とした10倍速映像をブログ限定で公開します。


2016/12/28

交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?



2016年9月上旬・午後16:07〜16:09

▼前回の記事
アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード

造網性クモが花を食べるという再現性に乏しい奇妙な食性がずっと気になっていて、機会がある度に調べています。

▼まとめ記事(リンク集)
花を食べる造網性クモの謎
営巣地の近くに咲いていたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の花を採取してアカオニグモAraneus pinguis)の垂直円網に投げつけてみました。
1投目は花が網を素通りしてしまい、失敗です。
網が揺れたのに隠れ家に潜むクモは♀♂共に無反応でした。
(映像はここから)

2投目で花が網に付着しました。
それでも意外なことに、隠れ家(画面左のイヌタデ)のクモは♀♂共に無視したままです。

そこで花に振動を与えるために、音叉を鳴らして花や網に触れてみました。
この振動数(A-440Hz)は網にかかった昆虫が暴れる羽ばたきとほぼ同じらしく、クモを騙せることが知られています。
ところが繰り返しやっても今回のクモは無反応でした。
♀を交接前ガードしているだけの♂成体の食欲が無いのは当然というかよく分かります。
しかし、♀は色気より食い気なのが普通です。
つい先程、隠れ家の♀が歩脚の先で網から伸びる信号糸に触れていることを確認したばかりです。
網にかかった花や音叉の振動を気づいているはずなのに、無反応なのは不思議です。
食欲がなくても網にかかった異物を取り除くために隠れ家から出てきても良さそうなものです。
♀は脱皮前の眠なのかな?

後で思うと、もう少し小さな花を給餌していれば結果は変わっていたかもしれません。
巨大な虫が網にかかったのかと思い、アカオニグモはすっかり怖がってしまったのかな?
以前、造網性クモが食べてくれたアメリカセンダングサの花は未だ咲いていませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

しつこい私はそれでも懲りずに、生きた昆虫を網に給餌してみることにしました。


つづく→網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)





ウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫の口元を隠す食事マナー



2016年9月上旬
▼前回の記事
ミズナラの葉を蚕食し脱糞するウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫【100倍速映像】


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#6


ウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の亜終齢幼虫ミズナラの葉を食害する様子を接写してみました。
まず初めは、10倍速の早回し映像をご覧下さい。
幼虫は常に葉の裏面に居て、摂食中は葉縁に体を少し乗り出しています。
食休みの際は少し移動して葉裏に完全に隠れました。
体色が黄緑色なので、濃い緑色の葉表よりも葉裏に居る方が目立たないのでしょう。
撮影中は強い照明(USBリングライト)を当てているので葉裏でも幼虫を見分けられますけど、消灯すると本当に目立たなくなります。
撮影のためにミズナラ葉の裏面を上に向けていても幼虫は葉裏に留まります。
つまり単純な重力走性ではなく、あくまでも葉の表裏を匂いや味、色などで区別しているのでしょう。
ウスムラサキイラガ幼虫を強制的にミズナラの葉表に移したときに、慌てて葉裏へ移動するかどうか確かめればよかったですね。

後半(@2:04-)は微速度撮影から通常のHD動画に切り替えました(以降は動画編集時に自動色調補正を施しています)。
口元の動きを観察したくて葉表から狙うと、葉縁から幼虫の頭部が少しだけ覗いています。
幼虫が葉脈を断ち切る音がかすかに聞こえます。

イラガの仲間の幼虫は胸部から前方に張り出したフードで頭部が完全に覆われてるため、口器の動きが隠されて全く見えません。
(このフードの正式名称は?)
常に口元を隠して食べるお上品な食事マナーと言えるかもしれません。
イラガ科の幼虫に特有なこのフードの意味や目的は何でしょうか?
食樹植物の噛み跡から放出される揮発性物質を抑えて、寄生蜂を誘引しないようにするためでしょうか?(その程度で抑制効果があるのか?)
天敵の捕食者は動きで獲物を目ざとく見つけるので、摂食中によく動く頭部全体をフードで隠してしまえば、狙われるリスクを減らせるのかもしれません。

つづく→#7:ウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の最終脱皮【60倍速映像】



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