2015/09/18

フキの葉で休むクロマルハナバチ♀



2015年7月中旬

庭でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀がフキの葉に乗って身繕いしていました。
後脚の花粉籠は空荷です。
暑くて外役を休んでいる(サボっている)のでしょうか?
たまたま手にはめていたゴム手袋で蜂に触れても無反応でした。
どうも弱ってるようで、寿命が近いなのかな?
葉縁で方向転換した際にちらっと見えた腹面にもダニの寄生は無さそうです。

▼関連記事
クロマルハナバチ♀と寄生ダニ



2015/09/17

キボシアシナガバチの偽交尾【暗視映像】



2015年7月中旬・午後19:30

キボシアシナガバチ巣の定点観察@柳#12


キボシアシナガバチPolistes nipponensis)創設女王(と思われる個体)以外に2匹の♂(早期羽化雄)がいつの間にか巣盤下面に来ていました。
私の予想通り、暗くなると女王は優位行動や誇示行動をしなくなりました。
気の荒い女王に排斥されないよう、暗くなるのを待っていたのでしょうか?
ムード作りを大切にするのかもしれません。

そして♂が女王にマウントしました。
しかし交尾器は結合していないので、交尾は未遂に終わった(偽交尾)と思われます。
アシナガバチの交尾はマウントしてから腹部を互いに絡ませるはずです。
その間、女王は静止していましたが、実は非協力的で息子との交尾を拒否しているのかもしれません。
例えば、巣内では交尾せず、必ず外出中に出会った相手と交尾することで、なるべく近親相姦の忌避を図っているのかもしれません。(※追記参照)
その後♀♂ペアは別れ、女王は巣盤上部へ移動しました。

一方、別個体の♂がすぐ横で育房内の幼虫と栄養交換していました。
ライバル♂に対する交尾干渉はありませんでした。(もし気づいていたら邪魔したかな?)

※ ♀の個体識別をしていないので、偽交尾したのがワーカーである可能性を否定できません。
それならそれで、また興味深い行動になります。

つづく→#13:夜の栄養交換【暗視映像】




※【追記】
小林朋道『先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学』という本でセグロアシナガバチの観察記録を楽しく読んでいると、擬交尾について詳しく解説してありました。
「擬交尾」では、交尾のように、♂が♀に乗りかかるようにして、腹部の先端を♀の腹部の先端にくっつけるのだが、実際には、精子の受け渡しは行われない。問題は、巣を離れる前の♂や新女王の関係である。当然のことながら、巣を離れる前の♂や新女王は、自分たちの巣で、互いに一緒に過ごすわけであるが、もしそのとき、交尾して、♂が新女王に精子を渡してしまったとしたら、それは近親交配になってしまう。(中略)
セグロアシナガバチにおいても、巣を離れる前の♂や新女王は、自分たちの巣で出会っても、交尾しないような仕組みができているはずである。もしできていなかったとしたら、セグロアシナガバチは、子どもが残せなくて、進化の過程で速やかに絶滅していたはずである。(中略)そういうわけで、同じ巣の♂と新女王は、交尾のような行動をしても、♂が新女王に遺伝子を渡さないようになっているのだろうと考えている。つまり、「擬交尾」なのである。(p79より引用) 
専門書よりも詳しい解説で、とても勉強になりました。
理屈は分かるのですけど、巣上での擬交尾では本当に受精しないのかどうか、実は誰も確認していないのですかね?


ヤブキリ♀の産卵



2015年7月下旬

草刈りされた山麓の土手でヤブキリ♀(Tettigonia orientalis)が長い真っ直ぐの産卵管を地面のあちこちに突き刺して感触を確かめていました。
腐葉土になる前の枯葉が堆積してフカフカ(スカスカ)の状態です。
ヤブキリは植物の茎に産卵するかと勝手に想像していたので、地中に産卵するとは意外でした。
餌植物の豊富な藪の中ではなく、やや日当たりの良い開けた空き地を選んでいるのも不思議です。
卵が孵化するまでの胚発生を太陽光で早めるためかもしれない、と想像しました。
しかし調べてみるとヤブキリは卵で越冬するらしい。

ようやく産卵適地を見つけると、地中に産卵管を深く差し込んでじっとしています。
産卵中に小さなアリが脚などに這い上がってきそうになると、ピクッと動いて嫌がりました。
ただし産卵管から這い登ってきそうになっても無反応でした。

周囲でときどき聞こえるシリリリリ…♪という鳴き声もヤブキリ♂のようです。


ランダムに記事を読む