2015/09/10

誇示行動として巣上で羽ばたくキボシアシナガバチ♀



キボシアシナガバチ巣の定点観察@柳#7

2015年7月中旬

柳(樹種不詳)の枝先に作られたキボシアシナガバチPolistes nipponensis)の巣には創設女王とワーカー、および♂(早期羽化雄)が居ます。
個体識別のマーキングを施していないので、女王蜂をワーカー♀とを確実に区別できていないのですが、いつまで経っても警戒を解かずに(翅を半開き)巣盤の下で常にピリピリ(緊張)しているのがおそらく創設女王だと思います。
他の蜂は神経質で怒りっぽい女王を恐れて「触らぬ神に祟りなし」とばかりに巣盤の上部に避難し、のんびり休息したり身繕いしたりしています。
巣が風で少し揺れたり、他の♀が帰巣する度に女王は半開きの翅を震わせて威嚇しています。
アシナガバチの女王は娘たち(ワーカー♀)を力で押さえつけないとコロニーの秩序が乱れてワーカーが産卵を始めたりクーデター(反乱)を起こしたりしてしまうのです。
ワーカー同士でも力関係の順位制があり、通常は早く羽化した者から順に優位になります。
常に攻撃される劣位のワーカーほど卵巣が萎縮した状態になるのだそうです。

巣盤の下面に陣取っている女王がその場で羽ばたき始めました(@4:51〜)。
女王と思われる♀が巣盤下で歩き回りながら短い扇風行動を断続的に繰り返しています。
しかし、このときは雨上がりで気温は25℃→24℃と全く暑くありませんでした。
暑い昼下がりならともかく、なぜ夕方から扇風行動を始めるのか、不思議です。
雨で濡れた(湿った)巣や繭を乾かすためだとしたら、本腰を入れて長時間羽ばたき続ける必要があるでしょう。
他個体への一種の優位行動ではないか?と疑問に思い始めました。

アシナガバチ学のバイブルである『日本の昆虫3:フタモンアシナガバチ』を読み直すと、謎が解けました。
誇示行動の一種と判明。

・通常もっとも優位な個体(たとえば女王)が示すもので、翅を半開きにし、時にはそれを上下に断続的に打ちつつ、他の個体につっかかるように速いスピードで巣上を走りまわる行動である。これは巣上の全個体に示す行動であるから、特定の標的個体はない。(p84)
・これ(誇示)は単に巣上を走り回る、翅のビーティングを伴う駆け回り、腹部をよじるようにして単に打ちながら歩く、などがある。(p150)


ワーカーが2匹帰巣し、これで在巣の蜂は女王も含めて♀4♂2になりました。
いつの間にか♂も巣盤上部に追いやられました。


他に特筆すべき、この映像で見られる成虫間の交渉は次の3つ。

育房内の幼虫と栄養交換していた♂が女王に近づき触角で挨拶しましたが、女王は無反応。(@3:30-3:38)

空荷で帰巣したワーカーと女王が口づけを交わして栄養交換しました(挨拶?)@5:08
近くの柳の葉でアブラムシの甘露(または柳の花外蜜腺)
を舐めてきた個体が女王にお裾分けしたのかもしれません。
▼関連記事
柳の葉を舐めるセグロアシナガバチ♀

巣盤の上部右に居た♀に♂が下から近づき、キスしました。(@7:09〜7:20)
口移しの栄養交換を成虫間でも頻繁に行うのでしょうか。

つづく→#8:キボシアシナガバチ:誇示行動と成虫間の栄養交換


ノブドウの花蜜を吸うエントツドロバチ♀



2015年7月中旬

河川敷に蔓延るノブドウの群落でエントツドロバチ♀(Orancistrocerus drewseni)が吸蜜のために訪花していました。



2015/09/09

蛾を捕食するシオカラトンボ♂



2015年7月中旬

河川敷で何か大きな獲物を抱えたトンボが飛び回っていました。
砂利道の雑草に着陸してようやく落ち着いて食べ始めたところを撮影すると、シオカラトンボ♂(Orthetrum albistylum speciosum)でした。
トンボに疎い私は、シオカラトンボ♂にしては側面から見た黒紋が違う気がしたのですけど、腹部が上下に平べったいのはシオカラトンボの特徴なのだそうです。

風が吹いてイネ科の草が大きく揺れても必死にしがみ付き、食餌を続けます。
餌食となった蛾はなんとなくマイマイガですかね?(自信なし)
獲物の頭部から食べています。
大顎で咀嚼する動きが恐ろしや。
横を歩行者が通り過ぎたときは警戒して咀嚼を中断しました。
撮りながら少しずつ近づいたら、最後は獲物を抱えたまま飛んで逃げられました。
土手の茂みの上へ飛んで行き、見失ってしまいました。

後で思うと、食べ終わるまでじっくり長撮りすべきでしたね。
忍び寄って採集できるかな?と途中から欲が出てしまいました。
獲物の翅は食べ残して捨てるはずなので、慌てなくても同定できたのに…。
トンボを撮り慣れていないのです。



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