2015/08/19

排便後に柳の梢から飛び立つハシボソガラス(野鳥)



2015年7月上旬

湿地帯に生えるヤナギ(樹種不詳)の高木に止まって葉を舐めていたハシボソガラスCorvus corone)の一羽に注目して撮っていたら、キョロキョロと辺りを見回し始めました。
脱糞(@0:24)で軽量化した直後に枝から飛び立ち、湿地帯の上空を一回りして飛び去りました。


▼前回の記事
柳の葉を舐めるハシボソガラス(野鳥)



2015/08/18

川沿いで捕食活動するハグロトンボ♀♂の群れ【HD動画&ハイスピード動画】



2015年7月中旬

郊外を流れる川のコンクリート護岸にハグロトンボCalopteryx atrata)が集まっていました。
必ず顔を川に向け、水際でほぼ一列に止まっています。
ときどき飛び立って水面の上を飛び、すぐに舞い戻る、という謎の行動を繰り返しているのが気になりました。

幸いハグロトンボの性別を見分けるのは簡単で、♀は胴体が黒く、♂の腹部は金属光沢のある緑色です。
♀も♂も両方混在しているのに、なぜか求愛や交尾行動は見られません。
ハグロトンボは「ほかのカワトンボ類のような儀式ばった配偶行動はない。」(ヤマケイポケットガイド18『水辺の昆虫』p48より)

wikipediaによれば、ハグロトンボの

羽化後の若い個体は薄暗いところを好み、水域から離れて林の中で生活するが、成熟すると再び水域に戻り、明るい水辺の石や植物などに止まり縄張りを張る。

地上で止まっている時に黒い翅を勢い良く開閉して誇示しているのは以前も見たことがあります。
▼関連記事 
ハグロトンボ♀の翅紋誇示 
ハグロトンボ♂が翅を開閉
『昆虫の研究:トンボの楽園』p8によると、
ハグロトンボは、ふだん羽をとじてとまる。羽を開くのは、近づくなという縄張り争いの信号だ。
もし単純な縄張り争いだとしたら、領空侵犯されても迎撃して追い払わないのは解せません。
隣接個体とのパーソナルスペースを守るためだけに飛び上がっては止まり直し、川岸での居場所を変えているのでしょうか?

京都鴨川の名物となっている堤防に等間隔で座るヒトのカップル※のように、ハグロトンボも川岸で自然に等間隔で並ぶようになるのかな?
※ 興味のある方のためへのリンク集



回転寿司のように水面を流れてくる餌を待って捕食しているのでしょうか?
群れの様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみたら(@1:41〜)、飛び上がる謎が解けました。
飛びながら巧みに身を翻して小さな昆虫を空中で狩り、捕食していたのです。

皆が川の方を向いて止まっていた理由もこれで分かりました。
♀♂が集まっていたのに交尾しなかったのは、色気よりも食い気だったようです。
脚で捕らえた獲物を口元に持って行ってから着陸しました。
飛んでる獲物が小さ過ぎて見えないのが残念です。
ただし目の前の水面をアメンボが横切ってもハグロトンボは無反応です。
アメンボは肉食性の水生昆虫だから捕食の対象にはならないのでしょう。

着陸地点は元の位置とは限らず、右に左に移動します。


つづく→引きの絵で撮影


2015/08/17

ノシメマダラメイガ(蛾)の繭を乗っ取る幼虫【微速度撮影】



ノシメマダラメイガの飼育記録#22

2015年7月上旬

飼育容器の底に作られたノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)の薄い繭の中で蛹の黒化が進んでいます。
この蛹は頭部を上に向けており、体の前半部は黒色になり、腹部は褐色のままです。
24時間以内に羽化しそうです。
羽化する瞬間を記録するつもりで10倍速の微速度撮影で監視・録画していたら、全く予想外の展開になりました。

個体密度などは考慮せずに適当に飼っているため、他の幼虫が絶え間なく徘徊して来て繭内の蛹も落ち着かなそうです。
餌の穀類の下に潜った幼虫がときどき激しい地殻変動を起こしています。
繭の入り口から幼虫が侵入してきて触れたため、蛹が少し回転しました。
このとき蛹が蠕動して威嚇(抗議)したようです。

繭の隙間に幼虫が居座り、上半身だけ外に出して食事しています。
ようやく居候が出て行ってくれたと思いきや、また戻って来ました。(別個体?)
繭の作りが甘くて侵入し放題です。
頭部を幼虫につつかれた蛹は、尾を振って(身を攀じって)必死に抵抗しています。
図らずも蛹の運動能力を見ることが出来ました。
侵入者の幼虫は蛹室を乗っ取ろうとしているのでしょうか?(労働寄生)
本種の幼虫が集めたゴミを糸で綴って念入りに繭を作るのは、共食い防止のためのような気がしてきました。
幼虫が蛹を完全に繭の左端から追いやってしまいました。
繭を乗っ取った幼虫は押麦をかじったり繭内で方向転換したりし
ています。
まさか蛹と幼虫の仁義なき兄弟喧嘩が見れるとは予想外でした。
散々、狼藉を働いた後に幼虫は、意外にも繭から出て行きました。
したがって幼虫には何も悪気はなく(繭を乗っ取るとか労働寄生する意図は無く)、無邪気に勝手気ままに徘徊・摂食していただけのようです。
苦心して作った繭から後輩(弟/妹)に追い出された蛹は無防備な剥き出し状態になってしまいました。
もちろん自力では繭に戻れません。


※ プラスチック容器越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して動画編集時に自動色調補正を施してあります。

つづく→#23:成虫の羽化【微速度撮影】



【追記】
小島渉『わたしのカブトムシ研究』に似たような話が書いてありました。

(カブトムシの)幼虫は先にできた蛹室の近くにやってきて、そこで自らも蛹室を作る。このとき、やってきた幼虫は先にできた蛹室と必ず一定の距離を保っており、それを壊してしまうようなことはほとんど起こらないようなのだ。(中略)カブトムシの蛹室の壁は物理的にそれほど頑丈ではないので、ほかの幼虫が土を掘って蛹室を作るときに壊してしまうことが起こるはずである。(p67-68より引用)
幼虫がまさに蛹室の壁に到達しようかというとき、蛹が蛹室の中でぐるぐると服節をまわし回転運動をおこなうのが見えた。幼虫は動くのをやめ、しばらくすると蛹室のそばから少しずつ離れていった。(p68より)
幼虫は決して蛹を食べてしまうようなことはなかった。ただ単に、土の中を動き回って蛹室の近くに来たときに知らず知らずのうちに蛹室を壊してしまうのだと考えられる。(p69より)

腐葉土の中で育つカブトムシの幼虫は、天敵(捕食者)であるモグラの振動を察知するとしばらく動きを止めてやり過ごすらしい。
カブトムシの蛹はモグラの振動を行動擬態することで、同種の幼虫に蛹室を壊されないようにしている、という興味深いストーリーでした。
ノシメマダラメイガの蛹も同様の防衛戦略を発達させていても不思議ではありません。(実際に繭が壊され侵入されそうになったときに、蛹が繭の中で激しく暴れました)
今回はあまりにも高密度で飼い過ぎたせいで、繭内の蛹が繭内で動いてもその音がかき消されてしまったのかもしれません。



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