2015/06/30

チョコレートに群がるノシメマダラメイガ(蛾)若齢幼虫【微速度撮影】



ノシメマダラメイガの飼育記録#10


▼前回の記事
チョコレートを食害するノシメマダラメイガ(蛾)初齢幼虫

2015年6月中旬・室温28℃→27℃・湿度40%→43%

ノシメマダラメイガPlodia interpunctella)幼虫が集団でミルクチョコレートを食害する様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
一口大のチョコレートの表面を徘徊する様子を見るだけでも私などは面白いと思ってしまいます。
食害は表面よりも底面に近い側面の方が盛んに行われています。
チョコの表面に刻印されたロゴに潜り込んだ個体は糞やゴミを糸で綴って巣を作り、その中でぬくぬくと食害しています。
撮影のためにUSBリングライトを点灯したのですが、幼虫が光をひどく嫌う様子は伺えませんでした。
成虫は撮影の間、一時的に取り除きました。

容器の底から見ると、餌として与えた穀物(押し麦と黒胡麻)の隙間に茶色の粒粒が大量に溜まっていました。
特にチョコレートの下に多いようです。
これは幼虫が排泄した糞でしょう。
一緒に飼育している成虫はそもそも食物を摂取しないので、排泄しないはずです。
こうした糞やゴミが後に重要な役割を果たします。

つづく→#11:食事シーンの接写(三脚カメラ)

【断り書き】 
有名な某チョコレート製品に刻印されたロゴがばっちり写ってしまっているので、菓子メーカーの名誉のために申し添えます。
(映像だけ見て早とちりしたり風評被害や営業妨害になるといけないので、具体的な商品名やメーカーを明記するのは差し控えます。)
決して購入した商品にノシメマダラメイガ幼虫が混入していたのではなく、密封パッケージ等の品質管理に落ち度は全くありません。
また、チョコレートに防虫剤などは添加されていない安全な食品であることも分かります。
今回、飼育用の餌にこの銘柄のチョコレートを選んだのもたまたま近所の店で一番安かったからで、他意はありません。
チョコ表面のロゴを削るか裏返して置くか、映像にモザイクを掛けるべきですかね?
当然ながら今後も飼育で増やした害虫を外に放つこともしません。
別に飼っているハエトリグモの生き餌としてノシメマダラメイガを養殖してみるのが私の目的で、そのついでに色々と観察を楽しんでいます。



ヒメシジミ♂同士の闘争飛翔【ハイスピード動画】



2015年6月中旬

平地の農道で2頭のヒメシジミ♂(Plebejus argus micrargus)が激しく乱舞していました。
闘争飛翔を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。

我々ヒトから見てもヒメシジミは翅の色や紋様が性的二型なので、♀と誤認して♂を追尾しているとは考えにくいでしょう。
▼関連記事ヒメシジミ♂同士の誤認求愛?【ハイスピード動画】
近くの道端で訪花していた♀(映像公開予定)を巡る争いだと思うのですが、片方が逃げる♂を追い回しています。
繁殖期にはゼフィルスのような縄張り争いがあるのですかね?

乱舞する影も美しいです。



2015/06/29

揺籃から羽化したセアカヒメオトシブミ



2015年6月中旬・室温27℃・湿度50%
▼前回の記事
セアカヒメオトシブミの揺籃作り【後編】

セアカヒメオトシブミApoderus geminus)♀が柳の葉を巻いて作った揺籃に産卵してから33日後、飼育容器内で羽化した成虫が徘徊しているのを見つけました。
採集した揺籃をときどき霧吹きで軽く加湿しながら容器内に放置していたのですが、一ヶ月を過ぎても成虫が羽化してこないので乾燥で飼育に失敗したのかと心配していました。
きれいな円形の脱出口が揺籃の側面に開いていて、少しだけカビが生えかけていました。
巻いた揺籃を留める折り返し部分が解けかかっているのは乾燥のせいかな?
脱出する際は中から齧る音がしたはずですけど、気づけませんでした。
この日は久しぶりに霧吹きしたので、湿り気で雨だと思い羽脱したのでしょうか。

ときどき翅を広げて飛んでくれたのに、肝心の飛び立ちシーンが尻切れトンボになってしまいました。
飛行後の後翅をきれいに畳めないでいます。
飛ぶ力も弱く、すぐに墜落してしまいます。
クチクラが未だ充分に固まっていないのかな?
触れると長時間死んだふり(擬死)します。





その後はホスト植物の柳とイタドリを水差しにして与え、飼育を続けてみました。
ところが飼育容器から逃げ出そうと飛んだり徘徊したりするばかりでした。
揺籃を作るどころか葉を食べる行動も全く見られず(見落としただけ?)、5日後には死んでいました。
その行動から素人目にはなんとなく♂ではないかという気がするのですけど、どうですかね?
オトシブミの♂は飲まず食わずで配偶行動に没頭するのでしょうか?

♀は交尾してからでないと揺籃を作り始めないのかな?
私には形態的にセアカヒメオトシブミの性別を見分けられないので、どなたかお分かりの方はぜひ教えて下さい。(※追記参照)



以下は標本写真。
死後は鞘翅の赤色がやや褪色するようです。




シリーズ完。

次の課題としては、

  • 揺籃を分解して卵の位置を確認する。
  • 柳の葉から切り落とされずに残っている揺籃を採集してきて飼育する。
  • 揺籃をカットして中身の発生状況を観察しつつ飼育する。
  • 飼育下で揺籃を作らせる。
  • 成虫の摂食行動を観察する。


※【追記】
クリの葉を巻いて揺籃を作るナミオトシブミの生態を緻密に調べた古い名著『オトシブミ―昆虫の本能のひみつをさぐる (観察の本 1) 』p75〜76によると、ナミオトシブミの場合は前脚の跗節の基部にある鉤爪の数が♂では1本、♀では2本でした。
♀のかぎ形の二本のつめが、足の先のつめといっしょになって、ようらんを巻くとき、葉を引っぱったり、筒を抱きころがしたりするときの、だいじな道具になるのです。♂は二本もつめがいらないんだ。葉を巻くのは、♀だけだもの。
この性差はどのオトシブミでも共通なのですかね?
だとすれば今回、私が得たセアカヒメオトシブミの個体は爪の数が一本なので♂ということになります。
手元の標本で爪の性差をもう一度確認してみる必要があります。

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