2014年12月下旬
雪に埋もれた庭の生ごみ堆肥化容器(コンポスター)内で1匹のネズミ(種名不詳)が死んでいました。(写真なし)
生ゴミの天辺で横臥していた死骸を採集すると、左首の側面に鳥に深く突かれたような謎の傷跡がありました。
実は半年前の夏に、同じコンポスター内に地中からトンネルを掘って出入りするネズミを見かけています。
▼関連記事餌の少ない厳冬期に居心地の良い(暖かい)堆肥の中でネズミ同士で死闘を繰り広げたり共食いしたのでしょうか?
コンポスト内に出没するネズミの仲間【名前を教えて】
(たとえば以前、室内のゴミ箱の中に落ちて脱出不能になったハツカネズミが共食いしていました。)
それとも、近くで拾った死骸を誰かがここに捨ててくれたのかな?
野鳥(モズなど猛禽類?)がネズミの急所に致命傷を与えたのなら、なぜ持ち去って捕食しなかったのか謎です。
実は6日前、早朝の雪かきの際に生きたネズミがコンポスター脇の新雪を走り去る姿を目撃しています。
雪国でも冬眠せずに活動するネズミがいるとは、ネズミに疎い私にとって新鮮な驚きでした。
せっかく野生動物の死骸が手に入ったので、頭骨標本作りに挑戦しました。
まずは写真に記録、採寸。
体重を測るのを忘れました。
前足はX本指、後ろ足は5本指。
このとき風邪気味だった私は、生ごみにまみれた不潔な死骸をじっくり調べる気力がありませんでした。
15cm定規を並べる。 |
大きな耳 |
左首の傷 |
前足の裏を撮るのを忘れた。 |
後ろ足 |
右後足の裏 |
ネズミ類に疎い私は、この死骸が家ネズミなのか野ネズミなのかも分かりません。
最近『リス・ネズミハンドブック』という手頃な図鑑が出版されたみたいなので、いつか調べてみます。
とりあえず手元にある『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』と見比べてみると、クマネズミまたはドブネズミではないか(なんとなくクマネズミ?)と思うのですが、どうでしょう?
【追記】
コメント欄にておーやぎさんよりヒメネズミ(Apodemus argenteus)ではないかとご指摘頂きました。
ゴム手袋を着用し、カッターナイフで断頭。
一刻も早く煮沸消毒したかったので、頭部を10分間水煮しました。
体を捨てる前に、開腹解剖してみました。
内臓には特に異常はなさそうです。
この日とにかく体調の悪かった私は、胃内容物を調べる気になれませんでした。
今思うと、内部生殖器官をしっかり見れば性別が分かったかもしれませんね。
『リス・ネズミハンドブック』p3によると、
雌雄の判別は、♀では尾の付け根の腹側に肛門がある。肛門と尿道孔の間が短い。♂は肛門からペニスまでの間が長く、成獣では清掃が大きくなっていて膨れている。
次にピンセットで顔の皮膚(毛皮)と筋肉を粗取りしました。
顎が開かないのは死後硬直ですかね?
大まかに除肉した頭骨を再び弱火で5分強、水煮しました。
皿洗い用の洗剤(界面活性剤)も少量加えました。
次に水洗いしながら柔らかい綿棒で脳を掻き出しました。
頭骨は薄く半透明でした。
脳をピンセットなどで手荒に掻爬するのでは、繊細な頭骨を突き破ってしまいそうなので要注意。
舌をピンセットで引き抜きました。
鳥類と異なり、おそらく舌骨は無いようです。
ネズミの鼻先は軟骨?
未だ頭骨にへばり付いて取り切れていない細かな組織を、どう処理するか問題です。
方法は色々とあるみたいですけど、今回も入れ歯洗浄剤で溶かすことにしました。
中性の類似商品が多いなか、弱アルカリ性の部分入れ歯用ポリデント錠(漂白剤、界面活性剤およびタンパク分解酵素を配合)を使用。
説明書を読んでぬるま湯(32℃)150mLにネズミの頭骨を浸しポリデント1錠を投入するとすぐにシュワシュワと発泡が始まりました。
爽やかなミントの香りが漂います。
アルミ箔で蓋をして、浸け置きしました。
室温が低いので、分解反応が鈍かったかもしれません。
一晩漬け置きした翌日、歯ブラシで軽く擦りながら頭骨を水洗い。
細かい肉片を爪楊枝で丹念にほじくり出しました。
首につながる後頭部が少し破損していたのが残念でした。
鳥に襲われた際に負傷したのか、それとも死骸から頭部をゴリゴリと力任せに切り落とした衝撃で割ってしまったのだろうか?
外傷があったのは首の左側で、後頭部の頭骨左側が砕けていたことから、前者の可能性が高いと思います。
もしかするとネズミぐらいの小動物なら、素人が下手に頭骨だけ標本にするよりも全身骨格を作るつもりの方が結果的にきれいな仕上がりになるのかもしれません。