2015/01/30

アオサギ(野鳥)の衰弱個体#3【昼夜の観察】



2014年10月上旬

▼前回の記事
アオサギ(野鳥)の衰弱個体#2【夜の暗視映像】

なんとか時間をやりくりして翌日の午後にも溜池に行きました。
私がゆっくり近づくと衰弱したアオサギArdea cinerea jouyi)は逃げようと翼を動かすも、やはり飛べません。
更に近づくと警戒して静止(フリーズ)しました。
擬死(死んだふり)かもしれません。
(映像はここから。)
半開きの目をときどき瞬きしていることが唯一の生きている証です。
下半身は水に浸かったまま、じっとして動きません。
昨夜の観察で私から逃げようとしたせいで、泥に嵌って動けないのでしょうか?
深みに追いやる結果になってしまいました。
水に浸かりっぱなしでは低体温症が心配になりますが、水鳥は平気なのかな?

もはや自力で魚の捕食が可能とは思えません。(検証するには終日観察が必要。)
この辺りには野犬やキツネなどの捕食者(肉食獣)がいないようで、このアオサギが弱って死ぬまで徒に何日も費やしてしまいます。
この緩慢な死を残酷とか可哀想だ(助けるべきだ)と憐れむ人は優しい心の持ち主ですが、マクロで冷徹な見方をすれば食物連鎖が機能しない不健全な生態系ですね。




更にその翌日の夜にも定点観察に行きました。(時刻は午後18:22)
台風の接近でやや風が強い日でした。
池の岸から赤外線投光機を照射しても光が届かないので、赤色LEDの懐中電灯を点灯しました。


アオサギは前日よりも岸から少し離れ、挺水植物(ガマ)の茂みの陰に身を潜めていました。
ライトを警戒して立ち上がり、更に池の奥に歩き始めました。
赤外線投光機を買い足して(増設)パワーアップしたいところです。

(映像はここまで。)

これが生きている姿を見た最後でした。
翌日から台風が直撃し、アオサギの安否が気になったものの様子を見に行けませんでした。
5日も経ってから、ようやく溜池に行ってみるとアオサギは居なくなっていました。
日本列島を台風が縦断した日に死んで水没したのでしょうか?
ボートがあれば漕ぎ出して死骸の有無を確かめに行きたいところですが…。
引き続き死骸の生物分解を定点観察したいとか、せめて頭骨標本を作りたいという密かな願望も果たせませんでした。
なんとも中途半端な観察記録になってしまい心残りです。
死を看取る長期観察というのは精神的にしんどい作業でした。
色々と力不足を痛感しました。(スキルも装備も)
何事も経験だと自分に言い聞かせます。

シリーズ完


ナンブアザミの花で採餌するトラマルハナバチ♀



2014年10月上旬

山麓の道端に咲いたナンブアザミの群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けている個体と空荷の個体がいます。
複数個体を撮影。
後で大きな花に触れてみて総苞が粘らないことを確認しました。




2015/01/29

アオサギ(野鳥)の衰弱個体#2【夜の暗視映像】



2014年10月上旬・午後18:00頃


▼前回の記事
アオサギ(野鳥)の衰弱個体#1

夕方にもう一度溜池を訪れると、衰弱したアオサギArdea cinerea jouyi)は岸辺のほぼ同じ場所に居残ってました。

日が沈んで暗くなるのを待ってから赤外線の暗視動画を撮ってみることにしました。
背後から近づくも、満月(月齢13.9)の月明かりでこちらが丸見えでした。
水面にも満月が反射しています。
アオサギは逃げ腰で、翼を広げたりするも、飛んで逃げる元気はありません。

動画に撮りながらゆっくり近づくと、立っていたアオサギが身を屈めました。
頭は池の中央を向け、横目でこちらを見ています。
かなり近づくと警戒して立ち上がり、再び翼を広げました。
羽ばたいても飛び立つ力が無いようです。
飛ばないのは暗いからでしょうか?
しかしwikipedia「夜盲症」の項によれば、

鳥類は全て鳥目と誤解されることが多いが、ニワトリなどを除いて鳥類は暗部でも視力を持つものが多い。
したがって、もし健康な個体であれば、たとえ夜でも本当に身の危険を感じたら飛んで逃げると思います。

撮りながら更に接近すると、アオサギは落ち着かなく辺りをキョロキョロ見回し翼を広げ立ち上がりました。
小声でグヮー♪と鳴き、瞬きもしています。
(それまで周囲でガーガー♪鳴き騒いでいた声は対岸で休んでいるカルガモの群れです。)
アオサギは遂に歩き始め、池へ入水しました。
2、3歩歩くだけでも跛行し、バランスを取るために翼を広げています。
やはり脚を骨折しているようです。
アオサギの健康状態が分かったので、深追いを止めました。
するとアオサギも警戒を解いてその場で蹲りました。
白色光の照明を当てたりストロボを焚いて写真に撮るのは自重。

今回の私の撮影は少々強引すぎると眉をひそめるバードウォッチャーもいるかもしれません。
最近読んだ名著『ネオン街に眠る鳥たち:夜鳥生態学入門』に感動し、暗視カメラを手に入れたばかりということもあって、誘惑に勝てませんでした。
赤外線投光機を点灯しても十分に届かない距離だったため、どんどん近づいてしまいました。
しかしアオサギを追い込んでみて初めて、脚が折れているのでは?という診断がつきました。
午前中に見つけた時に立ち上がれなかったのは、朝霧が出るほど冷え込んだので、おそらく低体温症だったのでしょう。
私には傷ついた野鳥を捕獲したり保護するスキルもないのですけど、引き続き見守ることにします。

ちなみに、この日の月齢は13.9、月の出の時刻はPM17:03、日の入り時刻はPM17:12。
日が沈むのと入れ替わるように満月が登りました。

つづく→シリーズ#3


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