2018/01/23

寄生植物アメリカネナシカズラの花蜜を吸うセイヨウミツバチ♀



2017年8月下旬

農業用水路の土手に蔓延る寄生植物アメリカネナシカズラの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠は空荷です。
複雑に絡み合った茂みの奥にセイヨウミツバチが潜り込んでしまうので苦労したものの、執念でなんとか吸蜜シーンを撮りました。
複数個体を撮影。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/01/22

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その3】



2016年10月下旬・午後15:27〜15:57
▼前回の記事
コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その2】


コンクリート壁面に3匹で集合していた、おそらくオオナミザトウムシNelima genufusca)と思われる第2群のうち1匹(小型の♂?d)が群れを離脱して移動を始めました。
右側の第2および第4歩脚が根元から欠損した個体です。(-R2,4)

壁面をいったん右に移動してから下に向かい、地面に到達すると砂利の上で静止。
その間、コンクリート壁面では2匹efが静止したまま居残っています。


e,f


もしこの集合が配偶行動なら、ライバル♂に対して劣位の♂が諦めて♀から離れたのか?と解釈するのですが、ザトウムシのことをよく知らない私にはなんだかよく分かりません。
そもそも、♀を巡って♂同士の争いがあったようには見えませんでした。

少し目を離した隙に、いつのまにか♂?d-R2,4が壁面に戻っていました。
幸い、カラーペンなどでマーキングを施さなくても歩脚の欠損具合から個体識別が可能です。
地上から高さ80cmのところにあるコンクリートの庇に逆さまにぶら下がった体勢で縦溝を乗り越えました。
一休みしてから、更に壁面を右へ右へと移動を続けます。
立ち止まっているときも長い歩脚で辺りを探っています。

しばらくすると、いつの間にかコンクリート壁を登り切り、上の資材置き場を歩き回っていました。
雪囲い用に保管された丸太の上を徘徊し、木造家屋の板壁を登り始めました。

一匹狼の個体♂?d-R2,4がこの後どこに行ったのか、残念ながら見届けていません。
集団越冬に適した場所を探しているのだとしたら、軒下の隙間などを調べたのかもしれません。

それにしても、恐ろしく長い歩脚による滑らかな走破能力は見ていて惚れ惚れしますね。
複数の歩脚が同時に欠損しても支障なく歩行(移動運動)を続けられる冗長性が素晴らしいです。
次世代の惑星探査ロボットは、車輪やキャタピラを移動手段とするのではなく、ザトウムシ型の八足歩行ロボットにしてはどうでしょう?

つづく→その4




【追記】
今回注目した個体は、特に長い第2歩脚の右側を根元から欠損しているのに支障なく歩行運動できたことが興味深いです。
昆虫で言えば、触角の片方を失った状態です。

ザトウムシは昆虫のように触角をもっておらず、歩行器官である歩脚、特に前から2番目の一対を触覚センサとして用いることでその行動を可能にしているとされている。」
門脇廉; 野原拓也; 菊地吉郎. 221 ザトウムシのセンサとしての歩脚 (OS3-3: 生物遊泳・飛翔とバイオミメティクス (3), OS3: 生物遊泳・飛翔とバイオミメティクス). In: バイオエンジニアリング講演会講演論文集 2007.20. 一般社団法人 日本機械学会, 2008. p. 279-280.

ハシボソガラスによるメヒシバの種子散布?

高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#37


2017年8月下旬

繁殖期はとっくに終了していますが、久しぶりにハシボソガラスCorvus corone)の古巣#21の様子を見に来ました。
送電塔に多数の枯れ枝を組み合わせて春に作られた巣は、電力会社に撤去されることもなく残っていました。
巣が貧相に見えるのは、雛が巣立ってから風雨に晒されて巣材が少しずつ崩壊・脱落しているためでしょう。
記録のために撮った写真を拡大してみてみると、高所にある古巣から青々としたイネ科の雑草が生えていることに気づき、興味深く思いました。
穂の形状から、どうやら一年草のメヒシバのようです。




メヒシバの種子はタンポポやガマの綿毛のような風散布型種子ではありませんから、こんな高所に種子が自然に辿り着くことは絶対にあり得ません。
動物による種子散布の結果だとすると、「カラスの親鳥が雛鳥にメヒシバの実を給餌して、雛が未消化の種子を巣内に排泄した」というのが最も素直な解釈でしょう。
カラスの親鳥は雛が排泄した糞を甲斐甲斐しく巣外に運び出していましたが(排糞行動)、それでも巣内は糞で汚れていると思われます。
なぜなら鉄塔の真下が数多くの鳥の糞で汚れていたからです。

▼関連記事
最後の雛も巣立った後のハシボソガラス空巣とその真下の糞(野鳥)
しかし、6月中旬にはもうハシボソガラスの雛は全て巣立っていますから、メヒシバの花期(7〜11月)や結実期には間に合いません。
つまり、カラスの親鳥が雛に給餌している育雛期にメヒシバは実をつけていないはずです。

第二の可能性として、種子食性の他の野鳥(スズメやカワラヒワなど)が鉄塔で休んだ際に、たまたまカラスの巣の上で糞を落としていったのかもしれません。

後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』によると、カラスの親鳥が巣を作る際にさまざまな植物を練り込んだ土塊を巣の底(産座の下の基盤部)に詰めるらしいのです。


この土の塊がどのようにして運ばれてきたのかをみるために、巣の基盤部の塊の土を採り調べたところ、いずれからもハシボソガラスのDNAが見つかったため、カラスが口にくわえて運んできたことが推察される。電柱営巣の基盤部の土に混じってイネの籾殻や水田に発生するクログワイが見つかっており、多くの土は水田から運ばれている可能性が高い。 (p74-75より引用)
また、著者の研究グループがハシボソガラスの内巣の基盤部の土塊に混じっていた植物の茎や細い根を丹念に同定したところ、イネ科植物のリストの中にメヒシバも含まれていたそうです。(p48, 73)


(私はまだ実際にカラスの採土行動を観察したことはありません。)
その土に混入していたメヒシバの埋土種子が芽生えたという第三の可能性も考えられます。(この場合もカラスの採土行動は植物を助ける種子散布と呼べるのかな?)
高圧線の鉄塔にある古巣は日当たり良好ですけど、雨を保水する土壌が無いと植物は育たないでしょう。
古巣内に雛の糞などが残っていれば良い肥料になりそうです。
この古巣を回収して調べてみたいのですが素人には手が出せず、文字通り、高嶺の花です…。



【追記】
根本正之『雑草たちの陣取り合戦―身近な自然のしくみをときあかす (自然とともに)』という植物学の本を読んだら、メヒシバの種子散布戦略について知ることができました。
メヒシバは遠くまで種子を散布するための手段を特に持たず、種子自身の重さで近くに落下する重力散布種子なのだそうです。 (p15、p34より)



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