2017/10/12

農道の枯草に産卵するウラギンヒョウモン♀



2016年9月下旬

稲刈りが一部で始まった田んぼの農道(やや幅広い畦道)でウラギンヒョウモン♀(Fabriciana adippe)が謎の行動をしていました。
本種の食草はスミレのはずなのに、草刈り後の枯れ草に卵を産み付けているのです。
少し飛んでは地上の枯草で同じ産卵行動を繰り返しています。

春にこの農道でスミレの花が咲いていた記憶が無いのですけど、春になったら調べに来ないといけません。
…と思っていたら忘れてしまいました。(※追記2参照)


英語版のwikipediaに本種の産卵行動について詳しく書かれていましたので、以下に引用してみます。
食草が近くに無くても構わず産卵することがあるそうです。
今回の♀は腹端で産卵に適した場所を探っていただけかもしれません。
撮影後に枯草を掻き分けて卵を確認すべきでしたね。

Observation of fritillary egg laying is difficult as the eggs are very similar in color to the female's ovipositor. It has been seen that eggs may not even be laid after extensive enquiry by the female of potential egg sites. Females also prefer to lay eggs that are on firm ground rather than ground with loose plant matter. In outcrops eggs are laid in short vegetation next to limestone that offers good moss cover. In Bracken eggs are laid in groups in the midst of thick Bracken clumps. Dead Bracken litter is a popular site for egg laying, as well as moss and other decaying vegetation.[2]

Eggs are laid in spots conducive to sun bathing,....

Oviposition
The egg laying process begins when a female does low passes above bracken fronds and drop down when they find a suitable spot. Females will then crawl on the bracken littered ground and use their abdomens to probe for likely egg laying spots. Eggs are normally laid once a female crawls over a plant that can serve as a food resource. Eggs may also be laid without any area observation, and without any food plants nearby, as females have been observed to lay eggs within seconds of landing. False egg laying is also common.[2]


【追記】
古い図鑑ですが、保育社『原色日本蝶類生態図鑑II』p99によると、
 (ウラギンヒョウモンの)産卵は9月に入ってから行われると思われるが、正確な開始時期は不明である。母蝶は食草がたくさん自生している付近の地面にとまり、触角を上下に動かし、翅を立てたままで腹端を強く曲げながら歩行し、枯れ枝、枯れ葉、木片などの他物に1卵ずつ産みつける。 
 1回の産卵行動で、断続的に別位置に5〜6か所産付する場合もある。(中略)本種の産卵位置は森林性のヒョウモンチョウ類より一般に地表に近い。







※【追記2】
7年後の2023年11月上旬、稲刈り後に同じ田んぼの農道を歩いていると、季節外れに狂い咲きしているスミレの花をいくつか見つけました。
花が咲いていないと私はスミレの仲間を見分けられないのが問題です。
しかしウラギンヒョウモン♀はしっかり食草の匂いを嗅ぎ分けて、その近くに産卵したようです。
ずっと気になっていた懸案事項がようやく解決しました。

2017/10/11

日の出から巣に通い雛に給餌するハシボソガラス♀♂(野鳥)



高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#19


2017年6月中旬・午前4:15〜6:35


早朝に撮れた5回の給餌シーンをまとめてみました。
日の出時刻の午前4:15丁度に一羽のハシボソガラスCorvus corone)親鳥がこの日初めて帰巣し、雛に給餌しました。
あまりにも太陽の動きの通りにカラスの一日が始まるので驚きました。
親鳥が巣を離れると、雛は早朝から羽ばたき練習しています。

2回目に撮れた給餌は午前6:06。(1回目と2回目の給餌の間には別の撮影をしていました)
もうすっかり昼間の明るさになりました。

3回目の給餌シーンで驚きの新事実が判明しました。
餌乞い中のシルエットを数えると、在巣の雛は計3羽ではなく、4羽だったのです!
鉄骨が邪魔で、今までずっと見落としていたのかもしれません。
あるいは雛鳥の成長が不揃いで、小さい雛が今まで見えなかったのでしょうか。
(親鳥♀♂が2羽同時に在巣だった可能性もありそうです。)

4回目の給餌シーンでは、2羽の親鳥が相次いで帰巣しました。
朝から共働きしていることが分かります。
給餌後の親鳥は、雛の排便を待つ間に巣の横の鉄骨に止まって待っていることがあります。

5回目の給餌シーンは鉄塔に少し近づいて撮りました。(@4:18〜)
このときも2羽の親鳥が相次いで帰巣しました。
雛の羽ばたき練習を間近で観察することができました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→#20:早朝から飛翔筋トレーニングをするハシボソガラスの雛【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】



ソヨゴの雄花でハナバチを狩るツチスガリ♀



2017年6月下旬

街路樹として植栽されたソヨゴの雄株で地味な花が咲いていました。
雄花の盛りは過ぎているものの、小さな黒い狩蜂が訪花していました。
体節がごつごつと節くれだっていて、腹部に黄色のストライプが一本あります。
吸蜜目的ではなく、獲物を探索しているようです。

花上で獲物(ミツバチ♀?)の胸背を噛んで仕留めると、葉に移動して身繕いを始めました。
獲物を抱えると馬乗りに跨っています。
最初は探餌飛行していたのに、毒針で獲物に麻酔する瞬間をしっかり撮れなかったのは残念無念…。
最後は獲物を抱えて巣へ飛び去りました。

スナップショット写真を見直すと、この狩蜂はナミツチスガリ♀(Cerceris hortivaga)またはその仲間だと思われます。
だとすると獲物はコハナバチの一種でしょう。

こんな平地の街中(中心街)に単独性狩蜂がいるとは驚きです。
意外に自然が残っているのでしょう。
今までナミツチスガリとは山道でしか出会ったことがないのです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



ソヨゴ雄花
ソヨゴ雄株の花

ちなみに、同じ通りの20mぐらい離れた地点にソヨゴ雌株の花も咲いていました。

▼関連記事
ソヨゴの雌花で吸蜜するクロマルハナバチ♀


ランダムに記事を読む