2016/02/24

巣に侵入したクサギカメムシを追い払うキイロスズメバチ♀



2015年10月中旬

キイロスズメバチ巣の定点観察#10


以前の定点観察#3キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)が営巣する軒下をウロウロと歩き回っている黒っぽい昆虫が気になりました。
スズメバチの巣に寄生するハネカクシやゴキブリだとしたら面白い話です。

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巣に侵入するナミクシヒゲハネカクシ?を殺すモンスズメバチ♀門衛

この日の観察では、謎の虫の正体を突き止めることに専念しました。


シーン1:6倍速映像

クサギカメムシHalyomorpha halys)が軒下の垂木に沿って右往左往しています。
おそらく越冬場所を探し回っているのでしょう。
晩秋になると毎年クサギカメムシは屋根裏や屋内にも続々と侵入して集団越冬することが知られています。
カメムシの歩行を見ていても、スズメバチの巣に誘引された動きではなさそうです。
遂にキイロスズメバチの外被に偶然迷い込みました。(@1:14〜)
しかし巣の本体まで降りてくることはなく、そのまま軒下の棟木へ移動しました。
在巣のスズメバチは未だカメムシに気づいていないのか、それとも無害だと無視(黙認)しているのでしょうか。
カメムシを攻撃したり獲物として狩ったりすることはありませんでした。



シーン2:1倍速(リアルタイム)映像(@1:25〜)

棟木の付近の外被にクサギカメムシが迷い込んで徘徊しています。
近くで外被を増築していたキイロスズメバチ♀にも気づかれず、ひっそりと立ち去りました。


シーン3:1/8倍速スローモーション(@2:10〜)

後半は巣に出入りするキイロスズメバチ♀の飛翔シーンを狙って240-fpsのハイスピード動画に記録しようと長撮りを繰り返しました。
軒下が薄暗いせいで(光量不足)蜂の羽ばたきがあまり上手く撮れなかったのですが、その映像の中に興味深い対決シーンが偶然写っていました。
巣の外被上はなぜか騒然としており、4〜5匹の蜂が巣口の周りを羽ばたきながらパトロールしています。
巣に迷い込んだクサギカメムシが外被に静止していると保護色で非常に見えにくいですね。(動き出さないと気づきません。)
外被上に迷い込んだクサギカメムシが遂に外被点検中のキイロスズメバチのワーカー♀に見つかってしまいました。
蜂は羽ばたいて威嚇しながらカメムシを追い立てます。
安易に噛み付いたり攻撃を加えないのは、毒ガスの反撃を恐れているのかもしれません。
(これまでに何度も繰り返し侵入されて、蜂もカメムシ対処法を学習していそうです。)
慌てて逃げるカメムシは外被から転げ落ちました。(@3:10)
追跡者は震わせていた羽ばたきを止めました。

同様のシーンがもう一度繰り返されます。
ところが今回は、外被上を逃げるカメムシが一直線に巣口へ向かっています。
巣内へ侵入した!と思いきやキイロスズメバチの門衛に撃退され、挟み撃ちされたカメムシは落下しました。(@4:55)
追跡していた蜂もすぐに飛び立ちました。
その後の展開も興味深く、巣口から出てきた門衛が興奮したように羽ばたきながら巣口周囲の外被をパトロールしてから巣に戻りました。
映像ではいまいちはっきりしないのですが、入巣直前の羽ばたきが扇風行動のように見えました。
頭は巣内を向いているので、ニホンミツバチがやるような排気行動だとすると、追い払ったカメムシの最後っ屁(毒ガス)を換気しているのかもしれません。
巣内の冷却が必要になるほどこの日の気温は暑くありませんし、扇風行動が見られたのはカメムシ遭遇戦の直後だけでした。


肉食性のカメムシでない限り、もしスズメバチの巣への侵入が成功したとしても無害な居候として潜伏するだけでしょう。
寄生や共生のような緊張を伴う緊密な関係ではないはずです。
スズメバチの巣は断熱材で守られたシェルターですから、クサギカメムシが越冬する隠れ家として向いているかもしれません。
クサギカメムシがキイロスズメバチの巣に次々と侵入すれば、やがて集合フェロモンの効果であたかもスズメバチの巣に誘引されているように見えるはずです。




コロニーが解散した後にスズメバチの古巣を調べてみれば、多数のカメムシが集団越冬していそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。

つづく→#11:キイロスズメバチの巣に侵入する寄生ハエ?



2016/02/23

アメリカセンダングサの花から飛び立つキタキチョウ【HD動画&ハイスピード動画】



2015年10月下旬

郊外の道端に咲いたアメリカセンダングサの群落でキタキチョウEurema mandarina)が訪花していました。
口吻を伸ばして花蜜を吸っています。
閉じた翅裏の紋様がいつも白飛びしてしまうのが悩みです。(少し斜めのアングルから撮るしかないのかな?)
後半は花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。(@1:01〜)
スローモーションで見なければ、キチョウの翅表にこんな紋様があるとはなかなか気づかないでしょう。


▼関連記事(マクロ動画)
キタキチョウの訪花@アメリカセンダングサ



2016/02/22

巣口付近で激しく争うキイロスズメバチ



2015年10月中旬

キイロスズメバチ巣の定点観察#9


この日は、妙な事件が起こりました。

シーン1:撮影開始時刻13:00

キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)が出入りする巣口に狙いを定めて撮影していると、帰巣したワーカーに門衛が突然飛びかかりました。(@0:27)
大顎で噛み合う喧嘩になり、一匹が落下。
残った方は興奮したように羽ばたきながら外被上を徘徊してから入巣。
門衛が勝ったのかどうか、定かではありません。
喧嘩の原因は何だったのでしょうか?
他のコロニー出身の蜂が迷い込んだのでしょうか?
つづいて門衛?が巣内から♀を追い出しました。
巣口で誰何する門衛がピリピリと殺気立っているとしたら、その原因として特にこの時期はオオスズメバチによる襲撃が考えられます。
実はそれを半ば期待して様子を見に来たのですが、この日オオスズメバチの襲撃はありませんでした。
この時期はワーカーの数に対して外役に出ない生殖虫(新女王と雄蜂)の割合が増えてコロニーの食糧事情が悪化し、苛烈な口減らしが行われているのでしょうか?

先日は、幼虫の餓死あるいは子殺しが疑われる事件も観察しています。
▼関連記事 
巣の外に捨てられたキイロスズメバチ幼虫の謎【子殺し?】
狩りや採餌に出撃したのに空荷で帰巣するワーカー♀を許さず門衛が追い返しているのかな?(ノルマが厳しい)
喧嘩騒ぎの一方で、巣口の左下では別個体のワーカー♀が外被をせっせと増築しています。


シーン2(@1:01〜):撮影開始時刻13:44

巣口で2匹の蜂が激しく喧嘩しています。
一方的に噛んでいるようで、やられている蜂はほとんど反撃しません。
映像では性別をしっかり見分けられないのがもどかしい限りです。
(同定用にストロボ写真を撮るべきでしたが、動画撮影を優先しました。)
もし交尾行動なら♂がマウントを試みるはずですが、そのような展開にはなりませんでした。
巣に侵入を試みた雄蜂(または他コロニー出身の♀)が撃退されたのかな?
アシナガバチでよく見られるような優位行動がスズメバチにもあるのでしょうか?
権勢の衰えた創設女王に対してワーカー♀がクーデターを蜂起したのでしょうか?
無抵抗で動かない相手の体を2匹の門衛?が噛み続けています。
喧嘩に毒針は使わず、大顎で噛み付くだけでした。
鎧のように固いクチクラは噛み切れないらしく、致命傷を与えられないでいます。
やがて2匹とも外被からもつれ合うように落下しました。(@3:24)
死闘を繰り広げている間に、その横では平然と造巣作業が続いています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。


つづく→#10:巣に侵入したクサギカメムシを追い払うキイロスズメバチ♀



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