2015/08/27

貯食を中止したハシブトガラス(野鳥)



2015年7月上旬

川沿いの堤防で2羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が何かしていました。
カメラを向けると警戒して飛び上がり、近くの電線へ逃げてしまいました。(映像はここから)
嘴に何か獲物を咥えていますが、正体不明です。
何かの死骸かもしれません。

更に飛んで近くの民家のトタン屋根に移動しました。
後ろ向きになり(背を向けて)足の爪で獲物を押さえつけながら啄んでいます。
やがて獲物を咥え、屋根の雪止めにひょいと飛び移りました。
そして雪止めを固定する金具の隙間に獲物を隠しました。
貯食行動ですかね?
一旦横に離れたものの、すぐにまた獲物を取りに戻りました。
最後は獲物と共に住宅地の方へ飛び去りました。

この間、近くの電柱の天辺に別個体bが止まって鳴いていました。
貯食する場所が他個体bにばれてると気づき、横取りされないよう貯食を中止したのかもしれません。
貯食を中断したのはただの気紛れかもしれませんが、私に撮られていることが影響した可能性もありますね。
カラスが「心の理論」を持つか?という点で興味深い出来事でした。

ところで、このハシブトガラスは嘴が太いものの、額が出っ張っていないという妙な(ハシボソガラスとの中間的な)個体でした。
よく見ると嘴の中が赤い幼鳥でした。



【追記】
『銀座のツバメ』p86によると、
(ハシブトガラスが)その場で食べきれない餌は、喉袋に貯めてビルの屋上や街路樹に運んで隠す。これを“貯食行動”という。


【追記2】
『カラスの教科書』p134?によると、餌の隠し方(貯食行動)について
 ハシブトガラスではもう少し雑で、落葉をばさばさと被せて終わりとか、物陰に押し込んで終わりとか、その程度の例も多かった。ビルの屋上に餌を隠す、というか単に置いておくこともある。屋上に妙なものがあった場合、カラスが持ってきた可能性は結構高い。ただ、ハシブトガラスは他人の視線に非常に敏感で、他個体や人間に貯食の現場を見られると、すぐに餌をくわえて飛び去り、場所を変えてしまう。どうやらカラス間で貯食の盗みあいがあるようだ。人間は別に盗まないと思うが、見られているのがとにかく嫌いらしい。(中略)ハシボソガラスはそこまで神経質ではなかった印象がある。





【追記3】
柴田佳秀『うち、カラスいるんだけど来る? :カラスの生態完全読本』によると、
・ハシブトガラスは仕事は雑だが警戒心は強い。人やほかのカラスに貯食を目撃されるとすぐにエサを持って飛び去ってしまう。 
・(他の)カラスの目が気になるのか、エサはノドにある舌下嚢ぜっかのうと言う場所に詰め込んで運ばれることが多い。 
・都会では、ベランダの植木鉢の影、ビルの看板の裏、自然の中では樹木の幹に空いた穴や、河原の石の下など容易に見つからない秘密のポイントに食べ物をせっせと隠すのであった。(p40〜41より引用)






2015/08/26

柳の葉を舐めるセグロアシナガバチ♀



2015年7月中旬

湿地帯に生えた柳(樹種不詳)の灌木林でセグロアシナガバチPolistes jokahamae)のワーカー♀が飛び回っていました。
獲物を探索しながら、ときどき葉に止まると舐めています。
アブラムシの甘露が葉に付着しているのでしょうか?
(それとも柳の花外蜜腺?)

※ 夕暮れ時に撮った薄暗い映像に対して、自動色調補正を施してあります。


巣立ち雛に給餌するスズメ(野鳥)



2015年7月上旬

巣立ったばかりのスズメPasser montanus)の幼鳥が民家の板壁に並んでいます。
頬や喉の黒班が薄く、嘴の根本が黄色い※点がスズメの幼鳥の特徴です。
「嘴が黄色い」というと「若くて、まだ経験が少ない」を意味する慣用句になっています。(『新明解国語辞典』より)
成鳥になると頬や喉の黒班が濃くなります。



※ 雛鳥の大きく開けた口の角にある黄白色のこぶの模様は、親鳥が薄暗い巣の中で正しい位置に餌を与える目印として役立っているのだろう。(参考:『鳥はどこで眠るのか』p159)



親鳥が飛来すると、育ち盛りの幼鳥は持ち上げた羽根を細かく震わせながら餌をねだります。
このとき幼鳥は独特の鳴き声を発しているようですが、群れの鳴き声がチュンチュン♪うるさくて、聞き取れませんでした。


童謡「雀の学校」の歌詞に出てくるチーチーパッパ、チーパッパ♪の後半部「パッパ」の意味がようやく分かりました。

チィチィと鳴きながら翼をパッパッと開き、あるいは半開きの翼を小刻みに震わせて親鳥(先生)に餌をねだる。(『スズメ百態面白帳』p89より)
幼鳥の方から素早く駆け寄って催促する場合もあれば、じっと座っている幼鳥の所へ親鳥がホッピングで駆け寄って来る場合もありました。
親鳥は口移しで給餌してやります。
親鳥の嘴の端にあった白い粒が、給餌後は無くなっていました。
給餌メニューは穀物や種子のようです。

板塀に並んでいる幼鳥は同じ巣から産まれた兄弟姉妹なのかな?
近所の別な巣から巣立った幼鳥も混じっているのでしょうか?
『スズメ百態面白帳』p72によると、

♀が一回の繁殖で産む卵の個数、一腹卵数(クラッチサイズ)は、普通4〜6個(3個や8個の例もある)。
スズメの親鳥は我が子であるという血縁関係をどのように認識しているのですかね?
足輪を付けて個体識別できたら色々と面白いことが分かりそうです。

『スズメ百態面白帳』p90によれば、

何組かの親子が鉢合わせになると、(中略)明らかによその子と思われるものに給餌していることもある。この時期には出来るだけ口を大きく開いて催促した方が勝ちで、親鳥はわが子よその子に関係なく本能的にそのような口に餌を与えてしまうものらしい。
巣外給餌が済むと、親鳥は次の餌を探しに飛び立ちますが、幼鳥が後を追って板塀を離れることもありました。
給餌後にしばらく板塀に居残って鳴いたりのんびり休んだり羽繕いしたりする親鳥は、幼鳥の空腹度合いが満たされたと判断したのかもしれません。






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