2015/07/29

夜道で光るゲンジボタル♀の飛翔【暗視映像】



2015年6月中旬・夜23:27

夜中に水田地帯の農道で地面を歩いている蛍の光を見つけました。
初めは苔の上を歩いていたのですが※、赤外線の暗視カメラで動画に撮り始めるとスベリヒユと思われる雑草に登り始めました。
白色LEDを点灯しても強い発光が見えます。
草の天辺から飛び立とうと翅を広げるも、なぜか左の鞘翅が上手く開けないようです。
左翅をようやく開いても飛翔力が弱く、すぐに墜落してしまいます。
捕獲してみると大型のゲンジボタルLuciola cruciata)で、発光している腹部の体節が1節であることから♀と判明。

※ ゲンジボタル♀は湿った苔に産卵するらしい。
『カラー自然シリーズ46:ホタルのくらし』p12によると、

交尾したホタルの♀は、川岸に近い、日陰の苔などを探し当てて、その上に卵を産みます。
卵を産むのは夜ですが、薄暗いところでは、昼間のこともあります。
また、『科学のアルバム:ホタル 光のひみつ』p10によると、

交尾まではあまり飛ばなかった(ゲンジボタルの)♀は、このころ(産卵期)はさかんに飛びます。

ところで、もし蛍♀が発光している動画を生きた♂に見せたら、♂はフラッシュ発光で求愛してくれるのですかね?
(動画のプレイバック実験)



住居網を紡ぐネコハエトリ【蜘蛛:微速度撮影】



2015年6月中旬・室温24℃・湿度57%

ネコハエトリ♀(Carrhotus xanthogramma)を幼体から飼育しています。
(亜成体♀だと思うのですが、真面目にステージを検討していません。)
単調な飼育環境でなるべく退屈しないようにトイレットペーパーの芯を入れておくと、キャットタワーのように登り降りしたり隠れ家にもなります。
糸や食べかすで汚れたら使い捨てします。

飼育容器内を掃除したついでにトイレットペーパーの芯を交換すると、容器側面の隙間で新たに造網を始めました。
徘徊性クモに属するハエトリグモの場合、獲物を取る粘着性の罠ではなく、自分が隠れる住居網です。
トイレットペーパーの芯を容器の中央からわざとずらして壁面に近づけて置けば、狙った場所に造網させることができます。
ネコハエトリが住居網を張る様子をプラスチック容器越しに微速度撮影してみました。
30倍速の早回し映像をご覧下さい。
この日は昼間にハエを1匹平らげた後なので、糸の分泌量は充分あるはずです。

背景がトイレットペーパー芯の黄土色なので、クモが紡ぐ白い糸が見えにくいですね。
次回やるとしたら、予め黒く塗っておこうと思います。
ときどき休憩して身繕いしています。
住居網は中で方向転換が可能な大きさです。
途中で住居網の外に出て一回りすると住居網の下側から潜り込みました。
住居網はトンネル状で、どちらからでも出入りできます。

以下の写真は翌日に撮影。



【おまけの映像】


↑同じ素材で20倍速映像



↑10倍速映像
※ これだけ自動色調補正を施したら、容器越しのやや不鮮明な映像が改善されました。



2015/07/28

マイマイガ(蛾)幼虫が巣口に近づいても敬遠回避するムネアカオオアリ♀【暗視映像】



2015年6月中旬

この辺りでマイマイガLymantria dispar japonica)幼虫が大量発生しており、毛虫(ブランコケムシ)が何頭も徘徊しています。
ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)の巣に毛虫がたまたま近づいてしまったとき、巣口を守る門衛はどのような反応をするでしょうか?
もちろんマイマイガ幼虫は好蟻性昆虫ではありませんから、アリの巣に侵入しようとする意図は無く、単に食草や繭を紡ぐ場所を探し歩いているだけでしょう。

私の予想に反して意外にもムネアカオオアリの門衛は毛虫を積極的に(好戦的に)追い払おうとしませんでした。
ムネアカオオアリは日本最大のアリなのに、マイマイガ幼虫の長い毛に阻まれて、全く攻撃できません。
警戒しつつも毛虫が立ち去るのを待っているだけでした。
同様のシーンを昼も夜も何度か観察することが出来ました。
(後半は赤外線の暗視カメラで撮影。)
面白がって毛虫が巣口の近くを通るように誘導したことも何回かあります。
もし毛虫ではない昆虫が相手なら、巣口への接近を許さず激しく撃退したのかな?

もしかすると私が思っていたほどムネアカオオアリは好戦的ではなく、無駄な争いはなるべく避けるのかもしれません。

外役に出た夜勤ワーカーが毛虫に遭遇しても襲って狩るどころか触角で触れた途端に慌てて回避しました。
やはり力関係でマイマイガ幼虫の方がムネアカオオアリよりも強いようです。
つまり、アリはマイマイガ幼虫を捕食する天敵として期待できそうにありません。
逆に言うと、マイマイガ幼虫の毛はアリから身を守る機能を充分に果たしています。
スズメバチ用の防護服のように、もしアリに対する防護服を開発する必要に迫られた場合、毛虫の毛がヒントになるかもしれません。

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マイマイガ(蛾)幼虫の毛の防護効果:ムネアカオオアリ♀を撃退


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