2014/12/03

汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀


2014年8月下旬


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シロスジナガハナアブ♀の探索飛翔

私が山道で休んでいると、シロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛来しました。
やがて私のザックに降り立ち、汗の滲み込んだベルト部分を舐め始めました。
汗に含まれるミネラルを摂取(塩分補給)しているのでしょう。
左右の複眼が離れているので、性別は♀ですね。
それまで探索飛翔していたのは、汗の匂いに誘引されたようです。
近寄ってきたクロアリを嫌って飛び立ち、ホバリング(停空飛翔)を披露してくれました。
飛び回ると意外に重低音の羽音が鳴り響きます。
ザックのいつもほぼ同じ場所に着地します。
不思議なことに私の体や服には寄って来ず、汗ばんだ腕を差し出してもその手に乗りませんでした。
警戒しているのか、それとも新鮮な汗は惹き寄せる匂いが足りないのかな?(濃縮・熟成が必要?)【※追記を参照のこと】

このハナアブは見た目がアシナガバチやスズメバチにそっくり(ベイツ型擬態)なだけでなく、捕獲すると蜂のように刺す真似をする(行動擬態)そうです。
捕虫網が無いと採集できず今回も確かめられませんでした。
実は近くをキイロスズメバチが盛んに行き来しています。
擬態のモデルかもしれないキイロスズメバチとシロスジナガハナアブ♀は互いに没交渉でした。(追記2を参照)


【追記】
私は山中でも虫除けスプレーや制汗剤、香水などを使う習慣がありません。
ひとつ心当たりがあるのは、私が夏に使っている冷涼系ボディソープにメントール(ハッカ油の成分)が含まれていることです。
虫除け効果が知られているため、ハナアブも私の汗を直接摂取しに来るのは忌避したのかもしれません。


【追記2】
上田恵介・有田豊『黄色と黒はハチ模様:ハチに擬態する昆虫類』 (『擬態:だましあいの進化論〈1〉昆虫の擬態』p62-71に収録) によると、
”虻蜂取らず”はアブの戦略 
針を持たないのにハチの姿をまねている昆虫というと、まず双翅目のアブ類が挙げられる。(p62より引用) 
 ところで、モデル種であるハチ類は、自分とよく似たアブ類をどう見ているのであろう。自分と同じハチの仲間と見ているのか、それともいくら模様が似ていても、ハエと同じただの双翅目と認識しているのであろうか。これについて、コガタスズメバチVespa analisがスズキナガハナアブSpilomyia suzukiiを捕らえた報告がある。(p63より)


夜にミズナラの樹液を吸うエゾシモフリスズメ(蛾)の停空飛翔【暗視映像】



2014年8月中旬

夜の雑木林で(20:15〜20:34 pm)樹液が滲むミズナラの木の周りをエゾシモフリスズメMeganoton analis scribae)が激しく飛び回っています。
このために買った赤外線の暗視ビデオカメラが大活躍!
ホバリング(停空飛翔)しつつ長い口吻を伸ばして樹液を吸う自然な行動をじっくり撮影することができました。
一瞬だけ幹に止まったのは、脚が樹皮の割れ目に挟まったのでしょうか。
白色LEDの照明に切り変えた途端に、エゾシモフリスズメは驚いて逃げてしまいます。
大きく発達した複眼に光が反射して見えます。
翅の大きさや形が違う別種と思われるスズメガ(種名不詳)も来ていました。

前回の撮影では普通の懐中電灯に赤色のビニール袋を被せて光を和らげたりしてみたのですけど、それでもすぐに逃げられてしまいストレスが溜まりました。
夜間の自然な行動を記録するには撮り放題の赤外線カメラが一番です!
特に側面からのアングルは今までは絶対に撮らせてくれませんでした。

暗視映像はモノクロなので、蛾の種類を同定するには採集するかストロボを焚いて写真に撮るしかありません。
ストロボを焚く度に飛んでいたスズメガが強い閃光でショックを受け墜落して暴れます。
すぐに復活して飛び始めるのですけど、いつも申し訳ない気分になります。



2014/12/02

シロスジナガハナアブ♀の探索飛翔



2014年8月下旬

山道の休憩所にシロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛来しました。
見る度にアシナガバチにそっくりだと思います。
ベーツ型擬態の代表格ですね。
初めは地面で身繕いしていたのですが、休憩所の床やベンチなどを小刻みに飛び回り何かを探索しているようです。
この虻の行き先を追うと…。

▼つづく
汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀


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