2013/08/07

キアゲハ終齢幼虫の徘徊と前蛹の威嚇蠕動




2013年6月下旬・室温25℃

キアゲハの飼育記録6

3匹飼育しているキアゲハPapilio machaon)終齢幼虫のうち、個体aは食草オオハナウドの葉裏に帯糸を掛けて前蛹となりました。

(個体aの蛹化については後日、映像を公開予定。都合により、時系列順ではなく個体bの動向を先に紹介します。)
終齢幼虫bが蛹化する場所を探して徘徊する道中で、一足先に前蛹となった個体aに触れてしまいました。
しがみ付かれた前蛹aは激しく暴れて(左右に体を振って)振り落とそうとします。
幼虫bはロデオを乗りこなすように必死にしがみ付き、ようやく隣の葉に移動しました。

前蛹になると、もはや威嚇用の臭角は伸ばさないようです。(退化?)
2匹分の体重がかかったら帯蛹の絹糸が切れてしまうのではないかと心配したのですが、さすがの強度でした。
幼虫bが蛹化場所を決めて落ち着くまで、同じような兄弟喧嘩のシーンが何度も繰り返されました。

ちなみに、もう一匹の幼虫cはいつの間にか脱走して行方不明になりました。

つづく→「キアゲハ終齢幼虫bが前蛹になるまで【微速度撮影】


蜂に似たオオコシボソハナアブ♂の飛び立ち【ハイスピード動画】



2013年6月上旬

雑木林の薄暗い林床で蜂にそっくりの虻が葉に止まっていました。
調べてみると、ニトベナガハナアブ♂(Temnostoma nitobei)のようです。
ススバネナガハナアブ♂(Temnostoma fumosum)の可能性は?

ドロバチへのベーツ擬態が実に見事です。

いつもお世話になっている「一寸のハエにも五分の大和魂」掲示板にて問い合わせたところ、茨城@市毛さんより「Doros profuges オオコシボソハナアブの♂です」とご教示頂きました。
本州で♂は特に珍品なのだそうです。

物を投げつけて飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
更に1/5倍速のスローモーションでリプレイしても高速羽ばたきは捉えられてませんね。
撮れたのは1回だけで(虻蜂撮らず)、姿を見失いました。



2013/08/06

下痢便を排泄する蛹化間近のキアゲハ終齢幼虫



2013年6月下旬

キアゲハの飼育記録5

3匹いる飼育個体のうち、キアゲハPapilio machaon)終齢幼虫bが静止した状態で突然、泡立った水様便をボタボタと大量に排泄しました。
蛹化に備えて余分な水分を排出するお決まりの行動です(蛹化の前兆)。
食草由来の水分がこれほどの量で体内に蓄えられていたとは驚きです。
下に敷いておいた古新聞に下痢便が垂れています。
それまでに排便した通常の(固形の)糞も3個残っています。

つづく→「キアゲハ終齢幼虫の徘徊と前蛹の威嚇蠕動


(ちなみに、この個体bは寄生蜂に体内寄生されてたことが後に判明します。)


【追記】
このような排泄現象をガットパージと呼ぶそうです。
雑誌Newton 30(5) 2010.5 pp102~107に掲載された
『「変態」―昆虫が激変するしくみ:青虫は,どうやってチョウになるのか。いまなお謎が残る昆虫変態の不思議』によると、
完全変態昆虫では,どのように変態が進むのだろうか。まず幼虫の脳が成虫に向けてかじをきると,サナギに向けた準備が始まる。たとえば,腸の中身を出すために下痢をする(「ガットパージ」とよぶ)。腸の中に食物や便が残ると腐敗し,羽化する前に死んでしまうこともあるという。


『岩波生物学辞典 第4版』でガットパージを参照すると、

[英gut purge]

完全変態昆虫,特に鱗翅目の終齢幼虫が,前蛹になる前に消化管内の液性残存物を排出すること.幼虫から蛹への変態過程の初期におこる一連の行動の一つ.終齢幼虫の摂餌の完了後,消化管を空にして,蛹という閉鎖系に移る際内容物をもち込まないための生理的な準備と考えられる.行動の発現はホルモンにより制御され,これは蛹変態を誘導する内分泌現象と同一である.前胸腺から分泌されるエクジソンだけが作用するとガットパージをひきおこすが,エクジソン分泌前に幼若ホルモンを投与するとガットパージの時期は遅れる.通常この時期は,個体群レベルで()概日リズムをもち,一定の明暗周期下では,特定の短い時間帯に集中する.これは,前胸腺を刺激する脳のペプチドホルモンの分泌期が概日時計によって制御されていることと,前胸腺自身にも概日時計があってエクジソンの分泌時期を支配していることに起因する. 






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