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2016/12/31

網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)



2016年9月上旬
▼前回の記事
交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?


イヌタデを糸で綴った隠れ家に潜んでいるアカオニグモ♀♂(Araneus pinguis)が本当に食欲が無いのか確かめるために、近くで採集したアキアカネ♀(Sympetrum frequens)を給餌してみました。
なぜか昆虫の数がひどく少なくなっていて、捕虫網を持参しなかった私は生け捕りにするのに苦労しました。
(コオロギの幼虫、キタキチョウには逃げられました。)
もしかすると近くの水田で農薬散布された影響かもしれない、と疑ってしまいます。(未確認)




暴れすぎて網を壊したり逃げたりしないようにアキアカネ♀の前翅を半分毟り取っておきます。
垂直円網に付けた瞬間、トンボは擬死状態になり(死んだふり)、隠れ家のクモも無反応でした。
しばらくして網で獲物が暴れた途端に隠れ家からアカオニグモ♀が駆けつけました。
その一方で、近くに居たアカオニグモ♂は無反応でした。
交接前ガード中の♂はもう食欲が無いのでしょう。
先ほど試しに給餌してみたムラサキツメクサの花が未だ網に付着したままぶら下がっています。

アカオニグモ♀は必死に暴れる獲物に噛み付き、毒液を注入しました。
アカオニグモ♀の腹背は薄い黄色で(未だ赤くない)腹面の外雌器に垂体が残っているので、性的に未成熟な亜成体だろうと判明。
獲物が麻痺すると、未だ少し暴れるのも構わずにアカオニグモ♀は捕帯でラッピングを開始。
次に、網に付着したトンボの翅の周囲の糸を噛み切っています。
網のこしきを経由して、隠れ家に素早く獲物を持ち帰りました。
糸で吊り下げた獲物を引き上げ、捕食開始。
♀に食欲があるということは、脱皮するにはまだ早いということになります。

その間、アカオニグモ♂に全く動きはありませんでした。
♀が捕食中なら性的共食いのリスクを避けつつ♂は忍び寄って♀と交接するかな?と期待したのですが、♂は無反応でした。
♀が脱皮して成体になるまで♂は傍らでひたすら絶食・待機するのでしょう。

クモにずっと無視されていたムラサキツメクサの花はいつの間にか網から落ちていました。
自然に落ちたのか、それともクモが網から外して捨てたのか、見落としてしまいました。

※ 後半だけ(@4.13〜)動画編集時に自動色調補正を施しています。

ここまでが、アカオニグモ♀♂を見つけた初日の観察記録でした。

つづく



2016/12/28

交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?



2016年9月上旬・午後16:07〜16:09

▼前回の記事
アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード

造網性クモが花を食べるという再現性に乏しい奇妙な食性がずっと気になっていて、機会がある度に調べています。

▼まとめ記事(リンク集)
花を食べる造網性クモの謎
営巣地の近くに咲いていたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の花を採取してアカオニグモAraneus pinguis)の垂直円網に投げつけてみました。
1投目は花が網を素通りしてしまい、失敗です。
網が揺れたのに隠れ家に潜むクモは♀♂共に無反応でした。
(映像はここから)

2投目で花が網に付着しました。
それでも意外なことに、隠れ家(画面左のイヌタデ)のクモは♀♂共に無視したままです。

そこで花に振動を与えるために、音叉を鳴らして花や網に触れてみました。
この振動数(A-440Hz)は網にかかった昆虫が暴れる羽ばたきとほぼ同じらしく、クモを騙せることが知られています。
ところが繰り返しやっても今回のクモは無反応でした。
♀を交接前ガードしているだけの♂成体の食欲が無いのは当然というかよく分かります。
しかし、♀は色気より食い気なのが普通です。
つい先程、隠れ家の♀が歩脚の先で網から伸びる信号糸に触れていることを確認したばかりです。
網にかかった花や音叉の振動を気づいているはずなのに、無反応なのは不思議です。
食欲がなくても網にかかった異物を取り除くために隠れ家から出てきても良さそうなものです。
♀は脱皮前の眠なのかな?

後で思うと、もう少し小さな花を給餌していれば結果は変わっていたかもしれません。
巨大な虫が網にかかったのかと思い、アカオニグモはすっかり怖がってしまったのかな?
以前、造網性クモが食べてくれたアメリカセンダングサの花は未だ咲いていませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

しつこい私はそれでも懲りずに、生きた昆虫を網に給餌してみることにしました。


つづく→網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)





2016/12/26

キセルガイの徘徊と交尾行動?【10倍速映像】



2016年9月上旬・午後14:40〜15:13

峠道の法面を補強するコンクリートの土留でマルハナバチの営巣地を定点観察するついでにキセルガイの一種を見つけました。
道端の側溝に繁茂する下草をかき分けたら、3匹のキセルガイが壁面に付着していたのです。
コンクリートの石灰分を好むのでしょうか?
現場の標高は645mで、コンクリート壁面は北東を向いています。
直射日光と乾燥を嫌ったキセルガイが下に向かってゆっくり移動を始めたので、微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
愛機FZ300のジオラマモードで微速度撮影すると、チルトシフト効果でミニチュアの玩具のようなコミカルな動きになります。

3匹のうち、行動を共にしている2匹に注目しました。
個体bはaの細長い殻にしがみついていました。
aはbを背負ったまま左斜め下へ移動して行きます。
2匹分の重力がかかるために、cよりも移動速度が速いです。
abが這った軌跡には粘液で濡れた線が斜めに残りました。

後半は通常のHD動画に切り替えてリアルタイムの動きを記録してみます。(@2:07〜)
実際の動きも結構速いことがお分かり頂けるでしょう。
左斜め下に向かってひたすら移動を続けています。
この2匹は交尾中なのですかね?
キセルガイを観察するのがなにしろ初めてなので、その生態についてまるで疎いのです。
キセルガイの種類も見分けられませんが、2匹ともほぼ同サイズの成貝でした。
殻は左巻きです。
キセルガイもカタツムリと同様に雌雄同体らしいのですが、その交尾はヒダリマキマイマイ(蝸牛)の交尾と似ているのでしょうか? (※追記参照)
交尾中のカタツムリで見られるはずの恋矢やペニスは今回見ていません。(見逃した?)
微速度撮影よりも、キセルガイの接触部分を接写すべきでした。

互いに殻同士が引っかかって追い越せないだけのような気もしてきました。
おんぶしているように見えるときも、ヒッチハイクのように只乗りしているだけかもしれません。
2匹が同じ方向に進んでいるので、いつまで経っても離れません。
下の個体が壁面を離れ上の個体の殻を這い始めました。
2匹分の体重を支えつつ力強く移動。

最後は側溝の縁に達して落ち着きました。
適度な湿り気のある場所を好むのでしょう。

つづく→3匹目の動向

【参考ブログ】

キセルガイ
・みんな、あいしてる:キセルガイさんたちの結婚?

高尾山国有林巡視日誌(47)
・北のフィールドノート:エゾコギセル (キセルガイ)の交尾
・かたつむりが好き:今日の煙管貝



※【追記】
野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、
陸にすむキセルガイの仲間は、むしろ左巻きが多いという特徴があります。細長い殻をもつキセルガイの交尾は、平べったい殻をしたカタツムリの交尾とは異なり、お互いに向き合わず、同じ向きで交尾します。そのため、巻き方が異なっても交尾をするための構造上の問題が生じず、左巻きのものが増えていくという進化が比較的起こりやすいと考えられています。 (p57より引用)


雑草に覆われた側溝を見下ろす。奥がコンクリートの壁
除草すると壁面に3匹のキセルガイが現れた。
一円玉(直径20mm)を並べる

2016/12/25

アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード



2016年9月上旬

用水路近くの道端でアカオニグモAraneus pinguis)の垂直円網を見つけました。
昼間なのに造網済みで、網の作り主である♀はイヌタデの穂先を糸でゆるく綴り合わせた隠れ家(地上からの高さ70cm)に潜んでいました。
アカマンマとアカオニグモの組み合わせがちょっと面白く思いました。
よく見ると、♀は歩脚の先で信号糸に触れています。
網に獲物がかかればその振動をいち早く感知して駆けつけ、捕食するのです。

♀はおそらく最終脱皮前の亜成体なのでしょう。
♀のすぐ近くに小柄な♂も居ました。
♀♂ペアで居るアカオニグモを見たのは初めてです♪
♂の触肢がおそろしく複雑な形状に発達していることから、♂は成体であることが分かります。
この♂は、♀が脱皮して成体となり交接のチャンスが来るまでひたすら待っているのでしょう(交接前ガード)。
もしもう一匹のアカオニグモ♂が網に侵入したら、♂同士の争いが見られるはず。

定点観察に通って♀の脱皮からの求愛、交接を観察したいものです。
アカオニグモの交接は♀の網上で一瞬のうちに終わるらしいので、よほどの幸運に恵まれないと野外で観察するのは難しそうです。
オニグモ類を飼育するスキルが未だ私には無いので、採集して飼育に挑戦すべきかどうか悩みます…。


参考:『クモの親と子』p44〜57


『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p8によると

造網性クモ類では♂は成体になると、♀の網に寄生生活をするようになり、自分では餌をとれません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?



2016/12/17

コミスジ♀♂の交尾と連結飛翔



2016年9月上旬・午後15:50頃

山間部の道端に生えたアカソの群落で交尾中のコミスジNeptis sappho intermedia)の♀♂ペアを発見。
アカソはコミスジ幼虫の食草ではありませんが、葉に乗って翅を開閉しながら交尾しています。
互いに逆を向いて腹端の交尾器だけを連結しています。


『ヤマケイポケットガイド9:チョウ・ガ』p146によると、「(コミスジの)♀はやや大きく、翅が丸みをおびる」らしい。
ということは、今回の場合は右側の個体が♀ですかね?
1頭だけを見た時には、とても性別を見分けられる自信がありません。

翅裏を真横から見たくて、撮りながらアングル変更。
最後は広角に戻してからコミスジ♀♂に近づくと、連結したまま慌てて飛んで逃げました。
ところが途中で交尾器の連結が外れてしまい、別れてしまいました。
無粋なお邪魔虫でスマンスマン…。
次回は求愛シーンを観察してみたいものです。



2016/12/11

カラスアゲハ♀ vs ヒョウモンチョウの一種



2016年8月下旬
▼前回の記事
オトコエシを訪花するカラスアゲハ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

峠道沿いに咲いたオトコエシの群落でカラスアゲハ♀(Papilio bianor dehaanii)が花蜜を吸っていると、ヒョウモンチョウの一種が飛来し、カラスアゲハは逃げて行きました。
一瞬の出来事なので、1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
ハイスピード動画に撮っていればヒョウモンチョウの種類も見分けられたかもしれず、残念でした。

縄張り争いで気の強いヒョウモンチョウ(種名不詳)がカラスアゲハを蜜源から追い出したのでしょうか?
もしかするとメスグロヒョウモン♂による誤認求愛ではないか?という仮説を思いつきました。
メスグロヒョウモンの♀は黒っぽい翅をしているからです。


▼関連記事
求愛飛翔するメスグロヒョウモン♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
花の名前で酷い勘違いをしていました。
ヒヨドリバナからオトコエシに訂正します。


2016/12/10

求愛飛翔するメスグロヒョウモン♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2016年8月下旬

翅の色が異なる2頭のチョウが峠道で激しくもつれ合うように乱舞していました。
道を塞ぐアカマツの倒木が目障りですね…。

240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:39〜)
スローモーションで見て初めて、メスグロヒョウモンDamora sagana liane)の♀♂ペアによる求愛飛翔だと分かりました。
褐色の翅の♂は黒い翅の♀の背後に回りこみ、♀の真下をくぐるように飛んで追い越し、♀の目の前で急上昇する、という求愛行動をしつこく繰り返しています。
つまり、逃げ回る♀を中心として♂は縦に旋回しながら追尾しています。
♂の前翅表には3本の黒い縞模様があり、これは♂特有の発香鱗と言われています。
求愛飛翔で♂は♀に対して視覚的なシグナルを送ると同時に、この発香鱗からの性フェロモンを♀の目の前で振り撒いて嗅がせているのでしょう。
しかし♀が求愛に応じなかったため、♂は諦めて飛び去りました。

▼関連記事:2015年6月中旬
メスグロヒョウモン♀♂の求愛飛翔【HD動画&ハイスピード動画】





2016/10/23

モンキチョウ♀♂の群飛(求愛飛翔)



2016年7月中旬・午後13:56

小雨が降る昼下がり、川べりの土手の草地でモンキチョウ♀♂(Colias erate poliographus)が激しく乱舞していました。
計5頭?の♂が入れ替わり立ち代り♀に求愛しているようです。



【追記】
今回の♀は♂と共に上昇飛翔していませんが、渡辺守『モンキチョウの交尾行動』によると、
 一頭の♀に数頭の♂という飛翔の群れが形成されることもまれではありません。しかし、ほとんどの♂はしばらくして求愛飛翔をあきらめてしまい、♀はさらに高空へ、♂はつぎつぎと地上へ降下し、求愛の群れは解消するのです。 
 交尾を経験した♀がつぎの交尾を受け入れる場合、どの♂を選ぶかは求愛の熱心さによることがわかってきました。求愛に熱心な♂はたいてい若く、それは交尾時に大きな精包を注入できることを意味しています。年寄りの♂は大きな精包をつくることができませんので、体内の精包を吸収して、いずれは自らの栄養にしようとする♀の思惑からみると、どうせ交尾するなら大きな精包をもらったほうがよいに違いありません。 (『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇』p61〜62より引用)


【追記2】 

同じ筆者による専門書、渡辺守『チョウの生態「学」始末』によれば、

 交尾を経験したモンキチョウの♀が次の交尾を受け入れる場合、特に白翅型♀の場合、自分を巡っての求愛集団の中からどの♂を選ぶかは、最後まで諦めずに自分につきまとった♂であった。求愛集団における激しい飛翔は、その集団内に留まろうとする老齢の♂を振るい落とす役割ももっていたようである。最後まで求愛を行なうことのできた♂はたいてい若かった。若い♂は交尾時に大きな精包を注入でき、年寄りの♂は(少なくとも1回は交尾経験があるとしたら)大きな精包を作れない可能性が高い





2016/10/14

サトジガバチの交尾拒否?2016



2016年7月上旬

里山の峠道(標高〜400m地点)でジガバチの一種が交尾していました。
私が知らずに歩いていたら、蜂のカップルが驚いて道端に飛び退いたのです。

道端に堆積した枯葉(スギ)や枯れ草(ススキ?)の上で交尾を続けています。
体長を比べると♀>♂。
顔の白い♂は♀の背後からマウントしながら♀の首を咥えているように見えます。
腹部を互いに絡ませるものの、いつまで経っても交尾器を結合しないので、見ていてもどかしくなります。
♂が必死に交尾器を結合しようとしても、♀の腹端まで届かないのです。
ジガバチの交尾を見る度にいつもこの状態なのですけど、♀が♂を選り好みしたり交尾に非協力的で交尾拒否しているのでしょうか?
交尾器をしっかり連結した本当に交尾中のジガバチをなぜか今まで見たことがありません。
同種でない可能性もあるのかな?(生殖的隔離)

『狩蜂生態図鑑』p24によると、

サトジガバチの産卵に必要な交尾は1回だけで、一度交尾の済んだ♀にとって飛びかかってくる♂は邪魔なようで、中脚を上に伸ばして♂を防いでいる。



ジガバチ♀♂は途中から舗装路に出てきてくれました。
アリ(お邪魔虫)との遭遇を嫌ったのかもしれません?
歩き回る際の主導権はジガバチ♀が握っているようです。
マウントしたまま飛んで移動する様子は撮り損ねました。
タンデム飛翔は♀♂どちらが主導権を握っているのか、興味があります。
路上から再び道端の落ち葉の上へ移動しました。
アスファルトは熱いのかもしれません。
次は反対側の道端まで飛ぶと、ミズナラ幼木の葉表に移動しました。


▼関連記事
ジガバチの交尾拒否?2012年
ジガバチの交尾未遂
ミカドジガバチ?の交尾


交尾が成就するまで最後まで成り行きを見届けるべきか迷いましたが、♀♂ペアで入手できる機会は滅多にないので、採集を優先しました。
サトジガバチかヤマジガバチか、正確に同定するには標本を精査する必要があるのです。
ありあわせのビニール袋を一気に被せて一網打尽にしました。
袋内でしばらく暴れていたものの、ようやく♂が♀を手放しました。
ビニール袋はすぐに噛み破られるので、タッパーウェアに閉じ込めて持ち帰りました。

以下は標本写真。

しかし写真で記録するのが億劫で放置していたら、お恥ずかしいことにひどくカビが生えてしまいました。
我流の復旧措置として消毒用エタノールを染み込ませた綿棒で清浄してから接写しました。
まずは小柄で顔の白い♂の標本。


次は♀の標本です。



識別点である胸部の点刻や皺の状態を検討した結果、
採集地点は低山でしたが♀♂共にサトジガバチ(Ammophila sabulosa nipponica)だろうと判明しました。


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