2017年5月下旬
イチモンジチョウの飼育記録#7
眠から覚めたイチモンジチョウ(Limenitis camilla)の終齢幼虫が前蛹になるまでの様子は撮り損ねてしまいました。
タニウツギ小枝の下面に腹端を固定するための足場を絹糸で綴ってから脚を枝から離して腹端でぶら下がり、前蛹になりました。
当時の私は、この個体が絶対に体内寄生されているに違いないと思い込んでいて、あまり観察に身が入らなかったのです。
むしろ私の関心は、ヤドリバエや寄生蜂の幼虫がいつ寄主を食い破って出てくるか?という方にありました。
日付が変わってから、イチモンジチョウの前蛹が脱皮して蛹になる過程を微速度撮影で愚直に記録し始めました。
20倍速の早回し映像をご覧ください。
前蛹は自発的な蠕動運動を繰り返し、ときどき身を捩らせています。
蛹化の前兆が分からなかったのですが、次第にクチクラの裏に泡のような空気が入り、色が白っぽくなってきました。
新旧クチクラ層の間に隙間が作られつつあるのです。
つづく→#8:イチモンジチョウの蛹化【40倍速映像】
▼前回の記事
巣内で各々羽繕いするハシボソガラスの雛と高圧線から見守る親鳥(野鳥)
高圧線の鉄塔#19でのハシボソガラス営巣記録#12
2017年5月下旬
前回の観察から間隔が空いてしまいました。
8日ぶりに様子を見に行ってみると、雛の巣立ちを見逃してしまったようです。
雛が羽ばたき練習をあまりしなかったので、すっかり油断していました。
ハシボソガラス(Corvus corone)の巣はもぬけの殻でした。
他の用事を済ませてから再訪しても同じで、空巣のままでした。
鉄塔の周りをグルグル回りながら動画と写真で空巣を記録しました。
早朝に見に行ったので、東の空がやや朝焼けしています。
木の小枝を組み合わせて作った巣の崩壊が進んでいますね。
巣が前よりも明らかに小さく貧弱になって、形も崩れています。
風化しただけでは説明できそうにないので、おそらく巣立ち直前の雛鳥3羽が元気に暴れ回った結果、巣材がどんどん脱落してしまったのだろう、と想像しています。
今思うと、鉄塔の真下に巣材が散乱していないかどうか、確かめに行けばよかったですね。
さて、私が未練がましく空巣を撮りまくっている間、縄張り内で親鳥らしきハシボソガラスが電線で羽繕いしているのを見つけました。
おそらく横目で私の動きを監視しているのでしょう。
雛が巣立った後も親鳥はしばらく幼鳥を巣外給餌しているはずですが、幼鳥をどこかに匿っているのか居場所を突き止められませんでした。
次に気になる疑問としては、幼鳥の子育てが一段落したら親鳥の同じ番(つがい)が同じ営巣地で二度目の繁殖を始めるか?という点です。
近くを通りがかる度にこの高圧線鉄塔#19をチェックしたところ、その後も巣は再建されませんでした。
当地ではハシボソガラスの繁殖は年一回なのだろう、と分かりました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
シリーズ完
野鳥の育雛をじっくり定点観察できたのは初めてで、色々と勉強になりました。
ここは巣が高所とは言え丸見えの状態なので、バードウォッチングの初心者向けの教材ですね。
しかし撮り損ねてしまった習性が幾つかあり、心残りです。
こんな事もあろうかと、同時並行で別なカラスの巣も観察していますので、怒涛のカラス・シリーズはまだまだ続きます。
2017年5月中旬
イチモンジチョウの飼育記録#6
イチモンジチョウ(Limenitis camilla)終齢幼虫の食欲が無くなり、タニウツギの小枝をやたらと登り降りするようになりました。
枝先の蕾を調べても以前のように萼片を食べることは無く、引き返します。
相変わらず蠕動運動による前進のリズムがぎこちない点が気になりました。
体長は終齢でもおかしくないのですが、素人目には細くて痩せている印象です。
このギクシャクした独特な動きがてっきり異常な運動障害だと思いこんでいた当時の私は、体内寄生されていて栄養不足なのではないか?と気を揉みました。
この記事を書くための調べ物で最近知ったのですが、実は本種の幼虫に特有の動きなのだそうです。
(イチモンジチョウ)幼虫の歩き方はミスジチョウ類ともよく似ており、緩急のリズムを伴ったごくゆっくりしたものである。(保育社『原色日本蝶類生態図鑑(II)1983』p134-135より引用)
撮影直後(午後19:07)に測定した室温は26.8℃、湿度35%。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
その後はタニウツギ小枝の下面に静止しました。(下に掲載した写真参照)
上半身を丸めるような奇妙な姿勢ですが、蛹化前の眠に入ったのです。
つづく→#7→イチモンジチョウ前蛹:蛹化前の蠕動【20倍速映像】