2017年5月中旬
イチモンジチョウの飼育記録#6
イチモンジチョウ(Limenitis camilla)終齢幼虫の食欲が無くなり、タニウツギの小枝をやたらと登り降りするようになりました。
枝先の蕾を調べても以前のように萼片を食べることは無く、引き返します。
相変わらず蠕動運動による前進のリズムがぎこちない点が気になりました。
体長は終齢でもおかしくないのですが、素人目には細くて痩せている印象です。
このギクシャクした独特な動きがてっきり異常な運動障害だと思いこんでいた当時の私は、体内寄生されていて栄養不足なのではないか?と気を揉みました。
この記事を書くための調べ物で最近知ったのですが、実は本種の幼虫に特有の動きなのだそうです。
(イチモンジチョウ)幼虫の歩き方はミスジチョウ類ともよく似ており、緩急のリズムを伴ったごくゆっくりしたものである。(保育社『原色日本蝶類生態図鑑(II)1983』p134-135より引用)
撮影直後(午後19:07)に測定した室温は26.8℃、湿度35%。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
その後はタニウツギ小枝の下面に静止しました。(下に掲載した写真参照)
上半身を丸めるような奇妙な姿勢ですが、蛹化前の眠に入ったのです。
つづく→#7→イチモンジチョウ前蛹:蛹化前の蠕動【20倍速映像】
▼前回の記事
巣内で相互羽繕いするハシボソガラスの雛(野鳥)
高圧線の鉄塔#19でのハシボソガラス営巣記録#11
2017年5月下旬・午前11:51~12:13
ハシボソガラス(Corvus corone)親鳥の1羽が給餌後に鉄塔の天辺から伸びる高圧線の定位置に止まり、縄張りを監視しています。
下の巣では3羽の幼鳥が身動きしています。
しばらくすると親鳥が高圧線から飛び立ち、餌を取りに出かけました。
親鳥の帰りを待つ間、巣内の雛は各々がのんびり羽繕いしています。
私がアングルを変えながら巣をしつこく撮っていたら、いつの間にか親鳥が1羽戻って来て、鉄塔のすぐ横の高圧線から油断なく見張っていました。
この日はなぜか雛が羽ばたきの練習をする行動は一度も撮れませんでした。
これが巣立ち前の雛を見た最後の映像になります。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
実際の空はもっとどんよりしていたのですが、カラスのコントラストを上げるために補正しました。
つづく→#12:ハシボソガラスの雛が巣立った後の空巣(野鳥)
2017年5月中旬
河川敷にそびえ立つキリ(桐)の高木の花を橋の上から更に観察すると、交尾中のツマジロカメムシ♀♂(Menida violacea)を見つけました。
咲いた花の根元の茶色の萼に乗って静止しています。
体長に性差がありました。
大きい左の個体が♀なのかな?
口元がよく見えませんが、おそらく♀は吸汁しているのでしょう。
互いに逆向きで交尾しながら、結合部を上下に何度も繰り返して動かしています。
♀がしつこい♂から逃れるために交尾器を外そうと躍起になっているのか、それとも♀が口吻をキリの萼に突き刺すためにグリグリと力を込めて前傾姿勢になっているのかもしれません。
以前観察した、木苺の実に取り付いていたツマジロカメムシは、果実に突き立てた口吻を抜き差ししたり体をグリグリと激しく動かしたりしながら吸汁していました。
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クマイチゴの果実を吸汁するツマジロカメムシ
♀が動くせいで持ち上げられそうになっている右の♂が後脚をばたつかせていて滑稽でした。
やがて♀♂ペアは落ち着きました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
ツマジロカメムシは普通種ですけど、私はいつもスコットカメムシと迷います。
スコットカメムシは、体長1センチメートル前後の、キリやヤマハンノキなどのさまざまな樹木で見つかる山地性のカメムシ (藤崎憲治『カメムシはなぜ群れる?』より引用。『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』p100より)
しっかり同定するために交尾ペアの近くに居た別の個体を一匹採集しました。
橋の欄干から手を伸ばせばキリの樹幹に手が届くという、観察には理想的な環境なのです。
捕獲したら臭気を発しました。
以下は採集した標本の写真。