2017/01/10

繭作りのため地中に潜るウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】




▼前回の記事
脚が退化したウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の歩行の秘密


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#12


2016年9月中旬

調べてみるとウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の終齢幼虫は地中に潜って繭を紡ぐのだそうです。
外は雨が降っていたので、軒下から乾いた土を採取してきました。
大き目の砂粒をピンセットで取り除きましたが、土を細かくふるいにかけるべきでした。
直径35mmのプラスチックの皿に土を入れ、その上に幼虫を乗せてみました。
微速度撮影で記録したので、60倍速の早回し映像をご覧下さい。

幼虫はシャーレ側面の円周に沿って徘徊すると、縁から地中に潜り込み始めました。
入れた土の量が浅過ぎたのか、幼虫はすぐに地表に出てきてしまいました。
あまり土を深くすると営繭を撮影できなくなりそうで、量を加減したのです。
容器の外に這い出そうとした幼虫をもう一度地表に戻してみます。

仰向けの状態から起き上がるかと思いきや、横向きの状態で何か作業をしています。
土粒を次々に絹糸で綴って、営繭の足場となる塊を作っているのかもしれません。
自分の体の周囲に土塊の土手を作っています。
排泄した下痢便または口から吐き戻した水分で土を濡らして塊にしている可能性は?

少しずつ前進して容器の縁に達すると、また地面を掘り始めました。
画角から外れないように容器を少し動かすと幼虫は擬死(死んだふり)します。
背脈管(昆虫の心臓)の拍動が見えますね。
しばらくすると警戒を解いて活動を再開。



【おまけの動画】
同じ素材で早送り速度を落とした10倍速映像(これがオリジナル)をブログ限定で公開しておきます。

つづく→#13:地中で繭を紡ぐウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】







2017/01/09

ニラの花蜜を吸うミドリヒョウモン♂



2016年9月下旬

道端に咲いたニラの群落でミドリヒョウモン♂(Argynnis paphia)が訪花していました。
風が吹いて花が揺れ、非常に撮り難い条件でした。





脚が退化したウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の歩行の秘密




▼前回の記事
ウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫が営繭前に下痢便を排泄


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#11


2016年9月中旬

いよいよウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の終齢幼虫が営繭場所を探索するワンダリング(徘徊)を始めました。
一緒に飼っているイラガ幼虫のワンダリングに比べると移動速度が遅い印象です。
ミズナラ(食樹植物)の枝を差していたペットボトルの口まで降りて来てウロウロした挙句、自発的に落ちました。

繭作りを観察しやすいように、蚕の繭棚を模したミニシャーレに幼虫を閉じ込めてみました。
糸を紡ぐ足場として細長い紙を丸めて中に終齢幼虫を入れます。
これはヒメクモバチの飼育で上手くいった方法です。

透明なプラスチック容器の蓋越しに、徘徊中の幼虫の腹面の蠕動運動を接写することができました。
本で読んだ通り、確かに腹脚は完全に退化しています。
腹面全体を波打たせるように蠕動して、ナメクジのように前進します。
名著『わたしの研究:イラガのマユのなぞ』p57によると、

イラガの幼虫には、あるくための足がありません(とくに、腹の足は、ほとんどみえません。胸の足は、すこしあとがのこっています)。どうしてあるくかというと、ちょうどナメクジがはうように、からだをうしろからまえへ、波のようにうごかしてすすみます。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

どうやらウスムラサキイラガ終齢幼虫はこの場所が気に入らなかったようです。
繭を作り始めるどころか、紙を丸めた足場用の小部屋を引きずって歩き回り、隙間からの脱出を試みています。
営繭前に消耗しそうで心配になり、この方法は中止しました。


つづく→#12:繭作りのため地中に潜るウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】



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