2014/10/21

翔べ!モズ♂【ハイスピード動画】




2014年7月中旬

農地脇の電線にモズ♂(Lanius bucephalus)が停まっていました。
長い尾羽根を上下させながら下の草地(畑?)を見下ろしています。
獲物を探しているのでしょう。
電線の上空を飛ぶ昆虫には目もくれません。
逆光で翼の色がよく見えないので、冒頭部(@〜0:12)のみ動画編集時に自動色調補正を施してあります。
鋭く尖った上嘴は下向きに湾曲しています。
顎の下に嘴毛が生え揃っていることが分かります。

モズの長いヒゲも空中動物の捕獲に役だっているといえよう。(『モズの話:よみもの動物記』p18より)

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮影を続けました。(@0:12〜)
やがて電線で軽く飛び上がりながら向きを変えました。
最後に再び電線で軽快にジャンプし向きを変えてから飛び去りました。
隣の墓地まで少し飛ぶと、鉄柱の天辺に止まりました。
しばらく辺りを見回してから飛び立ちました。

飛翔時には翼を開閉するので、そのたびにこの白色斑が点滅して注意をひくことになる。(『モズの話:よみもの動物記』p19より)
この白斑は♂だけにあります。

今回の観察中に百舌鳥は鳴き声を全く発しませんでした。


【追記】
『モズの話:よみもの動物記』p119によると、
モズが止り木から次の止り木へ、短距離飛翔をする場合には、モズ特有の飛翔法がみられる。直線的にまっすぐに飛翔するのではなく、飛びおりるように急降下してスタートし地面すれすれに飛んで、次の止り木近くで急上昇するのである。(中略)モズは頭部がやや大きいので、翼を閉じて落下するように下降する方が、えものに襲いかかるにしても、次の止り木に向うにしてもスピードを増すのに有効なのかもしれない。
モズ特有の短距離飛翔法をいつか引きの絵で動画に記録してみたいものです。
行き先(次の止り木)を予測できていないと引きの絵の画角が決められないので、難しいところです。



ミズナラの樹液を占有するチャイロスズメバチ♀



2014年8月上旬

里山の雑木林でミズナラの樹液酒場にチャイロスズメバチVespa dybowskii)のワーカー♀が群がっていました。
この時間帯で樹液に来ていた昆虫の中では、チャイロスズメバチが最強のようでした。
幹のあちこちで樹液が滲む中でもこのスポットが一等地のようで、同じ巣のメンバーでずっと占拠しています。
樹液を吸汁しながら、群がるクロアリを追い払ったり身繕いしたりしています。
初めは孤軍奮闘ですが、途中から2匹目、3匹目の援軍が駆けつけました。
樹液で満腹した蜂が帰巣するのと入れ替わるように別個体がやって来ます。



2014/10/20

ミズナラの樹液で争うムナビロオオキスイ



2014年8月上旬

▼前回の記事 
ミズナラの樹液を吸うムナビロオオキスイ

里山の雑木林でミズナラの幹から滲み出る樹液にムナビロオオキスイHelota fulviventris)が群がって吸汁していました。
食事の合間に興味深い闘争行動が観察できました。

撮り初めは二匹だったのですが、左からもう1匹のムナビロオオキスイが歩いて来て酒宴に加わろうとしました。
先客の腹端を背後から頭突きして追い払いました。
「後ろから襲うとは卑怯なり!」と怒ったかどうか分かりませんが、相手に反撃されても負けません。
敗者はすごすごと左手の樹皮の下に退散しました。
顔だけ出して向き直り、樹液酒場の順番を待つようです。
樹液スポットに残った2匹は正面から頭突きをし合って小競り合いしています。
頭突きというよりも、正確には鋭い大顎で噛み付こうとぶつけ合っているのかもしれません。
なんとか2匹で場所取りの折り合いがついたようです。

映像の後半は捲れた樹皮(シェルター、隠れ家)を巡る喧嘩のシーンをまとめてみました。
『樹液に集まる昆虫ハンドブック』で近縁種ヨツボシオオキスイの解説文(p53)によれば、次の習性があるそうです。

樹皮の隙間に好んでもぐりこもうとするが、そのような場所のない木では、樹皮の窪みに貼りつくように止まっている。
私が接写していると、樹皮の下に隠れようとした個体が先客と小競り合いになりました。
隠れ家から先客を追い出すこともありました。

個体識別のマーキングを施してじっくり観察してみれば、力関係の序列が分かるかもしれません。
ムナビロオオキスイの性別を見分けられたら、闘争の勝率と性別との関連を知りたいものです。
交尾相手の♀をめぐって♂同士が戦っても良さそうなものですけど、私が少し見ていた限りでは、争いの種は食料(樹液)と住居(樹皮下の隠れ家)だけでした。
近縁種ヨツボシオオキスイの性別判定を解説したtakao_bwさんのブログ記事を見つけたのですけど、ムナビロオオキスイの雌雄判定はまた違うみたいです。



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