2016/11/30

ヒマワリの花で採餌するクロマルハナバチ♀



2016年8月下旬

平地の畑の端に咲いたヒマワリ(向日葵)の群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
この組み合わせは意外にも初見でした。
花から花へ飛び回る蜂の体中が橙色の花粉にまみれています。
台風の影響で倒伏したヒマワリの株もちらほらありますが、どの花もほぼ東を向いていました。



2016/11/29

ゴイサギ幼鳥が群れる池の夜明け

2016年8月中旬

ゴイサギNycticorax nycticorax)は本当に夜行性なのかこの目で確かめようと、定点観察している溜池で深夜から朝まで徹夜の観察をしてみました。
ちなみに、この日は月齢16.3の満月が夜通し照らしていて、月の入り時刻は午前5:31。
日の出時刻は午前4:57。

我々ヒトの肉眼はなかなか暗視性能に優れていて、深夜の月明かりだけでも水鳥のシルエットは充分に見えます。
しかし、普通のカメラでは暗過ぎて闇しか写りません。
ストロボを焚いて写真に撮っても光が届かなそうですし、鳥がたちまち驚いて逃げてしまいそうな気がしたので、使いたくありません。
暗視カメラの赤外線投光機も非力で広い池では届かず、使い物になりません。
仕方がないので夜が明けるまでは池の畔にじっと座り込み、とにかく観察に専念しました。
蒸し暑い夜で、藪蚊の襲来に悩まされました。

溜池の北西より忍び寄ってみて分かったのは、夜でも水鳥の群れに近づくのは至難の業でした。
同じ池を集団塒としているカルガモAnas zonorhyncha)の警戒心がとにかく強く、すぐに私に気づくと大騒ぎして次々に飛び去ってしまいました。
新月の晩に忍者のような黒い服を着て行くべきかもしれません。
あるいは日中からブラインドを張って隠れ、夜の水鳥を待ち構えるしかなさそうです。




そのまま私がひたすらじっとしていると、逃げたゴイサギがときどき戻って来て、溜池の上空を偵察飛行しました。
池の畔に座っている私の姿を認めると、旋回してまた飛び去ってしまいます。
わざわざ私の様子を見に来て、その正体や危険性を確かめようとしているようです。
満月を背景にに飛ぶゴイサギのシルエットはとてもフォトジェニックでした。
これだけでも動画に撮りたかったです。

夜間、飛翔中に「クワッ」とカラスのような大きな声で鳴くことから「ヨガラス(夜烏)」と呼ぶ地方がある。昼も夜も周回飛翔をして、水辺の茂みに潜む。(wikipediaより)

夜も自由自在に飛べるゴイサギは、いわゆる鳥目(夜盲症)ではないことは明らかです。
ゴイサギの目に夜行性を実現するための解剖学的な秘密が隠されているのでしょうか?
ネット検索すると、やはりゴイサギはタペータム(輝板)を持っているようです。(参考ブログ:Backyard Biology)

徐々に水鳥が池に戻って来て、私から離れた池の中央または対岸近くに集まり始めました。
長時間粘って池を見張ってみたところ、本で読んだようなゴイサギの漁り火漁はここでは行われていませんでした。
この池には、水面を照らし魚が集まるような強い照明が無いのです。
そもそも池の状態に問題がありそうです。
雨が少ないせいか溜池の水位がかなり下がり、ほとんど泥沼の状態でした。
かなりドブ臭く、お世辞にも水質が良いとは言えません。
ここに集結する多数の水鳥(カルガモ、ゴイサギ、アオサギ、チュウサギなど)を養えるほど多数の餌や獲物(魚など)がこの池に生息するとはとても思えません。
水鳥がこの池に集まる理由が不思議でなりませんが、餌場というよりも比較的安全な集団塒として利用しているだけかもしれません。

午前2:40、明け方の撮影に備えて私は池の畔を東岸に移動しました。
すると池の水鳥は警戒して一羽残らず飛び去ってしまいました。
その間に柳の大木の下にブラインドを張って隠れました。(詳細は記事を改めて書きます。)
しばらくすると、逃げた水鳥が日の出前に続々と池に戻って来てくれました。
勇敢な初めの一羽が着水すると、それを見た後続の水鳥が安心して次々に飛来します。




動画の撮影時刻は午前4:34〜5:40。
ちなみに、この日の公式な日の出時刻は午前4:57、月の入り時刻は午前5:31。

ようやく夜が明けてきて水鳥が見分けられるほど明るくなると、未だかつて無いくらい多数のゴイサギ幼鳥を一度に観察することが出来ました。
初めて使ってみたブラインドの効果は抜群です。
昼間の定点観察で見ていたゴイサギの群れは氷山の一角でした。
優占種はゴイサギで、他にはアオサギ、チュウサギ、カルガモが居ました。
以前この池で営巣していたヨシゴイの姿は見当たりません。
ゴイサギの群れは幼鳥ばかりで、成鳥は一羽も居ないことが判明しました。
繁殖期を終えたゴイサギ成鳥は幼鳥を残して一足早く暖かい地域に渡りをするのですかね?
ゴイサギは留鳥とされていますが、寒い地域では冬に暖かい地域へ移動するらしい。

池の中を少し歩き回るゴイサギ幼鳥もいるものの、ほとんどの個体が呆然と佇んでいるだけです。
ゴイサギ幼鳥同士の小競り合いがときどき勃発します。
これだけ数が多いと、どの個体を撮るべきか目移りしてしまいます。
ゲッゲッ、ガッガッガッなどの鳴き声が聞こえますけど、どの鳥が鳴いているかよく分かりません。

後半になると水鳥の数がどんどん減っていくのは、池からどんどん飛び立って行くからです。
朝になって集団塒からの自然な離塒なのか、それとも私の存在に気づいて逃げて行ったのか、不明です。
苦しい体勢での長時間撮影に堪りかねて私がブラインドの陰で立ち上がったりしたからです。

つづく→池に飛来し、飛び去るゴイサギ幼鳥








帰巣時に迷子になったクロマルハナバチ♀



クロマルハナバチの巣:定点観察#3



▼前回の記事
クロマルハナバチ♀の定位飛行【ハイスピード動画】

2016年6月上旬・午後15:10〜15:50

巣穴に出入りするクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀をハンディカムでも動画に撮りました。
プレレコーディング機能をONにしておいて、帰巣する羽音が聞こえたら撮影開始すれば、その10秒前から記録してくれるので無駄に長撮りする必要もなく便利です。
後脚に白い花粉荷を付けて巣に持ち帰る個体や、空荷で帰巣する個体がいます。

興味深いのは、ラストシーンで帰巣時に迷子になる個体がいたことです。
外役に出るのが初めてでも出巣の際に定位飛行して巣穴の位置や周囲の環境を記憶したはずなのに、巣穴とは違う左の排水口の辺りをウロウロと飛び回っていました。
それでもなんとか無事に帰巣しました。
空荷なので、おそらく採餌経験の浅い未熟な(日齢の若い)ワーカーだと思います。

迷子になった原因は幾つか考えられます。
まず第一に、ハイスピード動画を撮るために私が巣穴の前に三脚を立てたので、蜂が定位飛行したときと比べて巣穴周辺の景色が激変したのかもしれません。
第二に問題となるのは、この営巣地が非常に人工的な繰り返し構造になっていることです。
このコロニーは峠道の法面を補強する土留のコンクリート壁面に開けられた排水口の一つに営巣しています。
同サイズ(直径7cm)の排水口が横に1m間隔で30m以上も並んでいます。
コンクリート壁の両端は別として、上下に2個ずつ排水口が並んでいます。
つまり非常に人工的で無機質な繰り返し構造の環境なのです。
これでは蜂も覚え難いのは当然です。
下の側溝から生える雑草であるとか、排水口に詰まった土から生えるコケや草とか、上から垂れ下がっている茎などの微妙な植生の差異を目印にして蜂は巣穴を記憶しているのでしょう。
一方、私は目印のビニールテープを貼った上に、「左から3番めの排水口(上下に穴は並んでいない)」というように、座標の概念で覚えるようにしました。
このような人工的な繰り返し構造の営巣地では、創設女王が迷子になって二巣並行営巣を始めてしまう例をこれまでスズメバチ科で観察しています。
しかし、今回のクロマルハナバチのコロニーは一つの排水口だけで営巣していました。
営巣初期の様子を見逃してしまったのが残念です。

つづく→#4:クロマルハナバチの巣穴に侵入するクロスズメバチ♀の謎【HD動画&ハイスピード動画】


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