2015年6月中旬
平地の生垣に挟まれ、きれいに草刈りされた小径でメスグロヒョウモン(Damora sagana liane)の♀♂ペアが目まぐるしく飛び回っていました。
求愛の乱舞を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。
本種は翅の色が著しい性的二形なので、求愛行動を観察する上で非常に助かります。(♀が名前の通り黒っぽい青色、♂が茶色)
♀は不規則な動きでひたすら逃げ回っているように見えます。
わざと複雑な飛び方をして♂の力を試しているのかな?
♀を追尾する♂の飛び方に何か規則性はあるでしょうか?
♂は♀の下を飛んで翅表を見せたがっている気がしました。
♂は♀にぶつかる勢いで飛んで行くこともありました。
逆になるべく地面に近いところを低く飛ぶのが♀の交尾拒否(焦らし?)なのかもしれません。
メスグロヒョウモンの求愛飛翔に関する文献は見つけられませんでしたが、分類学的に近縁なミドリヒョウモンについて『エソロジカル・エッセイ 無名のものたちの世界I』p93「雄をよぶ色とにおい:チョウが雌を見い出す仕組み」によれば、
♀を見つけたミドリヒョウモンの♂は、特殊な追跡飛翔をはじめる。♀のうしろからその下側に出て、さらに目の前を急上昇するのである。これが♀を強制着陸させる信号となる。
これを読む限り、今回観察したメスグロヒョウモン♂の追跡飛翔もたぶん同じだと思います。
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メスグロヒョウモン♀に求愛するミドリヒョウモン♂(異種間求愛と交尾拒否行動)
交尾まで見届けたかったのに、雑草が深く生い茂った方へ飛び去ってしまい残念。
2015年6月中旬
道端に咲いたサラサウツギ(=ヤエウツギ)の灌木で様々な昆虫が訪花していました。
それを狙ってコガタスズメバチ♀(Vespa analis insuralis)が飛び回っています。
恐ろしいスズメバチが飛来すると、おそらくその羽音に反応して、他のハナバチ類が慌てて逃げ出します。※
運良く狩りの瞬間を撮影することができました。
逃げ遅れて餌食となったのはセイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀でした。
茂みの奥で獲物を噛みほぐして肉団子を作り始めました。
その途中で獲物を咥えたまま飛び去ってしまいました。(帰巣?)
飛び立つ瞬間を1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみたら、コガタスズメバチと判明。
先程の同一個体が狩りの成功に味をしめて戻って来たのか、ウツギの花の手前で見事なホバリング(停空飛翔)を披露してくれました。
※ 録音したスズメバチの羽音を花の近くでスピーカーから流し続けると、ハナバチ類がその花に近寄らなくなるでしょうか?(プレイバック実験)
2015年6月中旬
堤防に咲いたウツギの群落でモンシロチョウ(Pieris rapae)が訪花していました。
一つの花から長時間吸蜜しています。
風が少し吹いても花にしがみついています。
ようやく自発的に飛び立ったと思ったら、スズメバチ(種名不詳)が獲物を物色しに飛来しました。
モンシロチョウはしばらく辺りを飛んでやり過ごすと、近くの別の花に着陸しました。
この日はウツギの花粉がほとんど残っていませんでした。
ハナバチがせっせと集粉するので午後になると花粉がほとんど無くなるのか、それとも花期が終わりに近いのかもしれません。
今年は雨が降ったりしてタイミングが合わず、定点観察にあまり通えませんでした…。