2015/06/05

キジ♂(野鳥)とハシボソガラスは仲が悪い?



2015年5月下旬

ケンケーン♪というキジ♂(Phasianus versicolor)の縄張り宣言が聞こえたので辺りを探すと案の定、水田の奥の農道(住宅地との境界)にキジ♂を見つけました。

キジ♂が地上採食を始めると、左手からハシボソガラスCorvus corone)が歩いて登場しました。(@0:24)
頭を下げているキジの背後から忍び寄りました。

悪戯好きのカラスがキジの長い尾羽を後ろから嘴で咥えて引っ張ったりするんじゃないかと内心期待しました。
キジ♂のすぐ近くでカラスが激しく鳴き始めたのですが、遠くて聞こえません。(@0:35)
これも一種のモビング(擬攻撃)なのかな?
キジが食べている物を横取りしようと嫌がらせでもして追い立ててるのでしょうか?
それとも「俺様がそこを通るからどけ!」と鳴き騒いでいるのでしょうか?
カラスは野次馬根性が旺盛で、清々しいほど性格が悪いですね。
そんなカラスを無視してキジは動じなかったので、諦めた?カラスはキジの横を通って奥の茂みに姿を消しました。
二種の力関係はどうなっているのか、この映像から読み取るのは難しいですね。(引き分けかな?)

冷静に考え直すと、どうも私は「カラスのモビング」という先入観に囚われ過ぎているかもしれません。
カラスが顔馴染みのキジに挨拶している友好的な交流の可能性だってありますね。

しばらくすると、キジは農道を歩き始めました。(@1:00)
地上採食する後ろ姿を撮るも、その後は進展がありませんでした。
撮影中に母衣打ち(縄張り宣言)をもう一度してくれないかな?と淡い期待をしたものの、鳴いてくれませんでした。

※ YouTubeの動画編集時に手ブレ補正するついでに自動色調補正を施してあります。



2015/06/04

ノシメマダラメイガ(蛾)の求愛ダンスと交尾



2015年5月中旬・室温25℃


▼前回の記事
ノシメマダラメイガ♀(蛾)の性フェロモン放出:コーリング


ノシメマダラメイガの飼育記録#3


飼育容器(直径8cm、高さ8cmの円筒形)の壁面に止まりコーリング姿勢で性フェロモンを放出しているノシメマダラメイガ♀(Plodia interpunctella)に対して、2〜3頭の♂が交互に熱烈な求愛を行っています。
激しく羽ばたきながら♀の周囲を歩き回るのが求愛ダンスのようです。
交尾を試みるもなかなか結合できないでいます。
歩いて逃げる♀はコーリング姿勢を続けているので交尾拒否はしていないように思うのですが、私にはこの点よく分かりませんでした。
(♀がコーリングしていた腹部を下ろしてしまうのが交尾拒否なのかもしれませんが、すぐにコーリングを再開するのが「♂を焦らしている」としか理解できません。)
やがて♂のしつこい求愛が実り、遂に交尾に成功しました。(@1:45〜1:53)
♂は激しく羽ばたきながら♀に後ろから歩いて接近すると正面に回り込み、腹部を海老反りのように前方に強く曲げて、同様にコーリングしている♀と交尾器を結合しました。
カップルは互いに逆向きになり(反向姿勢)、容器の底で交尾しています。
求愛が成就した♂はもう羽ばたきを止めました。
今回♀の翅色は薄い褐色(個体変異?)で、一方♂はよく見るタイプの翅色でした。
たまたま翅色で交尾ペアの性別を区別できるのは好都合です。※


ペアの動きが無くなり落ち着いたところで横の温度計をチェックすると、時刻は23:09、室温24.8℃、湿度50%でした。

お邪魔虫の別個体(ライバル♂による交尾干渉?)が近づくのを嫌って、交尾ペアが歩いて少し移動しました。
連結したままの移動は♀が主導権を握っているようです。
そのまま壁面に登ろうとして、交尾器が外れてしまいました。
♀はもうコーリングしません。(しばらくしたらコーリングを再開)
コーリングするのは未交尾の♀だけらしいので、あの短い交尾時間では充分に精子が与えられなかったのでしょう。

鱗翅目(チョウ・ガの仲間)で求愛から交尾に至る一部始終を観察したのはこれが初めてかもしれません。



【追記】
おそろしいことに気づきました。
この♀はノシメマダラメイガではなく別種である可能性があります。

たまに翅の色が薄い個体が混じってるな…と思いつつ、ろくに調べないで捕獲した蛾を片端から飼育容器に追加投入していました。

桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、

日本にはスジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガとノシメマダラメイガの4種が分布しているが、(中略)同じ倉庫で混棲して見つかることも多い。4種のうち、はじめの3種は互いに茶色から灰色を基調とした地味な色調で、形態もよく似ており、素人に区別はむずかしい。 (p116より引用)


マダラメイガ類4種は異種間で誘引し合い(♀の性フェロモンも同じ化学構造)、時に交尾を行うらしい。
今回の観察で交尾器の結合が安定せず、すぐに外れてしまったのは異種間の交尾を妨げる解剖学的な性的隔離の結果かもしれません。
参考:


桑原保正. "メイガ科昆虫の性フェロモンに関する研究." (1971). PDFファイル


【参考文献】(要旨だけでも参考になりました)
Grant, G. G., and U. E. Brady. "Courtship behavior of phycitid moths. I. Comparison of Plodia interpunctella and Cadra cautella and role of male scent glands." Canadian Journal of Zoology 53.6 (1975): 813-826.
要旨を訳してみました。(古い研究なので、現在の知見とは異なる可能性があります。)
ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)とスジマダラメイガ(Cadra cautella)の求愛を実験室のペトリ皿で観察した。雌雄間で交互に起こる一連の行動反応は、両性からの触覚、視覚およびフェロモン刺激によって解発される。求愛の連鎖は♂が♀の背後から接近する場合は種特異的であるが、♂が♀の正面から接近する場合は2種ともよく似ている。求愛で最も重要な特徴は両種とも、♀の受容姿勢(翅の間で腹部を持ち上げて♀が静止)である。それが♂の交尾行動を解発し、交尾を促進する。求愛中、ノシメマダラメイガ♂は前翅の基部にある翅腺(しぐま註:wing glandの正式な訳語は?)から性フェロモンを放出する。♀の触角あるいはフェロモン分泌腺を含む♂の前翅を完全に除去することにより、♂のフェロモンが♀に静止を保たせ受容姿勢にすることが証明できた。♂のフェロモンが無ければ、♂が求愛しても♀は活発に拒絶し、交尾しない。(後略)
再び桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、
4種のマダラメイガは同じ化合物を性フェロモンとすることがわかった。これら4種は同じ場所で、同じ時期に重なって発生する、いわゆる同所種である。(中略)頻度は低いものの相手を間違った異種間での交尾も観察できる。(中略)異種間での結婚では、産みつけられた卵は未受精のままで孵化せず、遺伝的な種の隔離機構は厳然と存在する。(p146-148より引用)

今回の飼育観察で、ノシメマダラメイガ♂の前翅基部にあるらしいwing glandからのフェロモン放出についてはよく分かりませんでした。
求愛ダンス中の激しい羽ばたきをハイスピード動画に撮れば何か分かるかな?
また、ノシメマダラメイガ♀のコーリング/受容姿勢とモンシロチョウ♀の交尾拒否姿勢が同じ姿勢(腹部を高々と持ち上げる)なのに正反対の意味であることが興味深く思いました。

つづく→#4:交尾中のノシメマダラメイガ♀♂(蛾:結合部のアップ)



キマダラハナバチの一種がタニウツギの花から離陸に失敗【ハイスピード動画】



2013年5月下旬

カラフルな体色の蜂が山麓のタニウツギを正当訪花していました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
花筒に潜り込んで吸蜜しています。
ところが外に出て来ると、花弁から滑落しました!
空中で体勢を立て直して飛び去ったかもしれませんが、その様子は写ってません。

他のハナバチ類の巣に労働寄生するミツバチ科キマダラハナバチ属の一種(Nomada sp.)ですね。




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