2011/01/24

オオハエトリ(蜘蛛)交接後の殺害事件



2009年7月中旬

交接を観察したオオハエトリMarpissa milleri)の♀♂ペアをそのまま同居させていたら、次の晩に♀aが仰向け状態で死んでいるのに気づき、仰天しました。
死骸は再生肢の左第一脚の他に左第二歩脚が新たに欠損しており、切り落とされた歩脚が近くに落ちていました。
死骸の腹面を拡大して見ても、外雌器に交接プラグらしい構造は残されていませんでした。
容疑者の♂は何食わぬ顔で♀aの住居網で休んでいました。
前夜、ここで交接している二匹を見たばかりです。

殺しの現場は目撃していないので推理するしかありません。
前日の交接直後から♀aがしつこく♂を追い回すようになったので、追い詰められた♂が正当防衛で歩脚L2を噛み切った結果、クモ毒が体に回って死んだのでしょう。
♀が勝っていれば躊躇無く♂を捕食したかもしれませんが、死骸に共食いの形跡はありませんでした。
与えた蛾を捕食している♂をこの日の朝に見ているので、♂は空腹だったとは考え難いです。
交尾後の♂は黙って♀に食われた方が子孫を残す上では有利と思われるのに(性的共食い)、正当防衛とは言え♀を殺してしまうとは意外でした。
この結末は全く予想外でした。
体格差があるのでむしろ交接後に♀が♂を共食いする可能性を恐れていました。
しかし小柄な♂の方が機敏に動くし、容器内に十分逃げ場があるようなので大丈夫だろうと高を括っていました。
以前飼ったネコハエトリのペアは長期間同居させても求愛・交接を繰り返すだけで互いに攻撃性は示しませんでした。
反省として、オオハエトリの場合は交接が済んだら直ちに♂♀を隔離すべきでした。

※ 「少し怪我した歩脚を♀が自切した可能性もある」と闇クモ画像掲示板でご指摘頂きました。 

≪追記≫
情事のもつれからカッとなって殺した…?
 
『無名のものたちの世界II』 思索社 p93(哺乳類の性行動に関する章)より引用
♂は攻撃行動と似た求愛行動をし、その行動に、なだめの行動もはいりこんでいる。(中略)求愛に攻撃的なディスプレーがたいてい見られ、それがある条件下では許容されないと、ときには本格的な攻撃となって♀を殺すことが起こることもある。



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