2010年8月上旬
軒下で営巣しているキアシナガバチ(Polistes rothneyi)の巣S9を定点観察していたら、育房内で一匹の老熟幼虫が口から絹糸を吐いて繭を紡いでいることに気づきました。
キアシナガバチで結繭を観察するのは初めてです。
撮影開始時は無印のワーカー2匹が在巣。
一匹は複眼が黒く、日齢の若い(羽化したばかりの)個体です。
ときどき成虫が育房を点検して回りますが、当然繭を紡いでいる幼虫とは栄養交換を行いません。
白い絹糸で次第に幼虫の姿が見えなくなってきました。
それでも少し引きの絵にするとキャップ内の動きが透けて見えます。
繭キャップの中央部は盛り上がっています。
幼虫の腹端は育房壁に固定されているはずですが、育房内で顔の向きを変えられるのだろうか。
途中で創設女王(水色で標識)やワーカー(黄色)も登場しました。
いつの間にか隣の巣10から移動したらしい※。
※ この女王は創設初期から軒下で2巣並行営巣しているのです。この興味深い現象については追って報告します。予想以上に結繭作業の進行が早く、少し目を離したらあっという間に繭キャップが完成しました。
本当は軒下に三脚を立てて長時間の連続動画を撮り、結繭の早回し映像を作りたかったのですが、うまく足場を確保できず手持ちカメラでのしんどい接写を余儀なくされました。
アシナガバチは繭を紡いでから1〜2日後に育室底に脱糞して、ようやく前蛹となるそうです。(『日本の昆虫3:フタモンアシナガバチ』p36より)
在巣のワーカーを刺激しないよう、巣盤を接写する際はカメラの黒いボディを白いメッシュで覆ってみました。
(アシナガバチは黒を嫌うらしい。)
心なしか蜂が警戒姿勢を取らなくなった気がします。
2巣の距離は約30cm |
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