2008年6月下旬
峠道の路肩に白骨化した野生動物の死骸を発見。
なぜか片足一本しか残っていません。(※追記参照)
若干の腐臭が漂います。
イノシシとは蹄が違いますし、この辺りで鹿(ニホンジカ)は見たことがないので、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)だろうと推理しました。
残った体毛もカモシカっぽい。
蹄の形状から右足でしょうか(二本の蹄が左右で長さが異なり外側が長い※)。
※左右逆に推理していたのを訂正しました。
【参考書】『動物の足跡学入門:形とつき方から推理する』 熊谷さとし
解剖学の知識があれば、前脚なのか後脚なのかも分かるのでしょう。
カモシカの写真と見比べた結果、素人目には後脚のような気がします。
有名な死体掃除屋であるクロボシヒラタシデムシ(Oiceoptoma nigropunctatum)が集まっていました。
地面が舗装されていなければ埋葬していたと思われます。
交尾中のペアもいました。
マウントしているものの、交尾器を結合してないので厳密には「交尾中」ではないかもしれません。
※ 【追記】
死骸の後ろ足が一本しか見つからなかったという現場の状況がミステリアスで気になっていました。
宮崎学、小原真史『森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然』という本を読んでいたら、どうやら冬に死んだカモシカがスカベンジャー(自然界の死体処理班)に食べられる過程でこうなったのだろうと推理できました。
気温の低い冬は、死体が鮮度のいい状態が続くから、死体を食べる野鳥や動物たちは、ひとつの死体に一斉に集まってきます。(中略)落ちついて食べたい動物たちは皆肉片を持ち去ろうとしますが、自分より大きな死体を運ぶことはできないので、死体を前足とか後ろ足などのパーツにわけて骨つきのまま持ち去ったりするわけです。クマタカやイヌワシ、カケスやカラスなどもチャンスがあれば食べに来ますから、小さな嘴で突いた穴を起点に動物たちがパーツ分けをすることもあります。この繰り返しで現場から死体の痕跡がほとんどなくなるわけです。(中略)ということは、死体の状態から逆算して死んだ季節も分かるということでしょうか。はい、死体を処理する生物たちがはっきりと分かれる夏と冬は推理がしやすいですね。春や秋などの中間的な季節の死体も、そのときどきの気温や湿度などで処理に当たる生物の出番が微妙に変化しています。シーズン毎にちゃんと分解に適した生物たちが登場するので1年中死体処理は粛々と行なわれていきます。 (p152-153より引用)
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