2011/02/13

キアシナガバチの巣を冷やす扇風行動




2010年8月上旬

軒下に営巣したキアシナガバチPolistes rothneyi)の定点観察。
巣S9(育房数59室、繭12個)にて、一匹で留守番していたワーカー(無印)が育房を点検して回り、身繕いしながら激しく羽ばたき始めました。
気温35℃。
『日本の昆虫3:フタモンアシナガバチ』(文一総合出版・p67)によると、巣温がおよそ35℃を超えるとハチは扇風を始めるらしい。


前年は冷夏で見られませんでしたが、育房の過熱を防ぎ蜂の子を守るための扇風行動です。
やはり夏はこうでなくては。
成虫が育房を点検した際に幼虫・蛹が何か暑さを訴える信号を送っているのだろうか。
それとも成虫の触角に温度センサーがあるのだろうか。
一頻り内役を済ませたワーカーはやがて巣から外出しました。

不思議なことに、約30cm離れた隣のサテライト巣S10(育房数37室、繭11個)上のハチはなぜか扇風行動を示しませんでした。
35℃という気温は未だ成虫に100%扇風行動を引き起こすほど高くはないのでしょう。


更に気温が上がるとアシナガバチは外で飲んできた水を巣に吐き戻しながら扇風し、気化熱で積極的に冷やすのだそうです。
そこまで切羽詰った温度管理は未だ実際に観察したことがないので、来期以降の課題です。


同じ日の巣の様子↓。
軒下に隣接する並行営巣の二巣。
二巣の距離は約30cm。
W1桃@S10

巣S9(育房数59室、繭12個)
巣S10(育房数37室、繭11個)
Q水+W?@S10


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