2023/12/29

雨の朝に幼獣4頭を次々に運んで隣の巣穴へ引っ越すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午前4:57・(@0:00〜)日の出時刻は4:26。 
雨が降る早朝に、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣の首筋を咥えて運び、手前の巣穴Lへと入りました。 
次に手前の巣穴Lから空荷で出て来ると、まっしぐらに巣穴Rへ向かいました。 
正面から見ても自然光下では左右の目の大きさが黒い過眼線に隠れて見えませんが、後頭部(首筋)に白斑がある♀個体でした。 

アナグマ関連の本で予習していたので、母親♀が幼獣を連れていずれ引っ越しすることは知っていました。
しかし、雨天決行したことに驚きました。 
巣穴Rの巣材(寝床、敷き藁)が雨で濡れて住心地が悪くなったから、急遽、引っ越しするのでしょうか? 
悪天候の方が天敵に見つかりにくいのかな? 
引越し先がすぐ隣の巣穴だったことも意外でした。
前日に巣材を巣穴Rに搬入した行動と辻褄が合わない気がするのですけど、一体何だったのでしょうか?

これで分かったことは、 
  • アナグマ♀は巣穴R(産室)で出産していたこと。 
  • 巣穴RとLの居住区は中で繋がっておらず、独立しているらしいということです。 


シーン2:5/15・午前4:59・(@0:25〜) 
再び♀が次の幼獣(2匹目)を運んで巣穴RからLへと引っ越しました。 
母親に運ばれている間、首筋を咥えられた幼獣は身動きしないでおとなしくしています。 
(鳴き声も聞き取れません。)
空荷で出巣Lした♀が身震いして毛皮の水気を切ってから入巣R。 


シーン3:5/15・午前5:01・(@0:54〜) 
今回は、♀が3匹目の幼獣を咥えて巣口Rから出てくる様子がしっかり撮れていました! 
空荷で♀が巣穴Rへ戻ります。 


シーン4:5/15・午前5:03・(@1:22〜) 
4匹目の幼獣を同様に運びます。 
幼獣の首筋を咥えて運んでいる様子がはっきり撮れました。 
空荷で出巣Lした♀が巣穴Rへ戻る途中で身震いし、雨で濡れた毛皮の水気を切りました。 

次に巣穴Rから出てきた♀は空荷でした。 
巣穴Rの産室に幼獣が残っていないことを確認してきたようです。 
途中で身震いしてから入巣Lしました。 
これで家族の引っ越しは完了です! 
計4頭の幼獣を巣穴Rの産室から新しい巣穴Lに運びました。 
(幼獣運搬を撮り損ねた回があったかもしれません。)


アナグマの産仔数をGoogle Scholarで調べていて見つけた文献の全文PDFが無料公開されていたので、ありがたくダウンロードさせてもらいました。 
田中浩. (2002). ニホンアナグマの生態と社会システム. 山口大学博士論文.
まだ全部は読めていませんが、一腹産子数の平均は、2.3±0.8頭とのことでした。 
私が観察している♀は4頭(以上)産んだので、多産の部類に入るようです。
餌の豊富な生息環境なのでしょう。

アナグマ – おもしろ哺乳動物大百科 83 食肉目 イタチ科 というサイトによれば、
ニホンアナグマの交尾期は4月から8月で、受精卵は翌年の2月ころまで着床遅延し、出産期は2~5月です。産子数は1~3頭、オスの子どもは生後24ヶ月齢まで成長を続けますが、メスの成長は早く1歳で親と同じ大きさになります。性成熟はオスで約2歳、メスは1歳で性成熟し着床遅延をはさんで2歳から出産が始まります。ニホンアナグマのメスの子どもは母親と一緒に生後14ヶ月齢迄しかいませんが、オスは生後約26ヶ月齢まで一緒にいます。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


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