2023/05/06

スギ山林で遭遇したニホンカモシカを追う(対峙警戒、鼻息威嚇♪、逃走)

 

2022年10月中旬・午後14:20頃・くもり 

里山でつづら折れの山道を私が下山していると、前方にニホンカモシカCapricornis crispus)を発見。 
この山道はあまり整備されていなくて一般の登山者には不人気ですが、静かに歩けば野生のカモシカとよく遭遇するのでお気に入りのルートです。
関連記事(2ヶ月前の撮影)▶ 幼獣を伴い鼻息威嚇♪しながら夏の山道を駆け下りるニホンカモシカ♀
スギ林の斜面で立ち止まったカモシカが、振り返ってこちらを見上げていました。 
私も動きをピタッと止めて静かに動画を撮っているだけなので、視力の悪いカモシカは警戒しているものの、私の存在をはっきりと認識していないようです。 
ニホンカモシカの顔にズームインしても、角や耳に個体識別できそうな特徴はありませんでした。 
やがてカモシカはゆっくりと斜面を下り始めました。 
外性器が見えず、性別を見分けられません。

私も静かに追いかけます。 
カモシカはスギ林の木の陰に隠れていました。 まさに「頭隠して胴体隠さず」。 
警戒を解くと、斜面をゆっくりとトラバースし、藪の陰に隠れてしまいました。 
林床のスギ落枝がカモシカに踏まれてパキパキ♪と折れる音が響きます。 
(逆に、山中でパキパキ♪する音が聞こえたら、動物が歩いている証拠なので要注意です。)

撮影アングルを求めて私が更に横へ移動したら、カモシカが立ち止まってこちらを見上げていました。 遂に気づかれてしまったようです。 
私の体臭を嗅ぎ取ったのかな?
「フシュ、フシュ♪」と鼻息を荒らげて威嚇し始めました。 
それでも私が動じないでいると、逃げ出しました。 
しかし短距離を走っただけで一旦立ち止まり、再び鼻息威嚇♪しながら逃走。 
冬山なら足跡を辿って更に追跡できるのですが、非積雪期では一期一会です。

今回は出会った時点で私の方が高所に居たので、終始カモシカは弱気でした。 
(高所に居るカモシカはもっと自信満々で強気です) 

ニホンカモシカは日本固有種ですが、地方によって体色が違います。 
我が東北地方(雪国)のカモシカの毛皮は白っぽい(灰色)のに対して、西日本の個体の動画や写真を見ると明らかに黒っぽいので驚きます。 
これはまさにグロージャーの法則に当てはまっています。
鳥類・哺乳類において,一般に同じないし近縁の種において,乾燥・冷涼な気候下で生活するものは,湿潤・温暖な気候下で生活するものよりも,メラニン色素が少なく明るい色彩を呈すること.様相に若干の差はあるが,昆虫類にもよく似たような傾向が見られる.しかし広く動物界を見ると,低温が黒化をもたらす傾向などもあって,この規則に添わない場合も多い.典拠は不明.(『岩波生物学辞典第4版』より引用)
寒冷な雪国では黒っぽい毛皮を身にまとった方が太陽熱を吸収して温かそうですけど、それよりも雪景色に対して保護色になるために白っぽく適応進化したのだろうと私は考えています。 
カモシカの体色は地味で目立ちませんが、私もカモシカ観察にだいぶ慣れてきたので、山中で遠くのカモシカを目ざとく見つけられるようになりました。 
ニホンオオカミが絶滅して以来、カモシカを狩る有力な捕食者はヒト(猟師、ハンター)です。 
捕食圧が強まれば、ノウサギのように季節によって毛が生え変わる(夏毛と冬毛)ようにカモシカも進化するかもしれません。
鼻面中央の黄色はカモシカの斑紋ではなく、手前に造網したジョロウグモがピンぼけに写っているだけ。

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