2023年12月下旬
シーン0:12/22・午後13:12・くもり(@0:00〜)
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。
平地のスギ防風林で画面の奥に向かって根こそぎ倒れたスギの根元に掘られた謎の巣穴をトレイルカメラで見張っています。
画面のほぼ中央にぽっかり開いているのが、問題の巣穴bです。
丸木橋のように見える水平の倒木で遮られて見えませんが、その下をくぐったすぐ左奥に、ニホンイタチ(Mustela itatsi)が越冬する「根曲がり巣穴a」があります。
巣穴bもイタチの越冬用巣穴ではないかと予想していたのですが、ホンドテン(Martes melampus melampus)の登場シーンをまとめました。
シーン1:12/23・午後20:01(@0:03〜)
晩に雪が降ってます。
現れたのは、イタチよりも大型なテンでした。
初めは巣口bを覗き込んでいたのですが、手前に向かって新雪を軽快にラッセルしながら出てきました。
赤外線の暗視映像(モノクロ)でテンの冬毛は真っ白に見えます。
てっきり巣穴bから外に出てきたのかと初めは思いましたが、周囲に残ったラッセル跡を冷静に読み解くと違いました。
奥のけもの道から来て水平倒木の下をくぐり、巣口bを点検してから手前に来たようです。
シーン2:12/23・午後21:12(@0:16〜)
1時間10分後、小雪がちらつく晩に、巣口bで獣が動いています。
手前に積もった雪が邪魔で、残念ながら巣口bがよく見えません。
その後は、右上にピョンと跳び上がって姿を消しました。
今回もイタチではなくテンでした。
シーン3:12/24・午前2:15(@0:36〜)
日付が変わった深夜、雪がほぼ降り止んでいました。
手前の深雪に足跡が新しく付いています。
巣口bから再び右上にピョンと跳び上がり、立ち去りました。
手前の獣道から来て、巣口bを点検してから通り過ぎたようです。
シーン4:12/24・午前2:52(@0:45〜)
37分後、水平倒木の手前の雪面を右から左に横切りました。
新雪にテンの足跡が残ります。
シーン5:12/24・午前2:57(@0:52〜)
4分後に、倒木の右下からテンが顔を覗かせていました。
これまでとは逆の経路で登場したようです。
監視カメラに気づいて警戒したのか、その場で不格好に方向転換してから右上に立ち去りました。
ところがしばらくすると、再びテンが戻って来ました。
巣口bに飛び降りたものの、巣内には入らずに新雪をかき分けながら手前に向かってきます。
シーン6:12/27・午前10:58・晴れ(@1:16〜)
3日後の昼間には、積もった雪がだいぶ溶けていました。
積雪に埋もれかけていた巣口bが、前よりもよく見えるようになりました。
【考察】
個体識別できていませんが、とりあえず同一個体のホンドテンが何度も来ているということにします。
謎の巣穴bが気になって、繰り返し訪れて様子をうかがっているようです。
トレイルカメラを警戒しているのか、「穴があったら入りたい」というほど積極的ではありません。
ホンドテンが巣穴bに入る決定的瞬間の映像が撮れないことには、そこに住んでいると確証がもてません。
もしかすると越冬用巣穴bの乗っ取りが目的なのではなく、野ネズミなど穴居性の獲物を探しているのかもしれません。
並んで風倒した2本のスギ倒木の根元に掘られた2つの巣穴a、bが何m離れているのか、真面目に計測すべきなのですが、巣口の近くまで私が近づいたことを示す足跡や匂いを残したくありません。
巣穴の主である野生動物が警戒して二度と近寄らなくなってしまうのでは、元も子もありません。
無人センサーカメラでの動画撮影を最優先にして、巣穴から少し離れた地点に機材を設置しただけです。
野生動物は水平倒木を丸木橋のように渡るのではないかと予想していたのですが、ホンドテンはその下をくぐり抜けただけでした。
つづく→
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