2015/07/24

交差点で車にクルミを割らせようとするハシボソガラス(野鳥)



2015年6月中旬

カラスのクルミ割り行動はこれまで何度も観察していますが、今回はかなり興味深いです。
この辺りのカラスにはクルミを車に踏ませて割る知恵(文化)は未だ無いようで、上空から舗装路に投げ落として割る自力本願の行動ばかりでした。
しかし遂に、車道にクルミを置いて確実に車に踏み潰させる行動が発達しつつあるかもしれません。

郊外の路上でハシボソガラスCorvus corone)がクルミの実を足で踏みつけ、嘴に咥えました。
そのまま飛び立つと交差点の歩行者用信号の上に止まりました。
向き直ってからクルミをポトリと路上(交差点)に落としました。
ちょうど赤信号で停車中です。
直後にカラスも飛び降りたのですが、車の陰で見えなくなりました。
もし停車中の車のタイヤの直前にクルミを置いたら発進時に確実に割らせることができて、凄い進歩です。
カラスの姿を見失ってしまったのは残念無念。
やがて信号が青になり、軽自動車が発進しました。

辺りを探すと、歩道の奥の空き地に例のカラスを見つけました。
おそらく交差点に落としたクルミが転がってしまったのでしょう。
縁石の死角でよく見えないのですけど、クルミの実を啄んでいるようです。
やがてクルミの実を咥えて飛び立ち、交差点に戻ると電柱の2番目に高い電線に止まりました。
下の交差点を見下ろしながらクルミを離し、ポトリと落としました。
車を当てにしない従来の割り方では、一番高い電線の高さ(またはそれ以上)から投げ落としていました。
今回はそれよりも低く、高さ(衝撃の強さ)よりも落とす狙いの確実性を選んだようです。


なかなか車が来ないので、カラスは電線に止まったまま待機しています。
電線でカーかー♪鳴き始めたのでズームイン。
(お辞儀しながら鳴くのはハシボソガラスの特徴です。)
遠くて鳴き声は聞き取れないものの、電線上で向きを変えながらひたすら鳴き続けています。
期待通りに車が来ないというフラストレーションの現れでしょうか?
近くにいる別個体と鳴き交わしているのかもしれません。
最後はようやく電線から飛び立つも、なぜか路上のクルミを取りに行かず近くの木の枝に止まりました。
クルミ割りを諦めたのか、それとも落としたクルミのことを忘れてしまったのかな?
すぐ近くにオニグルミの大木があり、カラスはこの樹の下から実を採取してくるのでしょう。
どうも交差点で車にクルミを割らせる技が未だ不完全なようです。
これから試行錯誤で学習してくれるかな?
撮影アングルを研究してこの交差点で張り込みをしたら、成功例の映像をものにできるかもしれません。

▼【関連動画】


イギリス国営放送(BBC)制作による鳥類学のドキュメンタリー番組の中で、仙台のカラスが車にクルミを割らせる賢い行動をいち早く紹介して世界を驚愕させた公式映像です。
交差点の信号や横断歩道の概念を理解している知能が凄いです。
アッテンボロー卿の格調高いナレーションでお届けします。
あまりにも有名な動画ですけど、未見の方は是非ご覧ください!


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