2023年11月下旬・午前11:25頃・くもり
遅い初雪が数日前に降ったばかりの里山で山道を登っていたら、落ち葉の上に真っ白な蝶が止まっていました。
よく見るとウラギンシジミ(Curetis acuta paracuta)でした。
閉じた翅を横に寝かせて翅裏を見せています。
翅裏が白く(銀色に)目立つので、天敵の捕食者に対して保護色の効果は全くありません。
曇天ですから、日光浴ではありません。
本種は成虫で越冬することが知られているのですが、実際に冬に見たのは初めてで感激しました。
動画を撮りながら落ち葉ごとそっと拾い上げると、ウラギンシジミは葉裏にぶら下がる姿勢になりました。
落ち葉を裏返しても、ウラギンシジミは飛んで逃げるどころ全く動きません。
私の体感では別に寒くなかったので、変温動物のウラギンシジミが低温で動けなくなっていただけ、という可能性はないと考えてしまいました。
今思うと、登山中で私の体温が上がっていただけかもしれません。
横着しないで現場の気温を測るべきでしたね。
落ち葉の表側はまだ緑色で、葉の形状から樹種はおそらくマンサクだと思います。
マンサクの中でも東北地方の日本海側に分布する変種マルバマンサクかもしれませんが、葉に虫食い穴が多くて私には自信をもって見分けられませんでした。
ウラギンシジミ幼虫の食草はマメ科の植物らしく、マンサクとは関係ありません。
周囲は雑木とスギの混交林です。
マンサクの葉がまだ枝についていたときにウラギンシジミが越冬のために葉裏の葉脈(中肋)に止まり、そのまま一緒に落葉したのだろうと推測しました。
この個体は、落葉樹の葉裏という不適切な越冬場所を選んでしまったようです。
ウラギンシジミの性別を判定するには翅表の斑紋を見る必要があるのですが、無理に触れてみて越冬前に体力を無駄に消耗させるのも気の毒だと思って自重しました。
撮影後は落ち葉ごとその場に放置しましたが、根雪が積もる前に一度休眠から目覚めて安全な越冬場所に移動しないと、深い雪に埋もれて凍死・圧死してしまうでしょう。
山道を更に少し登ると、遅い初雪が日陰にちらほらと残っていました。
昔に読んだ本『葉の裏で冬を生きぬくチョウ: ウラギンシジミ10年の観察 (わたしの研究 6)』がとても面白かったのを覚えています。
私も実際に冬越しの様子を定点観察してみたいのですが、当地(北国、雪国)では滅多に見られない種類のチョウです。
・典型的な暖地性のチョウで、日本では本州以南に分布。
・成虫で越冬し、春先にも見られることがある[5]。 (wikipedia:ウラギンシジミより引用)
これから地球温暖化が進行すると、ウラギンシジミの生息域が北進して当地でも数多く見られるようになると予想されます。
私が子供の頃は、ウラギンシジミは憧れの蝶で一度も見た記憶がありません。
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