ニホンアナグマが営巣する平地の二次林を探索していたら、林床にミツバアケビ果実の断片が散乱していました。
野生動物が果肉を食べた後の食べ残し(食痕)のようです。
苦い果皮はちぎられただけで、甘い果肉および種子はほとんど食べられていました。
どこか近くの藪に生えたミツバアケビの蔓から熟した果実だけをもぎ取って運び、食べ残し(残渣)を捨てて行ったのでしょう。
トレイルカメラで長期間監視したおかげで、この二次林には様々な哺乳類が生息していることが分かっています。
その中で果実食をする者として、ホンドテン(Martes melampus melampus)、ハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)、ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)などの仕業と予想されます。
テンが排泄した糞の中にアケビの種子が未消化のまま残されているのを山中で観察したことがあります。
関連記事(1年前の撮影)▶ ホンドテンの糞に含まれるアケビ種子のエライオソームに群がるクロオオアリ♀【種子散布と共生関係】
ニホンザルがアケビを食べたらしい傍証(食痕)は次の動画に示されています。
関連記事(約2週間前の撮影)▶ 路上でクリの落果を拾い食いするニホンザルの群れ
タヌキやアナグマが残した溜め糞の中にミツバアケビの種子が未消化のまま排泄されるかどうか、糞内容物を調べる必要がありそうです。
本格的な糞分析をしていませんが、糞塊を目視した限りでは、これまでアケビの種子を見たことはありません。
(もちろん、素人が見落としている可能性も高いです。)
アケビ果実の断片に犯人の歯型や唾液が残っていそうなので、DNAを解析すれば誰が食べたのか法医学的に突き止めることができるかもしれません。
スナップ写真をじっくり見直すと、微小なアリ(種名不詳)がアケビ果実の断片に群がっていました。
わずかに残ったアケビの種子に付属するエライオソームを目当てにアリが集まっていたのでしょう。
フラッシュを焚いてアリの写真をマクロレンズでしっかり接写するべきでした。
枝葉が鬱蒼と茂った林内は昼間でも非常に薄暗くて、肉眼ではアリの存在に全く気づかず、通りすがりにスナップ写真を撮っただけです。
アケビは甘い液果を報酬にして野生動物に食べられ、糞と一緒に排泄された種子が遠くに撒かれる、という種子散布の戦略をとっています。(被食型の動物散布)
糞に含まれるアケビの種子にはエライオソームが付属しているので、これを目当てにアリが1粒ずつ巣に運び、さらに種子の分布を広げます。(アリ散布)
アリはエライオソームだけを取り外して食べ、種子はゴミ捨て場に捨てるのだそうです。
アケビの実が熟す前からトレイルカメラで監視して、野生動物が採食する決定的瞬間を証拠映像に撮れたら最高です。
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・牧野富太郎『アケビ』
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