2023/09/05

キジ♂が雪原を闊歩しながら初鳴き♪(冬の野鳥)ぐぜり?警報鳴き?

 

2023年2月下旬・午後14:25頃・晴れ 

雪で埋もれた郊外の畑からケッケッケ…♪という鳴き声がします。 
鳴き声の主はキジ♂(Phasianus versicolor)でした。 
辺りをキョロキョロ見回しながら雪原をゆっくり歩き、ケッケッ♪と鳴き続けています。 
固く凍結した雪面に新雪がうっすらと積もっていて、その上にキジ♂の足跡が浅くきれいに残ります。 
雪原を横断したキジ♂は、無雪の車道に降りたようですが、住宅地の死角に消えて見失いました。 

これが今季のキジの初鳴きでした。 
雪国の厳しい冬が終わりを迎え、これからキジの繁殖期が始まります。 
ケッケッケッ♪と繰り返す鳴き方はあまり聞いたことがありませんが、いかにも不完全で下手糞な鳴き方です。 
ケンケーン♪と本格的に鳴いて縄張り宣言する前に、鳴き方を練習しているのでしょう。 
日照時間が長くなり、衝動の高まりで鳴き始めた、というべきでしょうか。 
あるいは変声期の若鳥♂なのかな? 
ある種の若鳥や繁殖期以外の成鳥が出す不規則な小さな鳴き声を「ぐぜり」と呼びます。 


【追記】
この奇妙な鳴き方について、キジの専門家が別の見解を示している記事を見つけました。
WEB版よりもPDF版の方が詳細に記述されています。)
林暁央「バードリサーチニュース 生態図鑑 キジ」Bird Research News Vol.14 No.1 2017.1.5.より引用
ケッケッケッ(警報鳴き・Alarm call):他の雄がなわばりに侵入した時や危険な状況になった時に鳴く. 
言われてみるとそうかもしれませんが、今回の動画を見て分かるように、撮影時には手前の立木のせいで私の視界が限られていました。
被写体となったキジ♂の視線の先に別個体♂がいたかどうか見定められませんでした。
また、キジ♂の足取りがゆっくりしていたので、リラックスしている(危険を感じていない)と判断しました。
もし危険を感じたら、走ったり飛んで逃げたりするはずです。

という訳で、素人ながら私の「ぐぜり説」も今のところ捨てがたいので、両論併記しておきます。

繁殖期のキジ♂がケンケーン♪と鳴きながらドドドド♪と力強く羽ばたく母衣打ち(ドラミング)を専門家は囀りさえずりとは言わないそうです。
そもそもキジはキジ目に属し、歌わない鳥に分類されています。
♂が歌う(囀るさえずる)鳥はスズメ目(鳴禽類)に属する小鳥たちです。
キジ♂の母衣打ち行動は、雛や幼鳥の時期に見聞きして学習する必要がない本能行動です。
ということは、ケンケーン♪という鳴き声は「ぐぜり」で自主練する必要がないかもしれません。
つまり、ケッケッケ…♪という未熟な(下手糞な)ぐぜりを経てケンケーン♪という勇壮な鳴き方になる、という私の仮説は怪しくなりました。
この点に思い至り、急に「ぐぜり説」への自信がなくなってきました。
キジ♂を雛から育ててみれば鳴き方の変化を検証できるはずですが、残念ながら野鳥の飼育は法で禁じられています。
もし「ぐぜり説」が正しければ、この時期にあちこちで同様の鳴き声が聞こえるはずです。

キジ♂のぐぜり?を声紋解析してみる

いつもの手順で、オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出してから、ノイズの少ない部分を適当に2箇所切り出し、スペクトログラムを描いてみました。





0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む