2015/03/22

猿害対策としてロケット花火を発射



2014年11月中旬

▼前回の記事
刈田で落穂拾いするニホンザルの群れ【後編】

イネの落ち穂を採食する野生ニホンザルMacaca fuscata)の群れはのどかな光景に見えましたが、夕方になり私が撮影を終えて帰りかけると状況は一変しました。
ニホンザルを山へ追い払うため1台の軽トラックが集落からやって来ました。
農道を走る車の窓から山に向かってロケット花火を発射しています。
既に田んぼには猿の群れの姿は見えず、山へ逃げ帰ったようです。
それでも山の端で停車して何発も連射すると、ロケット花火の白煙が辺りに立ち込めます。
※ YouTubeの動画編集時に自動色調補正を施してあります。




晩秋の落ち穂拾いという行為そのものに実害はありません。
しかし調子に乗って里に出没されると近くに野菜畑もありますし、農作物を食い荒らされて深刻な猿害となってしまいます。

どうしても山に帰ってもらわなくてはなりません。
賢い猿を相手にロケット花火を射っても、すぐに慣れが生じてしまって(無害と学習して)
イタチごっこになるのでは?と気の毒になります。
▼関連記事 
猿害対策の爆竹の効果
野生ニホンザル♂の爆竹音に対する反応
広い農地の境界に電気柵を張り巡らすのは莫大な費用がかかるでしょう。
「犬猿の仲」を利用して、農村部だけでも犬の
放し飼いを認めてもらえれば一番安上がりに猿害対策できそうな気がするのですけど、何事につけ反対派がいるのでしょう。
ヒトがイヌに咬まれる事故が起きるコストの問題。



宮崎学、小原真史『森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然』によると、
つい50年前までは中山間地の村では、イヌは放し飼いにされているのが普通で、山から村にやって来る野生動物たちを追い返すのは、重要な役割のひとつでした。(中略)だから獣害の増加というのは、イヌの飼われ方の変遷に原因の一端があると僕は思っています。長野県のように放し飼いの特区を設けた自治体があったり、猿追い犬の「モンキードッグ」の育成をしているところもあるけれど、まだまだ認識不足でしょう。これだけ獣害が増えてきているわけだから、イヌの存在を見直す時代に入ってきているはずです。 p271〜275より引用)
長野県に番犬を放し飼いできる特区があるというのは初耳でした。
私もこの方策に賛成です。



都会の方々にお願いしたいことは、田舎にドライブに来て観光地などの道端や山林で野生ニホンザルに出会っても「かわいい〜♪」と餌を与えたり安易に「ふれあい」を求めたりすることは絶対にしないで下さい。



【追記】
あんずゆき『モンキードッグの挑戦: 野生動物と人間の共存』を読むと、ロケット花火にニホンザル防除効果はあまり期待できないようです。
ロケット花火でサルが逃げるのは、その時だけ。人間が徹底して追い払わないと、サルはまたやって来る。 (p123より引用)

里に下りれば、畑にはクズ野菜が残っていて、それはサルにはご馳走。野生動物の食害を防ぐためには、畑にクズ野菜を残したり、ゴルフ場で生ゴミを捨てたりといった、無意識の餌付けを止めることが大切 (p125より)


ふつう、サルは火薬の匂いや、銃の音で逃げるんですけど、少し離れて様子を見ているサルがいて、それがまた戻って来る。 (p128より)

電気柵。サルも最初は針金にふれて、一瞬、びっくりするけど、「大丈夫だ」って学習すると、平気で入ってくる。 (p71-72より)



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