2021年5月中旬〜下旬・午後・
美しく珍しい蛾を室内で見つけました。
2頭のギンモンシマメイガ(Pyralis regalis)が天井近くの白壁に止まっていたのです。
翌朝になると居なくなっていました。
夜行性らしく、消灯すると活発になり、どこかに飛び立ったようです。
その後も数日おきにぽつぽつと計4頭のギンモンシマメイガが現れました。 (一部は重複してるかも)
本種の成虫出現月は夏(7〜8月)とされているので、どうやら暖かい室内で季節外れに羽化した個体と考えられます。
メイガ科らしく、いつも腹端を反らせた海老反り姿勢で静止していました。
蛾にしては美麗種だと思うのですが、室内でただじっとしているだけの蛾を撮っても動画ブログのネタとしてあまり面白くありません。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:38〜)
壁や天井に止まっているギンモンシマメイガにそっと触れると、準備運動なしにすぐ羽ばたいて飛び去りました。
ギンモンシマメイガ♀はスズメバチの巣に産卵し、孵化した幼虫はスズメバチの巣を食い荒らして育つことが知られています。
▼関連記事(12年前の撮影)
・コガタスズメバチの巣に寄生する蛾の幼虫
・コガタスズメバチの巣から羽化したギンモンシマメイガ(蛾)半年前に採集したコガタスズメバチの古巣を標本としてこの部屋に保管しておいたので、今回の発生源として心当たりがあるのはそれです。
営巣木テマリカンボクの枝ごと採集した巣の中に危険なコガタスズメバチ成虫が残っている可能性があったので、巣を丸ごと冷凍庫に数時間入れて凍結処理しました。
▼関連記事(半年前の撮影) コガタスズメバチの巣を晩秋に採集したら中から蜂が出てきた!【暗視映像】これで巣内の虫はすべて凍死させたはずなのに、寄生蛾ギンモンシマメイガの幼虫/蛹は生き延びたことになります。
雪国に生息するギンモンシマメイガの越冬態は低温耐性が強いのでしょうか。
スズメバチの巣内は断熱効果の高い多層の外皮で守られているので、内部まで十分に冷えなかったのかもしれません。
その後、古巣を長期保存するために外皮の表面にクリアラッカーを繰り返し塗布しました。
有機溶剤は昆虫に毒性があるはずですが、巣内には浸透しなかったのでしょう。
関連記事(手法の説明)▶ コガタスズメバチの古巣に防腐剤処理して保存その後は本来ならナフタレンなどの防虫剤と一緒に密閉容器に入れてコガタスズメバチの古巣を保管すべきだったのですが、納戸に放置したままでした。(密閉せず開放状態)
春になって暖かくなり、寄主の古巣からギンモンシマメイガの成虫が続々と羽化してきたのだろう、と推理しました。
つづく→発生源と疑われるコガタスズメバチ古巣標本の内部を調べてみると…。
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